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自然が好きな人=自分を愛せる人

移住して2ヶ月が経った。

この2ヶ月様々なものを見て、聞いて、感じてきた。

ここでの暮らしは本当に最高で全く飽きることなく毎日を過ごしている。

ようやく、自分の居場所だと思える場所と出会えた。そんな気がしている。

ただ、この場所は冬が相当に厳しいらしい。

と言うのも、僕の住んでいる場所は西別岳の麓近くにあり、周りに木々がない。

一面平野の中にポツンと立っているのだ。

その為に山からの吹き下ろしがもろに来る。

時たま風の強い時があるが、最初の頃は怖くて眠れなかった。

これが冬になると吹雪になり、寒さは−20度以下になり、さらにホワイトアウトで視界すらも奪うらしい。

積雪も2メートル以上溜まってしまうこともあるらしい。

桑原さんに「そこで暮らすことができたら、アラスカでも暮らせるよ」と言われたことがある。

少し大げさな表現だなと思いながらも、あながち間違いではないような気がしている。

正直、ちょっと怖い。だけど、ちょっと楽しみ。冬の到来はここで暮らしていく上で1つの山場になりそうだ。

こっちにきてから、毎日色んな動物たちに出会い、色んな風景に出会った。

そのどれもが美しく、本当に言葉にならないくらい感動してしまう。

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ドローン夕日2 (1 - 1)-3


自分以外の生き物たちが生きている、と思うだけでこんなにも豊かな気持ちになれるのは何故なんだろうと、いつも思う。

それだけでなく、何故僕たちは自然や生き物を見るだけでこんなにも感動するのだろうと思う。

地平線に沈む夕日、悠然と歩く鹿、鮮やかな木々の移ろい、夕日なんて言ってしまえばただのオレンジの光なのに。何故僕たちはここまで強く感動してしまうのだろう。

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僕はずっとこの疑問を持っていた。

小さい頃から自然が好きで、綺麗な景色を見るたびにこの疑問が湧いた。

なんでただの木とか山とか太陽とかに人は感動するんだろう。

その解は未だにわからない。だけど、1つの考えを星野道夫さんの言葉をきっかけに、思うようになった。

道夫さんの文章にこんな一節がある。

「人は何故自然に目を向けるのだろう。アラスカの原野を歩くグリズリーから、マイナス50度の寒気の中で囀る一羽のシジュウカラから、どうして僕らは目を離せないのだろう。それはきっと、その熊や小鳥を見つめながら、無意識のうちに彼らの生命を通して自分の生命を見ているからかもしれない。自然に対する興味の行き着く先は、自分自身の生命。生きていることの不思議さに他ならないからだ」

僕はこの1節を読んだ時、涙がこぼれた。

今まで自分が感じていた疑問に1つの解を与えてくれたこの文章は、僕に大きな影響を与えてくれた。

この文に出会ってから、動物たちの営みを見るたびに、素晴らしい風景を見るたびに、いつもこの言葉を思い出す。

あぁ、僕は自分がなんで生きているのか本能的に知りたいから、自然に行くんだな。そんな事をアラスカの原野でも思った。

この道夫さんの文章から僕にはもう1つの思いが溢れてきました。


「自然を見ることがそのまま自分の命を見つめることになるのなら、その自然を愛しているという事はきっと自分自身のことも愛せているのではないか。」


昨今では、自分を嫌いな人がとても多いように思える。

僕が専門学校の教員をやっていた頃、10代の学生と多く接してきたが、そこでも同じような事を思っていた。

なんでみんな、こんなに自分が嫌いなのだろう。こんなに素晴らしいものを持っているのに、どうやったらそのことに気づいてもらえるだろうか。

かく言う僕も、自分自身が嫌いだった時期があった。

20代後半の頃、自分の人生が見えず、自分がこれまでやってきた自分勝手さに気付き、自分が大嫌いになった。

けれど、自然や動物が好きな気持ちは抑えられず、道夫さんに出会いアラスカに行ったことで少しずつ自分の生きる道が見えてきた。

いつも僕は自然に励まされ、動物たちに勇気をもらってきた。

だからこそ、今自分に自信がない人に伝えたいと思う。

自分のことを嫌いだと言う人に伝えたいと思う。

あなたが自然を好きならそれはきっと、無意識のうちに自分自身を愛せているのだと。

自然そのものが嫌いな人っていないように思う。

興味がない人はいても、嫌いな人はあまりいないだろう。

みんな海が好きだったり、山が好きだったり、空が好きだったりする。

そうして一人で眺めた自然を通じて、何か自分の心を整えていたりする。

それはきっと、自分自身を再確認し、愛し直そうとする作業なのかもしれない。

そんな事を僕は自然を見つめながら思った。

ドローン夕日2 (1 - 1)-2

自然には人を癒したり、励ましたりする力が確かにある。

その根源は自分自身に対する、無意識のうちにある自分を愛してあげたいと言う心の叫びのように思えてならない。

自然の中には、まだまだそんな僕たちの生きる根源が隠されているような気がする。

自然は、怖い。知ろうとすればするほど怖い。

だけど、だからこそ僕は今日も自然を見つめたいと思う。

まだまだ何も知らないひよっ子だけど、自分のペースで進んで行こうと思う。

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