『父の咳の話』

最近、母と「父の咳」について話をしている。

私の父は、通年、咳をしている。
風邪でもない。喘息でもない。
仕事をしている時、部屋にこもっている時、趣味の語学を勉強している時、咳がうるさい。
寝ている時、テレビを見ながら横になっている時、食べている時、咳は出ない。

私は、素人だが、父は「心因性咳嗽」を患っていると考えている。

父は、真面目であり、感情的であり、人情深い人だ。
咳をしているのは、仕事にストレスを感じているからではないか。部屋の中で閉塞感を感じているからではないか。毎週末にやると決めた語学を「しなければいけないもの」と自分に義務付けているからではないか。父の体が、頭に動かされていることに「嫌だ、辛い」と反応している印なのではないか。

心因性咳嗽は私が通っているような心療内科・精神科で治療することができるらしい。
ただ、父親は、そういった病院に通うだろうか。
というのも、母によると、父は以前、精神病患者のことを馬鹿にするような発言をしていたらしいのだ。
(正直、娘である私が、精神科に通っているのに、少し、残念だったが、それは、この話ではどうでも良い。)
それならば、自身が馬鹿にしている人たちと同じ環境に、簡単には足を踏み入れないだろう。

「心因性咳嗽だと思うから、病院に行った方が良いよ」
こんな風に説得しても、なかなか折れず、説得する家族側が疲れてしまうだろう。私たちが病んでしまうだろう。

でも、「このまま咳をしたままだと、周りが気になるという問題の他に、喉を痛めてしまい、喉頭がん等になるのではないか。」と母親と話している。

また、もし、仮に、心療内科に行って、病気の構造や自分の中にある闇の構造を知ってしまったら、衝撃を受けてしまい、現在、行っている仕事や私生活ができなくなるのではないかと疑った。家族を支える父が働けなくなったら、誰が家族を養うのだろう。
でも、そんなことよりも、今、父が体に無理をさせている方が、このまま寿命が短くなってしまう方が、大問題なのではないかと思った。

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