見出し画像

【雑記】COMPLEX 日本一心を終えて

居ましたよ。前から7列目に(実質4列目だった)

今日は伝説のユニット、COMPLEXが先日行った東京ドームチャリティーライブ「日本一心」について書こうと思う。

COMPLEX。
今や国民的ロックユニットであるB'zでさえ「あれが続いていたらなにもできなかった」と語ったという、吉川晃司と布袋寅泰のユニットである。
活動期間はなんとわずか2年。吉川と布袋間の方向性の違いによる軋轢が原因で、最後には取っ組み合いの喧嘩の末、終わってしまったのだ。

その短い活動期間で世に出した、たった2枚のシングル・アルバムはいずれもオリコン1位を記録。ライブも最初から最後までアリーナ・ドームクラスしかやっていない。正真正銘、伝説のユニットだろう。

そんな急死した伝説のユニットが、2011年東日本大震災を機に突如、2日限りの再結成を発表した。自粛ムードの世論の中「日本一心」の大義名分を掲げ東京ドームチャリティライブを敢行し10万人近くを動員した。

月並みな表現だが、そのライブがもうめちゃくちゃかっこよかった。
自身の音楽人生に最も影響を及ぼしたライブだと思う。
映像でみたライブだったのだが、画面越しですら再結成に対する二人の並々ならぬ覚悟が伝わってくる。緊張や世の中のエンタメ自粛の逆境による重責やひりつきすら覚えるサウンドに、もう一瞬で虜にされた。あの映像は大袈裟でもなんでもなく、本当に1000回以上見たと思う。大学生の時通学の行き帰りで1回ずつ見ていたから。なんなら今でもたまに見ている。

今回の日本一心は正直な話、2011年のあのライブを超えることはできないだろうと思っていた。皆んなには期待不安が五分五分と話していたが、実は不安7割・期待3割だった。

というのも、あのライブから13年の月日が経過している。今、吉川は58歳、布袋は62歳だ。脂が乗りまくっていた40代の頃に比べ、体力も集中力も落ちている・・・と思った。
それに、2011年のライブには二人にとって心ここに在らずで臨んだ解散ライブのリベンジの意味もあった。当時と同じ会場、同じセットリストで挑む無骨すぎる演出たるや。仲違いした二人が東京ドームの中央でがっちり握手してから当時と同じセットリストを始めるのは、解散背景を知っていた人間からすれば泣かせにきているとしか思えない。
しかし今回は、無事前回リベンジを果たした後にやるライブなのだ。あれだけの覚悟を今回持てるのだろうか、という不安があった。

大きな期待ができない以上、セットリストを変えてくるか新曲をサプライズで発表してくるか、くらい無いと感動まではいかないだろうなと思っていたのだ。

しかし、その浅はかな考えはライブが始まると全て無に帰した。
やはりあの二人にとってCOMPLEXとは、戦場ともいえる特別な場なのかもしれない。
喰うか喰われるか、一瞬でも隙を見せれば相方に飲み込まれるギリギリの拮抗、戦いを見せつけられた。

吉川は己の限界まで身体を絞った筋骨隆々な姿で現れ、布袋もこの日のためにかニューギターを何本か引っ提げやってきた。

ライブの途中から確信したが、セットリストは2011年、そして解散ライブと同じだった。
しかも、あろうことか2曲増えていた。
もう一度言うが最後のライブから13年経過し、体力的には衰えているはずだ。曲を増やすと言うことはそれだけ体力が要る。あの二人どうなってるんだ。

吉川晃司も白内障でしばらく封印していた頭上よりも高く設置されているシンバルキックを敢行した。
しかも2011年ではBE MY BABYとMAJESTIC BABY、RAMBLING MANの3回だったのが、今回覚えている限り、空振りも含め4回はやっていた。うち2回は布袋に煽られての連続キックだ・・・もう一度言うがあれから13年経過している。

また、2011年のライブではDRAGON CRIME演奏後、後半戦に向けて二人はステージから消えブ クールタイムを設けられていたが、今回は布袋が新たに追加されたHALF MOONの演奏に即座に移行した。そのあとの楽器隊のみのROMANTICAがせいぜい3分くらいの演奏で、速やかに後半戦に突入したのだ。あの、13年経過して(略

そして僕が最も恐れ入ったところがある。
東京ドーム級のライブをやるとなると、スタッフの数も半端じゃない。
それこそ総員が秒単位のスケジュールでステージを構成するため、必然的に予定調和で進行するショーにならざるを得ないはずだ。
だが、COMPLEXのそれはまごうことなく「ライブ」だった。

おそらく、全てとは言わないが曲の尺を決めていない。だから進行や入りキッカケをミスする曲も出てくるし、慌てて歌詞だって間違える。
だが、そんなミスすら芸術に感じるほど圧巻のステージだったし、ステージを構成する音響や照明に演出、カメラにステージ袖のテックやスタッフもリアルタイムで変化する状況に応じて立ち回るプロの仕事を見せつけられた。


ここまでご覧いただいて、僕のことをご存知の方、分かるだろうか。

今日ドラムの話を全くしていないのだ。

サポートミュージシャン、ドラマー、めちゃくちゃ気になるタチだ。なんならサポートミュージシャン目当てにライブに行くくらい重要視している。

だが今回のライブ、ちょっとあの二人の存在感が異常すぎて、一流のミュージシャンが揃っているにも関わらず、最早空気だったのだ。
あれほどいつも布袋のライブで存在感を放っている岸利至やスティーブエトウですら今回全く印象に残っていない。いや、決して悪い意味ではない。ある意味あの二人の引き立てに徹する一流の仕事だったなと振り返って思う。

そのことだけでもこのライブ、凄かったんだろうなと思ってくれると嬉しい。

最後に、ライブ中に新曲示唆があった件。
あの場で突然やるならぶち上がり案件だったが、後で出すのは...個人的にちょっとやめてほしいかなぁ。COMPLEXはあの太く短く走る刹那感がいいところだと思いますので。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?