見出し画像

【感想】カイジ ファイナルゲーム【ネタバレ有】


久しぶりに早く寝たら変な時間に起きてしまい、アマプラでも見ることに。

画像1

【結論】★☆☆☆☆ カイジシリーズの中で最も駄作

色々と突っ込みどころが多すぎるので紹介します。ネタバレ含むので嫌な方はそっと閉じてください。



その1 導入が雑

社会はハイパーインフレしていて、カイジがいつものごとくくすぶっているとハンチョウがやってきて「バベルの塔」なるゲームに参加するよう促す。取り分は50%。とここまではいいのだが、この「バベルの塔」開催場所が分からないこと、塔は10m位あっててっぺんにカードが有り、それを手にしたものが10億円or価値ある凄い裏情報を選ぶという設定。ハンチョウにはこの開催場所が分かっていると言うのだが。。。

よーいドンで皆一目散に塔に向かって走る→場所分かってるやん。というか建設してる時点でSNSとかで拡散されまくるやろ(笑)

しかもその時のカイジの策が近くのビルから鉄筋を伸ばして鉄筋渡りの要領でって、「遠くね?」準備段階でもっと長いの用意あるいは重機でよくね?

画像2

何とかカイジが権利を得るんだけどハンチョウが最後まで取り分を取りに来る描写が無かった不思議。

その2 謎のヒロイン

この「バベルの塔」でカイジはもちろん10億ではなく情報を選ぶんだけど、その情報で辿り着いた豪邸にはもう一人の勝者、関水渚(桐野加奈子)がいるのだが、中身もない若い女の子で物語終盤でちょっとお仕事する以外は騒ぐだけの役で、全く登場させる意味が不明。政治的な何かを想像する。

その3 東郷の動機

そもそもは、財政担当大臣の高倉(福士蒼汰)が、日本の抱えるハイパーインフレや政府の負債解消の打開策として、消費税30%、年金40%カット、生活保護廃止の相殺政策を打ち出し、更に新法案を通す計画を立てていました。それは旧通貨「円」を使用できなくして、新通貨を発行するものですが、特定の有力者に先に「新通貨」を渡して勝ち逃げしよう。というものでした。これを東郷はどこからか知り、生い先短い自分が日本の為にできることは何かと立ち上がった。というのが動機でした。

うーん、いつもの福本作品とちょっと違うんだよなぁ。

まだ「危険なゲーム参加してこい、その代わり取り分80%な。」方がしっくり来るんですよね。

その4 東郷の資金力

更に統合の資産は500億で、新法案を止める為に政治家に渡す賄賂資金1000億が要る、その為にゲームに参加してこれを増やしたい。お礼はたっぷりする。というんですが、この後参加するゲームは掛け金が倍になるだけ。そもそも「バベルの塔」で10億払う言うてたのに普通に考えたらそれ以上のお礼になるよね。いやどうやってお礼すんねん。結局最後スーツケースに入るレベルのお札やったし10億すら無いやん。

その5 人間秤

ルールは足場を秤にかけた天秤ギミックに乗り、「Friend」「fixer」「Family」「Fan」というフェーズで出てくる人を演説によって自分のところに金を入れて貰うという設定なんですが、いやFan、friendはまだ良いとして、fixerとfamilyは意味なくね?無理やり間延びさせている感があって、これギャンブル?って感じ。最初からFAN以外は載せといて、FANをいかにつかむかだけで良い気がした。

その6 ドリームジャンプ

人間秤で東郷がかなり劣勢に立つのですが、カイジが東郷から隠しておいた10億を

「俺がギャンブルで増やしてそれを秤に乗せる」

っていうシーンがあるのですが、結局普通のカジノは相手によって閉鎖されており、10分の1で死ぬが勝てば10倍になる「ドリームジャンプ」によって100億の金を持ち帰ってきます。

・・・・・・

いや最初っから「ドリームジャンプ」すれば良かったんじゃね?

その7 時間ずらし

カイジが100億持って帰ってきたが時間切れ?かと思いきや時計を細工しておりあと5分あった。それにより更にfanの心を「東郷側が勝ちそう=東郷側にbetしよう」とさせる。大がかりな割に費用対効果微妙じゃね?よっぽどそれにかかった費用をカイジに渡しておいた方が良かったんじゃね?あとほんまヒロインなんもせん。

その8 印刷局いつ手配したん??

見事カイジが勝つのだが、財政担当大臣の高倉(福士蒼汰)はそれも読んでおり、予定していた新法案を前倒しして法案は成立してしまう。

だが東郷は本当は印刷局(多分造幣局のこと)を抱き込むことにあった。人間秤に勝った暁には裏切る手はずを整えてあったのだ、「新紙幣を取りに行く建物の出入り口の暗号キー」「新紙幣が入ったトランクのある部屋の暗号キー」「新紙幣が入ったトランクの暗号キー」の三つを書き換え、政治家どもを建屋に閉じ込めることに成功。カイジがそのキーを手にする。

・・・・・

いや印刷局手際良すぎん?勝つ前提に全振りしてねぇ?

その9 勝負する必要ある?

閉じ込めた後に総理役の金田明夫さんが「法案の解除」と口にしていることからも閉じ込めを解除する代わりに法案の解除は可能であった。なのにカイジはわざわざ財政担当大臣の高倉(福士蒼汰)に「勝負だ、俺が勝ったら法案の解除をしろ」って意味不明。ここでプラスアルファ金を要求していたら納得できるんだけどなぁ。

その10 金握りジャンケン

・勝負は3回
・3回のうち1回は必ず金の卵を握る
→1回は必ずグーを出さなければならいということ。グーで勝つと握っていた金はもらえる。
・あいこは高倉の勝ち
・1回でもカイジが勝てばカイジの勝ち

これがルールなのだがこれを聞いた時点で

グーは必ず1回は使うとなると最後に残すのは出来ない、1回目か2回目にグー出す。でも1回目に出さないと3回目には出せないから、その場合2回目は出すしかない。1回目に出すのが一番自由度が高い。

となる。だが福本ファンならこの時点で最初はカイジがグー出さずに負け、2回目にグー出してあいこ、最後に高倉(福士蒼汰)がカイジの手を何らかの方法で知っていてその裏をかいてカイジが勝つ。と分かってしまうのだ。興ざめである。浅いっ浅すぎるっ。

最終的にその通りになり、「新紙幣が入ったトランクの暗号キー」はカイジが守ったが、「新紙幣を取りに行く建物の出入り口の暗号キー」「新紙幣が入ったトランクのある部屋の暗号キー」は解除され、政治家は解放されてしまった。尚且つ「新紙幣が入ったトランクの暗号キー」は時限式で待てば開く為、法案の解除は反故にされてしまう。(トランクの中身は実はすり替えてあるのだが、それはここでは良いとしよう)

その11 トランクのサイズ

意気揚々と政治家どもはトランクを持って帰るのだが、1個ずつなのだ。小さくね?新紙幣の最高額が100万円単位とかなら分かるのだが1万円と同価値なら「勝ち逃げ」には程遠い気が・・・・

その12 遠藤

最後にヒロインが遠藤にカイジの取り分を渡すのだがこれも腑に落ちない。遠藤がこれを持ちかけるのがゲームの最中なのだが、それくらいのつながりの浅さでカイジを裏切る意味が無い。カイジの取り分を遠藤と分け合う(ヒロイン取り分+カイジ取り分の1/2)とかなら理解できるが、そんな描写は無かった。ヒロインはそんな頭の回る人間な設定ならもっと活躍してたろうしね。

以上つらつらと書きましたが、福本作品はギャンブルのゲームにおいての作りこみやこだわりが強いと感じていた中で、この映画はかなり粗い印象。好きなシリーズなだけに非常に残念です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?