とむやむ君

痛風と30代が手前、記事は私小説です。

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最近の記事

マウンティングの作法

とかく人は人に優越性を誇示せずに生きていくのは難しい世の中であります。いやむしろ時勢に原因があるわけではなく、それこそが人間存在の本質だと言えるかもしれません。その行為を近ごろは「マウンティング」と呼ぶらしいですが、これはもともと霊長類の行動から意味が転じたものであるようです。わたくしはしばしば、「この行為には作法が必要である」と喧伝して憚らないのでありますが、ではなぜ作法が求められるのか、述べていきたいのであります。 世間にはいろんな「マウント=山」があります。社会人であ

    • 「差異」を恐れる勿れ

      とかく世間は生きづらい。現代はコンプライアンスだのなんだので個人が規制され、おのおのが本来的に持つ権利すら支配されようとしております。わたくしはかかる統制を憎みます。先日、こんなことがありました。 わたくしが働く会社では個人のデスクがなく、作業は共有のスペースで行うことになっております。わたくしは根っからの大雑把で、片付けや整理ができません。ですから、共有卓を資料やらなにやらで雑然とした状態にしてしまいます。いやむしろこの環境こそ、わたくしに集中をもたらしてくれるものであり

      • 煙たがられる愛煙家

        世間はとかく厳しいものです。われわれは隅に、隅に隅にと追いやられ、まるで辺境に建設された工場のように、世界の端っこでもくもくと煙をあげております。 あたかも春でございます。空気も凍てつくような時分には屋内の薄暗い喫煙所にたむろしておりましたが、ようやっと心地よい日差しに当てられて陽の目をみることができると思ったら、なんと痛い視線が注がれているではありませんか。われわれをみる彼らのまなざしは、汚いモノ、蠢動する虫ケラをみるようでありまして、そんなに侮蔑をくれないでもという心持

        • 酩酊奇譚ー現実化するオトナ帝国ー

          キリストが最初に起こした奇跡は水をワインに変えたことだとされています。宗教に馴染みのないわれわれ日本人からすると、何を馬鹿なと冷笑したくなる寓話にすぎないかもしれませんが、しかしこれは酒が人類史と切っても切れない間柄にあるという証左であります。 私もまぎれもない酒飲みでありまして、繁華街を往来しては赤提灯から赤提灯へ、宿木を探す小鳥のようにふらふらと渡り歩くのを常としています。安居酒屋の闊達な雰囲気を愛し、重厚な扉であらゆるものを拒絶するようにみせて一転柔和に包み込んでくれ

        マウンティングの作法

          人間と動物性

          国民性の差異を表す、有名なエスニックジョークがあります。 「アメリカ人が正義を語るのはそれが欠落しているから、イギリス人が紳士になりきるのは卑怯だから、日本人は武士道を以てしてみずからの臆病さを隠している」 仔細な言い回しは忘れましたが、まあおおよそ大意は伝わったでしょうか。いわば国家が声を大にして喧伝するスローガンなんてものはじつは撞着したもので、その皮をえいっと裏返したら、その真の国民性が立ち現れるといった具合です。これはわれわれも気づかずして日常でやってしまう仕草で

          人間と動物性

          カレーパン

          どうもみなさん、お初にお目にかかります。とむやむ君と申します。自己紹介なんて簡潔に申しますと、30代を目前に控えたしがないサラリーマンでありまして、千鳥足が常の酒飲みでもあります。大学では文学をあれこれ漁ったものの、これといって仕事に生かすわけでもありませんので、こうした拙文を以て、己がちっぽけな文学性を成仏せしめんというわけです。おおかた酩酊とともに書いていきますから、多少の乱暴はご容赦願いたいものです。 さて、題ともなっているカレーパンは、近頃、私の常食となっています。

          カレーパン