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介護保険制度の3つの基本理念

 理念というのは「軸」になりますので、理念が定まっていないとブレブレの考え方になってしまいます。ブレブレの考えで働いてしまうと、市場価値の評価はされず、淘汰されてしまうことでしょう。介護保険制度には3つの基本的な理念があり、それを軸とすることで介護従事者の職能団体としての機能を果たしております。
 では、その3つの基本理念は何か、整理していきましょう。

1.利用者本位


 介護サービスをする側の、価値観を押しつけてはいけないということ。解釈を間違えると、利用者本位は「利用者の言う通りにすればいい。」となってしまいますが、相手の言う通りにするだけなら誰でもできます。専門職としては生活の質(QOL)の向上と、尊厳の保持という視点は、必ず持っておきたいところです。
 教科書的にはQOLの向上と尊厳の保持ってよく記載してありますが、個人的には便利な言葉過ぎてあまり好きではないです。利用者が大事にしていることを、私たちは大切にする。それくらいの捉え方で良いと思っています。

2.利用者の選択の尊重

 利用者本位と重なる部分はありますが、利用者自身が選んだことを大切にするということ。ただ、利用者が直感で選んだことを良しとするわけではないです。急に「右の道と、左の道のどちらへ行きますか?」なんて質問されても、答えようがないですよね。できればどんな道なのか、どんな所に着くのかは事前に知っておきたいものです。選択を尊重する前に、私たち専門職がやらなければならないことは、とてもたくさんあります。
 この理念の裏には、「専門職なら、どこに何の道があるかは知っとけよ。」というメッセージが潜んでいると思っています(怖)。

3.自立支援

 自立支援って、もはや「THE介護保険」みたいな王道感がありますね。でもこの自立って、本当に個人で考え方が違ってくるんですよね。身体的な自立だったり、経済的な自立だったり…。一応介護保険制度の中では、精神的・人格的自立が重要と言われておりますが、それもまた個人で解釈が違ってきます。
 でも解釈が違っていることを言及する必要は、ないと思っています。自立の形は、人それぞれですから。誰にも頼りたくない人もいれば、誰かに依存しないと生きていけない人もいます。それらに共通する「自分がやりたいことを、自分で決められる」という部分を支援すれば良いかと思います。

4.まとめ

 今回は、介護保険制度の3つの基本理念について整理をしました。堅苦しい言葉をつらつらと記載しましたが、要は「相手を思いやる」という基本的なことがブレなければ大丈夫です。相手と話す言葉遣いはおかしくないか?裏で文句を言ってしまっていないか?普段の癖は、表に際立って現れます。まずは、そこから考えていくことが大切だと思います。

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