監督助手の仕事(ROUTINE WORK) Version 0.2
紙資料「監督助手の仕事(ROUTINE WORK) Version 0.2」
先日、自宅の本棚を整理していたら、東宝スタジオで働いていた時に、あるスタッフにいただいた「監督助手の仕事(ROUTINE WORK) Version 0.2」と書かれた書類が出てきた。全3枚で構成されている。
監督助手(助監督)の仕事分担
監督助手の仕事は、演出だけとは限らない。演出部には序列があり、チーフがスケジュール管理、セカンドが衣装・俳優、サードが美術・装飾、フォースがカチンコと担当が分かれている。一般的には助監督と呼ばれるが、東宝では監督助手と呼ばれている。
東宝スタジオ(東京都世田谷区)
基本的には監督の手となり足となり、監督の意向を各パートへ伝えたり、逆に各パートからの情報を監督に伝え、作品制作を円滑に進めていく。現在はYouTuberも世間に認知されている他、コンピューターで簡単に映像制作ができる環境が整っており、また助監督を経験せずに監督デビューをする人もいて、誰でも映像作家を名乗る時代となった。しかし、助監督時代に経験を積んでいた方が様々な知恵も出るだろう。
職業助監督と呼ばれる人もいる。監督の仕事よりも、助監督として現場をいくつも回っていくことで、収入の安定を図るのだ。助監督の誰もが早く監督になりたいはずである。監督達からこき使われるのはまっぴらごめんだからである。だからオリジナルの企画や脚本を書いて、自分が監督になる日を夢見るのだが、助監督のルーティンワークができなければ、そのチャンスも来ない。
そこで作成されたのが、今回紹介する紙資料「監督助手の仕事(ROUTINE WORK) Version 0.2」である。これはおそらく約20年以上前に作られているので、現代とは合わない部分もあるかもしれない。誰が書いたかもわからない。しかし、心構えや道具など、必要最低限のことは細かく書いてある。是非お読みいただきたい。
いかがだったであろうか?この紙資料も映像作品を制作するために作られた立派な「中間制作物」で、残していかなければならないものである。当時、映像制作の仕事に教科書が時代だった。人の真似をしたり、技を盗んで成長するしかないのが当たり前で、成功するのは一部の天才である。この「監督助手の仕事」に書いてあることを身につければ、少なくとも映画やドラマの現場に慣れるようにはなっている。一番大事なのは、心得にも書かれているが嘘をつかないことである。どこかの内閣ではないが、一度嘘をついてしまうと、その嘘を隠すためにまた嘘をつかなければならない。映像業界は狭い。一度信用をなくしてしまうと、活動ができなくなる。鋼のメンタルがあれば平気だが、普通はズタズタになってしまう。基本的にはチームワークなので先輩を頼り、難題もチームで解決できるようになればよい。あとは本人の気持ち次第であろう。
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