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よく響くユーフォニアムなので。

こんにちは。

昨日は東大阪市文化創造館というホールで高校生に向けた芸術鑑賞会に出演しました。
ダンス部や吹奏楽部の皆さんとのコラボもあったり…。

もちろん普段あまり触れることのないだろう吹奏楽に触れるという意味でも生徒さんにとっていい機会にはなると思いますが、なによりクラスメイトが舞台に立って輝いている姿って新鮮でしょうし嬉しいものだろうと思います。

コラボした皆さんも今日のためにしっかり準備してきてくれたんだろうなと思うとぐっとくるものがありました。
限られた時間の中での直前リハながら、本番はしっかりと熱量のあるパフォーマンスを届けて会場にも一体感が生まれていたように思います。
とてもアツい空間でした。ありがとうございました。


さて、私たちも本番を迎えるまでにはたくさんの準備があります。
もちろんリハーサルまでにその曲を吹けるようにするとか、当日舞台の設営をするとかいろんな「準備」があるわけですが、今日お話しするのは、「響き」の準備のお話を。

今日のサムネにしているのが今回の会場だった東大阪市文化創造館なのですが、私はここで演奏するのは初めてでした。
初めてのホールで演奏するって「実績解除!」って感じがあってワクワクするのは私だけでしょうか。

もちろんはじめましてのホールだと単純に楽しみだな!なんてことばかりは言ってられなくて、ホールと打ち解けるためのアイスブレイクが必要になってきます。

いわゆる音楽ホールって演奏者が同じでも会場によって全然違う音が鳴るんです。
それは客席数や構造などが会場によって違ったり、さらに言えば客席の埋まり具合すらも音に影響します。

リハーサルが始まるまでの音出しの時間に、自分がこのホールで吹いたらどんな音が鳴るのかという確認の時間から始まります。自己紹介タイム的な。

具体的にはセッティング(舞台上の配置)された自分の席でどの角度で座ると一番心地よく音が客席に抜けていくかどうか、微調整を行ったりしています。

椅子の位置なんかも変えるとだいぶ吹きやすさが変わってくるので、それが試せる環境であれば試行錯誤してみると発見があって面白いのですが、そのへんは楽団によって「基本このセッティング!」みたいな配置のセオリーがあったりしますのでそれに合わせて。

そういう意味では学校の吹奏楽部などを見てみると、学校によって創意工夫を凝らしたセッティングになっていて興味深かったりします。
最大限その学校の個性に合わせてセッティングが組まれているので。


なんでここまでセッティングがどうの座る角度がどうのなんて話になるのかといいますと、音響機器を使わない(例外あり)吹奏楽で使用されるような楽器にとって、ホールとの相性ってすごく大切で。

ホールには音が客席から良く聞こえるように音を反射してくれる反響板がありまして、これのおかげでマイクを使わなくてもしっかり聴き取れる音量で客席に音が届いたり、鳴っている音がより豊かに響いたりする効果があります。

もちろんその反響板なくしては吹奏楽での演奏のハードルも上がりますから反響板のあるホールというのは本当にありがたい存在ではあるのですが、もちろんそのホールも吹奏楽をやるためだけに作られたわけではなくて様々な用途で使用されるわけです。

私たちのような管楽器を主体とした吹奏楽のときもあれば、ヴァイオリンのような弦楽器を演奏することもあるし、合唱だってやると思います。
(音響機器を使うためむしろ響かせない方がいいときは、例外もありますが反響板を除けることができるようになっています)

このように、大体のホールがあらゆる用途に使用する想定で作られていることから、反響板があるとはいえ多少の演奏者側の工夫も必要となってくるのです。

吹奏楽で使われている楽器をいくつか見ていただくと分かるように、例えば管楽器なら音の出るベルは楽器によって付いている場所が違ってあちこちに向いています。

金管楽器だけでも、メジャーどころのトランペットやトロンボーンは前にベルが向いているのでお客さんに向かって吹いていればお客さんの方にベルが向いている状態。

一方ホルンは後ろに、そして私が演奏しているユーフォニアムやチューバは上にベルが向いています。

もちろん他の楽器にもそれぞれ音を上手く響かせる難しさがあると思うのですが、上やら後ろやらにベルのついている楽器は一際ホールの構造、反響板の位置を気にしながら音作りをします。
だからこそ先ほど説明したように座る角度が大切になってくるのです…。


さっきからかなり脱線してますがあとちょっと脱線させてください。

私が吹いているユーフォニアム(Euphonium)という楽器、その語源はギリシャ語で「良い響き」という意味を持ちます。
その名の通り響きが特徴の楽器です。
ユーフォニアムの知名度をびっくりするくらい引っ張り上げてくれた「響け!ユーフォニアム」のタイトルも納得の語源です。
こりゃあ気合い入れて響かせないかんわけです…!

そもそも響きってなんだとか言い出すときりがないのですが、響きの多い楽器というのは先ほど話に出したホールの反響板に良くも悪くも影響を受けやすいため、ホールとの相性命!みたいなところがあります。

もちろん相性微妙かも…?なんてことがあっても「今日の本番はもうダメだ」なんてことはなくて、微調整を重ねることで理想の音に近づけていきます。

演奏者というモデルがいて、ホールというお洋服があって、それをどう着こなすかはモデル次第…みたいな感覚に近いかもしれません。

当日の本番前の時間はバンド全体の最終確認の時間でもあり、個々が自分の音をより活かせる方法を模索する時間でもあって、それも含め本番に向けての準備なのです。


脱線に次ぐ脱線でしたが。

こんな感じでよく響くユーフォニアムという楽器を吹いている私の「響き」との向き合い方のお話でした。

今回のホールもたくさんの発見をくれたので、もっとたくさん「実績解除」していきたいです。

それでは。


【出演情報】

7/23(火)19:00開演
大阪コンサートブラス 第26回定期演奏会
2ndバリトンでエキストラ出演
※私個人のSNS(noteから飛べます)のDM等でもチケットご予約いただけます。

8/24(土)14:00開演
オオサカン昼下がりの音楽会シリーズ アンサンブルコンサート『ローブラスアンサンブル〜てんこ盛りローブラス〜』
※私個人のSNS(noteから飛べます)のDM等でもチケットご予約いただけます。

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