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【テレビドラマ感想文 エルピス最終回】

このクールで一番虜にされたドラマ。
最終回を見終わって思わず涙しそうになった。
作り話とわかっていても、おっさんになると感情移入しやすくなるのか、一説には感情をコントロールする機能が衰えるからとかなんとか、とにかくよくできたドラマだった。

【鈴木良平の凄み】

長澤まさみ演じる浅川が、副総理が過去、部下の強姦をもみ消した事件について報道する決意を固めたことを聞きつけた斎藤(鈴木亮平)が浅川を説得しにTV局へ現れます。

鬼気迫る鈴木亮平 かっけー

「僕の見立てでは8:2で僕が負ける」

って言いながら徐々に浅川の決意を剝がしていく様が、鈴木亮平もさることながら、決意が剥がされていく長澤まさみの演技も素晴らしいものでした。

最終的にこのスキャンダルを伏せる代わりに、もう一つの本線である、少女連続殺害事件で捕まっている松本さんが冤罪であること(を警察が隠している)の報道許可と事件の真犯人を逮捕させることを約束させます。

このシーンの時に僕はてっきりこれが作戦だったのかと思ったのですが、実際は違くて、慌てて浅川が拓朗(眞栄田郷敦)に「冤罪のVTR持ってる」って電話して、たまたま拓朗がTV局に居てことなきを得るのですが、ちょっとここがご都合良すぎない?って引っかかっちゃいました。

【松本さん&チェリーさん】

最後カレーを食べる 松本さんとチェリーさん

冤罪が晴れ、釈放され、チェリーさんが、かつては松本さんがチェリーさんに作ってくれたカレーを、十数年越し?に松本さんに振舞うシーン。
ベタだけど、ここに来るまで何度も何度も妨害されてきた苦難があったからこそ涙しそうになった。

【眞栄田郷敦&岡部さん】


初めはただのボンボンだった


もう関電不動産の人とは言わせねーよ!

このドラマを面白くした原因(笑)の二人。
この二人が無かったらこんなに奥行きのあるドラマにはきっとなっていなかっただろう。

拓朗(眞栄田郷敦)を成長させたのは村井さん(岡部たかし)だし、村井さんの中の「熱」を呼び起こしたのもまた拓朗。
ハッキリとした言葉はないが、この二人の間に徐々に、信頼や絆といったものが構築されていく様が心地良く、とても面白かった。

何より眞栄田郷敦さん、正直、花男の続編みたいなドラマでしか知らなかったので、私の中でいわゆる「イケメン枠」なのだろうとナメていた。
ところがそんな僕の目は節穴で、とんでもない役者だったことを後に知る。
最初はなんにも考えていない弁護士の家に産まれたお坊っちゃんが、この冤罪事件に触れ、過去の自分のトラウマと向き合い、成長していく様を、まるで眞栄田くん本人のことであるかのように、「拓朗」という人間を憑依させていた。
今後もめちゃくちゃ楽しみで、もうすっかりファンになってしまった(笑)

最終回では【村井映像企画】に拓朗が入社して、二人でやってく描写があってホッコリ。

最近はよくエンドをぼやかして、視聴者に委ねるケースが多いが、エルピスは敢えてそれをしなかったのではないかと思っている。

それは、ここに至るまでに浅川や拓朗や村井さんがあるいはマンモスTVが圧力に屈せられぼやかされてきたことに対してのアンチテーゼで、更には現実の世界での報道及び表現に対してのしがらみや圧力に対してのメッセージとも思えた。

【続き】

欲を言えば拓朗のこれからや、あるいは中学生のときのトラウマについてもう少し掘り下げて欲しかったし、斎藤さんがなぜ今のようになったのかとか、村井映像企画編とか、瑛太目線とか、やろうと思えばスピンオフやエピソードゼロ的なことは出来ると思うし、そうした声がSNSでも見られた。

ただ私は「蛇足」になるだろうと思っている。

エルピスの本編の価値を下げないために、このストーリーで完結させたほうが余韻が残り、良いと思う。

本当に今クール楽しませてくれたドラマだった、ありがとうございました。



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