蔵前神社の元犬

 これは、ちょいネタという事で。

 入谷朝顔まつり(リンク先は行った時のお話)を見たあとのこと。
 浅草まで足を伸ばして、浅草寺の鎮護堂本堂へお参り、浅草神社へお参りを済ませ、伊太利亜のじぇらぁとや(リンク先は食べログ)でジェラートを食べ(余談になるが「枝豆味」は冷やしずんだ餅の様で美味しかった)、一息ついた後に、雷門から真っ直ぐ浅草橋へ歩き始めた。

 雷門の目の前の通りを進んでいくと、左手には入ったことは無いがお祭りミュージアム、右手には行列のできる蕎麦屋である並木藪蕎麦(リンク先は食べログ)があり、進んでいくと駒形橋。
 駒形橋の脇には、浅草寺の駒形堂がある。

 そこから江戸通りにぶつかり、てくてく歩いて行くと右手には駒形どぜう本店、これからの時期は栄養タップリ、夏バテ対策にも最高のどぜう鍋が味わえる。
 その辺りから先は、蔵前を通って浅草橋に到着となり、隠れた名店などもあるのだろうが、これと言って目ぼしいものを知らない。

 話が飛ぶが、僕は交差点に差し掛かると、左右をキッチリ見る習性がある。
 その理由は、一つには安全のためであり、左右を見て自転車、車などが来ないことを確認する。
 もう一つには興味があるため。常にアンテナ全開ではないので、見落とすこともあるし、見てもきちんと認識していないこともある。
 何度も通っているけれど、ある日突然「はっ!」と気付くことがある。この日もそうだった。

 駒形を通り過ぎ、蔵前に入り、目ぼしいものを知らないのでスタスタと歩みを進めて行く。
 途中、交差点に差し掛かり、いつも通り右をじーっと見てみると、奥に真っ赤な鳥居が見える。
 渡りかけた横断歩道を引き返し、鳥居目指して方向転換。
 1つ目の曲がり角で、再び右をじーっと見てみると、そちらには石の鳥居と神社の名前を彫ったと思しき石碑が。
 そちらが正面だと判断し、近付いてみたら「蔵前神社」と書いてある。

 住宅地の中にポツンとある、と言えば良いだろうか。境内はそこそこの広さでどちらかと言うとガランとした雰囲気。
 少し気になる物を見かけたのだが、まずは参拝をして、その気になる物の所へ足を進める。

 さぁ、その気になる物と言うのが、タイトルになっている「蔵前神社の元犬」。

 何とも愛らしい犬の像。下にはキッチリと「元犬」と書かれている。

 斜め前から見ると、こんな感じ。とにかく愛くるしい。
 実は元ネタを知っているのだが、わざとらしく「神社にこんな立札がありました」をやってみると。

 古典落語「元犬」(もといぬ)のあらすじは落語を聞いて頂きたい。或いはサゲまで書いてあるがWikipedia「元犬」の項を参照して頂きたい。

 要は落語に出て来る白犬を銅像にしたのが「元犬」像なのである。

 さて、ここまで長々と書いて来たが、この「元犬」像を一目見た時から、ずーっと言いたいことがある。

 「元犬」では白犬が蔵前の八幡様のお陰で人間となり、珍騒動を起こす話である。
 「元が白犬」なのである。
 とすると、この銅像は白犬の像なのだから、「元犬」ではなくて「犬」なのではないのだろうか。
 「元犬」の像であれば、四ッ足で歩こうとする人間の像こそが相応しいのではないだろうか。可愛らしくもない人間の不思議な像を見て、何が楽しいのかは分からないが。

 …そんな無粋な事を考え、蔵前神社を後にし、浅草橋へと向かうのであった。

 さて、蔵前神社のホームページには、気になった方もいるであろう「蔵前神社」と「蔵前の八幡様」の関係、「元犬」像のモデルとなった可愛らしいワンちゃんの写真、その他神社に関わる色々な情報が掲載されている。
 気になった方は是非ご覧頂きたい。

行った日:2016年7月6日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?