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【ドラム】MEINL(マイネル)シンバル、なんでウケているの?

シンバルといえば一昔前までZildjian、SABIAN、Paisteが三大メーカーとされてきた。
近年、ここにきてドイツのシンバルメーカーであるMEINL(マイネル)が台頭してきている。というのはあくまで肌感だが、最近使っているドラマーが、特に若手を中心に急激に増えているように感じる。
ということで今回はMEINLシンバルについて触れてみようと思う。

MEINLは1951年に創業したドイツのシンバルメーカーだ。詳しい歴史などは公式サイトとかWikipediaとか見ていただければよろしい。
ここではなぜ今人気があるかを紐解こう。

の前に突然のクイズ。シンバルの多くはどこで作られているでしょうか?

答えはトルコ。西洋シンバル発祥の地でもあります。アヴェディス様万歳。
シンバルは大小色々なメーカーがあるが、そのほとんどはトルコ製法が源流だ。

トルコのシンバルは型に金属を流し込んで作られるキャスト製法で作られ、ハンマリングやレイジング(音溝)加工も手作業ですることで、良くも悪くも個体にバラツキがある複雑な倍音が特徴だ。
シンバルでもよく、複雑な倍音がどうちゃらとかカタログに書いてあると思うが、正直なんのこっちゃと感じている方も多いかもしれない。

複雑な倍音とはなにか。
それは、鳴っている音の周波数が出たり抜けたりしていることである。

シンバルはドラムセットの中でも高音が目立つ楽器かと思う。アタック音が高音なので、どうしても人の耳には高音の印象が残りやすい。
だが実際は耳に聴こえない低域〜高域まで様々な周波数の音が鳴っているのだ。
仮にシンバルが全ての周波数で均一に鳴ってたとしたらどうだろう。もうそれはめっちゃくちゃうるさいと思う。それこそ、楽曲を潰しかねるボリュームだ。

トルコシンバルは手作業・感覚にこだわり、手動による流し込みや聴感に頼った職人によるランダムハンマリングにより鳴る周波数と鳴らない周波数がバラついており、それが楽曲への馴染みを良くしているのだ。

全世界に普及したトルコシンバルは今世紀まで世界標準のサウンドを示し続け、トラディショナルな製法を頑なに守ってものづくりをしている。Zildjanも工場はアメリカに移ったが、もともとトルコシンバルが原点であるので上記のような伝統的な製法を遵守する気が強い。

それじゃあMEINLはどうだろう。
元々このメーカーは管楽器を作っていて、真鍮加工が得意なメーカーだ。
どういう経緯かはわからないが、おおよそ管楽器作って金属加工の知見があるから打楽器作ってみるかぁとなり、シンバル製造に着手し始めたのだと思う。
だが直接シンバルを製造するノウハウはなかった。そのため初期のマイネルは真鍮製の価格普及モデルのラインナップが多かったように見える。
そんなMEINLがいわゆる今のByzanceシリーズと呼ばれる高級モデルを製造する決定を下した時、トルコシンバルの輸入を始めた。
実はMEINLシンバルは現在価格普及モデルは完全内製で作っているが、高級モデルに関してはベースシンバルをトルコから輸入、ハンマリングやレイジングなどの最終工程をドイツで行なっている。

ベースシンバルは伝統的な音の良いとされるシンバル、音の傾向を決める最後の詰めは今まで独自に積み上げてきたMEINL独自のノウハウ…なんか今までにない面白いシンバルができそうなのは想像できるでしょう?

MEINLのByzanceシリーズのキャラクターは主観ではあるが、ちょっと土臭い雰囲気の音だ。
ZildjanでいうところのKシリーズのダークさに加え、ショートサスティンかつドライなサウンドが、音の隙を楽しむ現代のブラックミュージックシーンにマッチする。
今までブラックミュージックやるならJazzの流れを汲んだダークなK Zildjanくらいしか選択肢がなかったところに、今までに無い個性的なキャラクターを持ったMEINLが台頭してきたのだ。特に若い世代は新しい物事を追い求めるものだ。人気になるのも頷ける。
あまりの人気ぶりに、Zildjanもショートサスティンでドライなスペシャルドライシリーズをリリースしたのは記憶に新しい。

音楽の流行とともにシンバルのキャラクターも変化していることを是非知ってほしい。

でもこの手のキャラクターのシンバルは各メーカー作りすぎで正直飽和してるので、次はビカビカなクラブミュージックの流れが来てPaisteみたいなロングサスティンでブライトなサウンドが流行ってくれよ頼む(突然の願望)

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