2009年10月10日_ゴジラVSメカゴジラ_トークショー

富山省吾プロデューサー・大河原孝夫監督らが語る『ゴジラVSメカゴジラ』

ゴジラシリーズの中でも人気作の一つである『ゴジラVSメカゴジラ』(1993年公開)。その製作舞台裏について、富山省吾プロデューサーと大河原孝夫監督、そして昭和メカゴジラの宣伝を担当した元東宝宣伝プロデューサー・中村修氏にも加わっていただき、話していただいた。これは2009年10月10日に山梨県甲府市の甲宝シネマ(東宝創業者・小林一三が私費で作った映画館。現在は閉館)で開かれた『ゴジラVSメカゴジラ』上映後のトークショーの記録である。『シン・ゴジラ』公開前のイベントなので、当時の雰囲気を味わっていただきたい。

『ゴジラVSメカゴジラ』上映後、多くのゴジラファンが興奮する中、会場に現れたのは、司会を担当するテレビ山梨の鈴木春花アナウンサー(当時)。その鈴木アナの呼びかけで登場したのは、富山省吾プロデューサー、大河原孝夫監督、元東宝宣伝プロデューサー・中村修氏の3人である。昭和・平成とゴジラシリーズを作った彼らから何が語られるのだろうか?

鈴木春花アナウンサー(以下鈴木):では映画『ゴジラVSメカゴジラ』製作の経緯などを伺っていきます。

富山省吾プロデューサー(以下富山):当時、1990年代というのは、外国映画が日本でも人気の中心で、日本映画は苦しい時代でした。その時期に1989年の『ゴジラVSビオランテ』から始まって、1年おいて『ゴジラVSキングギドラ』、それからは毎年ゴジラがお正月は大ヒットして、お正月といえばゴジラと。ゴジラは次何やるんだろうと。そして、『ゴジラVSモスラ』上映後に『ゴジラVSメカゴジラ』というタイトルが劇場に出て、1年経って上映されました。

鈴木:監督、前作の『ゴジラVSモスラ』の時は、ファンタスティックな雰囲気があって、『ゴジラVSメカゴジラ』はまた全然雰囲気が違いましたね。

大河原孝夫監督(以下大河原):『ゴジラVSモスラ』は女性的と言いますか、ファミリー的なイメージがあるし、その辺は大森一樹さんの本もですね、環境問題とか社会性もうまく盛り込んで、家族の問題も登場人物に絡めたシナリオになっていたんですけど、まあメカゴジラは、イメージ通りバトル。これを期待してくださる方も多いでしょうから、Gフォースという組織を発案して、それに沿った面白いシナリオができましたんで、女性層からやや男性層に向けたゴジラ映画ができるのかと、そういう思いでしたね。

鈴木:怪獣総出演というのは大変ですよね?

大河原:準備の段階ではここまで賑やかになるとは正直思わなかったんですけど、できるだけお客さんに見せたいということで、ラドンもベビーゴジラも出そうと。ただ出てるんではなくてドラマに溶け込んで絡んでいてくれれば構わない話で。ただ特撮班も本編班も大変は大変でしたね。

鈴木:私はゴジラがやられていくのが切なくて、いつのまにかゴジラに感情移入していってしまいました。

大河原:当時、映画評論家の女性の方が「あそこまでゴジラをいじめないでほしかった。」みたいに言うんです。でもゴジラが負けることないんですよね。(笑)勝ちますから。それだけ感情移入してドラマに入ってくれているということでもあるんですけどね。

富山:強さを作り手は信じてるんで、ご覧頂いたようにゴジラは復活するわけですよね。その復活するのが、ファイヤーラドンの持っている怪獣同士の何かつながるもの。そうするとやられにやられて耐えて耐えて、最後立ち上がって一撃でやっつけるぞと。これがヒーロー像っていうね。川北紘一特技監督が特撮で初めて血を見せたというのも確かにあるんで。痛いという感じはしますよね。

中村修(以下中村):旧シリーズの一番最後、『メカゴジラの逆襲』っていうのを宣伝したんですけど、これが新旧通じて一番成績の悪いゴジラでしたね。(笑)その頃はお子様向けになっちゃってまして。野山で怪獣と戦うみたいな。プロレスになっちゃてましたんで、血を出したりとかいけないとか配慮があったと思うんですけど。


『ゴジラVSメカゴジラ』は、同胞を守る為に戦うゴジラと、人類が23世紀のテクノロジーを駆使して作ったバトルマシーン・メカゴジラとの戦いが描かれる。メカゴジラは、ゴジラを瀕死の状態にまで追い込むが、ファイヤーラドンの生命エネルギーを得てパワーアップしたゴジラの前になす術もなく破壊される。流血シーンが生々しかったが、命があるゴジラとマシーンとして人が操縦するメカゴジラを対比して描くためで効果的であった。トークショーの最後、観客とゲストとのQ&Aでは、気になる新作の話題が中心となった。


Q&A

Q.新しいゴジラにはいつ頃会えるのでしょうか?

鈴木:そうですよね。やっぱりアンケートでもいただいていました。お願いします。

富山:皆さんゴジラファンの方はご存じなんですけども、ゴジラ9年復帰説という周期がありまして、1作目の『ゴジラ』、『ゴジラの逆襲』、そのあと『キングコング対ゴジラ』まで9年だったんです。『メカゴジラの逆襲』から復活『ゴジラ』まで9年。それで『ゴジラファイナルウォーズ』が2004年でしたから9年だと2013年なんですね。2013年が可能性が高いと。そのぐらいの間があいて、怪獣映画というものの広がりがもう1回出てくる。どうしてもファンだけの映画になっていくんですよね。こういうシリーズものってね。もう1回、僕らからするとデートムービーになりたいなと思いますし、次はやっぱり、世界中のスタッフが集まって、世界同時公開されるような作品として作るのがいいだろうと。その時にトライスターゴジラのキャラクターというのが、世界中のファンからちょっと違うんじゃないかと言われたのがあったので、製作の母体は東宝映画にやらせてもらえればうまくいくんじゃないかなと。海外のスターが全部集まるような映画にできるといいと思うんで。そういう準備は時間がかかるとおもいますから、2013年に実現できるように微力ですが頑張りたいと思います。

中村:2013年と言わず、もっと早くゴジラを作ってもらいたい。私はそう思います。(会場拍手!)

鈴木:実はもう準備されてるとか?

富山:これが難しくて。僕がやりますとかやりなさいではなくて、東宝の最大の財産、日本映画界のスターなんで、本人が「わかった出るよ。」という条件が整わないと、YESが出てこないわけです。世界中から色んな企画やオファーが来て、その中で「よし!」という時にそれがいつになるかという秒読みを始める。スタートに向かっての体制は出来始めてきているということだと思いますね。それまでは、松井さんと共演したりとか、KISSと共演したりとかね、そうやってテレビで皆さんにメジャーなコラボという形でお会いできるようにしておこうと。あと宣伝になっちゃいますけど、ブルーレイも出始めましたし、某デアゴスティーニも出始めましたんで、是非宜しくお願いいたします。

鈴木:最後にゴジラファンの皆さんに一言ずつメッセージがいただけたらと思います。

大河原:観る方がいてこその映画なんで、皆さんが観て喜んでいただけることが製作現場の励みにもなりますので、是非ゴジラと言わず、日本映画全体を応援していただきたいと思います。

富山:ゴジラ映画というのは、きょうご覧頂いた『VSメカゴジラ』はとても特徴的です。怪獣映画なんですけども、空想科学映画だったり、恐怖映画だったり、そしてとても心温まるヒューマンなファミリーピクチャーだったりするんですね。そういう怪獣映画を小さい時から観て豊かな映像ライフを送っていただきたいと思います。僕も今回観直して、映画としても楽しめたんですけども、プラス1で、佐野量子さんがとっても良かったんですね。愛情あふれる眼差しと表情で。この中に競馬ファンがいると思うんですけども、この映画が彼女の引退作品で、このあと武豊騎手と結婚したんですよね。僕としては武騎手に送った最後の仕事だったということもあって、すごく思い出深い映画だったので、そんなところもちょっと覚えていただきながら、きっと武家の子供たちもジョッキーになったりとかね、きょうお越しのお子さんたちと同じ世代だと思うので、未来に色んな形でつながってほしいと、映画がつなげてほしいと思っています。

中村:自分自身もゴジラが大好きで、都会に出てくるゴジラはすごく恐怖心があるし、美的に非常に美しい感じがするんです。東宝辞めて30年になりますので、今はゴジラファンの皆さんと一緒に、新作ゴジラ早く出せと、大河原監督と富山プロデューサーのお尻を叩く役をしていきたいと思いますので、よろしくおねがいします。(会場拍手!)

鈴木:ありがとうございました。もっともっとお話を聞きたかったのですが、お時間となってしまいました。ここでゲストの皆さんとはお別れです。ありがとうございました。


怪獣映画のスターであるゴジラの復活は2014年公開の『GODZILLA ゴジラ』で果たされた。その世界的な大ヒットを受け、『シン・ゴジラ』に続いた。次のゴジラはどのような物語で語られ、どのような姿で現れ、そして人類はゴジラに対してどのような戦いを挑むのか?超兵器の活躍は?新怪獣の登場は?不滅の怪獣王の復活をもうしばらく待ちたい。

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