写真集を作った日
久しぶりに覗いた青空を見ると、秋の雲に変わっていた。
この時期の標茶は曇天か雨が本当に多く、特に7月後半から8月半ばまではほとんど太陽が出ていなかった。
毎年この時期は気分がなんとなく落ち込んでしまうのだけれど、久しぶりに覗いた晴れ間はそんな鬱没とした気持ちをいとも簡単に吹き飛ばしてしまう。
空の青さで、こんなに心が穏やかになるものかと心底自分の単純さにうんざりしてしまった。
やっぱり僕はここの自然が好きなんだなと再認識する。
人の気持ちなんて、案外そんなものなのかもしれない。
写真集を作った。
ツテもアテもない僕は、自分自身でデザインもセレクトもして、印刷はネットの大手に頼んだ。
以前から日風という冊子を作っていたこともあって、編集作業はそれなりに大変ではあったが、最後には友人でもあるデザイナーのsachiさんに聞いて、なんとか今回も仕上げることができた。
元々移住するときに、3年経ったら一度写真集にまとめようと思っていた。
3年半と少し伸びてしまったが、ここでの暮らしを一度小さくまとめてみようと思った。
最初の写真集ということもあり、色々と詰め込もうと意気込んでいたが、写真をセレクトしているうちに、逆に数を減らした方がいいのではないかと思うようになった。
それはやっぱりここの暮らしをまとめるには3年という月日では短いという思いと、写真集にしてしまうとそれが本当に過去になってしまうような気がして、犬たちは今現在元気で生きているのに、なんだかノスタルジックな気持ちになってしまったからだった。
それでも、自分が過ごした3年間という日々を区切りをつける意味でもまとめたかった。
出来上がった写真集を見て、僕が表現したかった世界を表現できたと思っている。
これを一つの区切りとして、次のステップに進んでいきたいと思う。
もちろん100点なんてことはなくて、自分から見れば反省点ばかりだ。
もっとこうしたい、という気持ちや、もっと遠くへいきたいという気持ちが強くある。
自分の未熟さや弱さ、狡さも含めて今回の写真集は完成している。
今自分が立っている所にしっかりと印をつけたかった。
写真集の梱包作業をしている時、一人一人宛名を手書きで書いていった。
その作業がなんとも愛おしくて、実際に僕のことを応援してくださっている人が全国にいるんだという実感がひしひしと湧いてきて、心の底から感謝が溢れた。
お金を出してくれるという行為は、あなたを応援しています。という最上のメッセージであり、愛そのものだと感じた。
自分も普段何気なく使っているお金たちも、そうした使い方をしていけたらと思った。
正直に話すと、今回写真集を出すことがすごく怖かった。
SNSでのフォロワーさんはありがたいことに順調に増えていっていたけれど、果たしてそれでお金を出してくれる方はどのくらいいるのだろうか…?
僕の活動を応援してくれる方がどのくらいいるのだろうか、それは未知数でその数を知ってしまうことが怖かった。
それでも、蓋を開けてみれば200部の写真集が3日で完売となった。
自分の写真を好きだと言ってくれたり、実際にこうして写真集を買って応援してくれる人が少なくとも200人僕の周りにはいたのだった。
それは本当に自分にとって嬉しいことで、何度も何度も噛み締めたい大切な気持ちだった。
今後はもっと自分の表現を磨き、何より自分自身がここでの暮らしを大切にする努力をしていかなければいけないと思う。
今回写真集をご購入くださった皆様、そしていつも僕のことを応援してくださっている方々、またこのnoteを見てくださっているというだけで本当に僕の力になっています。
本当にありがとうございます。
僕は、まだまだやりたいことで溢れています。
現在はトルコの写真集も作成中です。こちらはデザイナーさんと組み、しっかりとした構成になっていく予定です。
今後の僕の活動もぜひ、応援してくださると嬉しいです。
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