見出し画像

反対側の景色

本格的に、冬が来た。

虹別は一夜にして雪景色になり、一気に冬の到来を実感する。
関東にいた頃は、気温や体感的寒さで冬を実感していたが、北海道は明確に雪という視覚的にもはっきりと冬の到来を告げてくれるものが僕にとってはとても新鮮で、またとても嬉しくもある。

昨日まで赤茶けた風景が一夜にして銀白の世界に変えてしまう自然は、やはり偉大だ。

吹雪も久しぶりに経験をして、4日間家から出られなかった。

これだけ便利になった世の中でも、自然には勝てない。

その事を体感的に知れる今の暮らしはやっぱり最高だなといつも思う。



僕は朝日と夕陽がとても好きだ。

どちらも同じくらい好きだけれど、どちらか一方を選べと言われたら朝日かもしれない。

ゆっくりと空が明るくなっていく様を見ていると、自分の人生と重ね合わせて毎日のようにこれからどんどん明るくなるぞ、と無意識のうちに自分に語りかけている気がする。

朝日にはこれからの活力をもらえて、夕陽はこれまでの癒しをもらっている気がする。

いずれにしてもお天道様とは昔の人はよく言ったもので、太陽は僕たちのすべての活動の源になっている。


僕は毎日のように朝と夕方を犬たちと散歩しているが、実はずっと好きなのは朝日や夕日の反対側の景色だ。

燃えるような空とは対照的で、ゆっくりと徐々に空の色が淡く変わっていく。

人はつい、目立つものに吸い寄せられてしまう。

僕もそう。

SNSをはじめとした煌びやかな世界に僕はいつも憧れを持ち、そこに行きたいと願っていた。

承認欲求というのは恐ろしいもので、SNSの登場でその感情はさらにエスカレートしているように思う。

そして紛れもなく、自分も渦中にいた。

けれど本当に大切なものは案外その反対側にあるのかもしれない。

決して目立つことのない、多くの人の目から逸れてしまう、しかしそれでも確かに色付き、変化をし、存在しているもの。

世界のほとんどは実は白黒はっきりしたものばかりではなく、グラデーションのようになっていることがほとんどだ。

僕もこの空のように、静かに、ゆっくりとグラデーションのように変化をして色づいていきたい。

そんなことを、太陽と反対の景色を見て思った。

決して派手なこともなく、多くの人目に触れることはないかもしれないけれど、そんな生き方を今僕は望んでいる。

自然や動物たちと一緒に、謙虚に、この土地で。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?