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自分語り

いやー、こんなに大きくなったの?前会った時まだ小学校入りたてじゃなかった?
へぇーもう5年も経ったんだ。もうサッカーまで習い始めたの?
すごいねー子どもの成長って本当少し目を離したらわからなくなるもんだねー

あの時はそっか、おじさんも上京してから必死だったなぁ。
あれから5年も経ったのか。
大学を卒業して昔からの自分の夢をかなえるために
「とりあえずは市場規模が大きい東京で修行しないと」なんて思ってたなぁ。

そんなことは甘えだったなんてすぐにわかった。18年間東京で住んでいるかどうかという経験は、もう親ガチャで決まっているんだよなぁ。
「与えられた環境の18年間」をそんじょそこらへんの努力でなんとかなるなんて甘えた考えを持ってたなぁ。それでも早速地元に帰るなんて東京敗北宣言を掲げているような気がして、必死でくらいついたんだよ。

くらいついたなんて言ったら聞こえはいいけど、もう敗北宣言みたいなもんだったよ。締切にはビクビクして、毎日食べる食パンの味変を、チョコソースにするかマーガリンにするかを考えているだけで2時間経ったなんてクソみたいな悩みに答えが出ないくらい、麻痺していた気がしている。

そんな頃君は幼稚園で楽しい生活してたんだね。将来の夢は何かな?
サッカー選手かー。いいね、日本サッカーもレベルが上がってるからね。プロリーガーならまだYouTuberよりも現実味があるかもねー。頑張ってね。

久しぶりに帰省した実家には、5年間解決の先送りをしていた現実が転がっていた。
甥っ子はそれを具現化した物体で、僕には何もなかった。
5年前から何も変わっていない。増えたのは家族からの不信感と、東京での無駄な時間だった。

地元に帰ってきて、わかったことがある。
東京とそのほかの地域になんの違いもない。
どこでもだれでも何でもできるのだ。
東京に行けばなにかある、東京に行けばなにかを得られる。
そういう考え方をしている時点で負けていた。
なぜ東京で働くことにそこまでプライオリティを感じていたのだろう。
全然どこでもなんでもできるじゃないか。
地元に帰ることがなぜそこまで敗北だと自分で決めつけてしまったのだろうか。

3年前誰かが言った「俺らは都落ちにならないようにしなきゃな」という言葉が、がんじがらめの自分の人生を作ってしまった。

まだ僕も将来の夢を語っていいのかな、この年で将来の夢って辛いな。
10年前の僕の将来の夢は今の僕なのに。

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