#田渕
ばあさんとの散歩をすっぽかす
七月十五日(金)田渕
昼食を食べ、薬を飲み、うとうとしていると夢を見た。至って普通の、目が覚める頃には忘れてしまうような夢だ。
しばらく横になったまま、廊下から聞こえる声に耳を傾けていると、福留さんと小坂井さんが病気の話をしているところへ、私を呼びに例の婆さんが現れたようだった。
枕元の時計は午後三時を指していた。散歩の時間だ。婆さんが病室の前でうろうろする気配を感じながら、すぐに
イボ痔の手術を手伝う
七月三十一日(日)田渕
またまた妙な夢を見た。
私はナースステーションの前に立っていた。これから起こる出来事を、私は知っている。ドアを開けると部屋の中は空だった。
不思議と恐怖感はなかった。イスに座り、誰かが来るのを待っていると、後ろから聞き覚えのある声がした。振り返ると、大野とかいう看護師が息を切らし、張り詰めた顔で私を見ていた。
「田渕さん、ここにいたんですか」
「ええ、