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『コロナ後の世界』パート3 新型コロナで強力になったGAFA (スコット・ギャロウェイ)

⑤新型コロナで強力になったGAFA スコット・ギャロウェイ

『コロナ後の世界』のまとめパート3

▼パート2はこちら

パート3はGAFAについてスコット・ギャロウェイ教授の文章。

Google, Apple, Facebook, Amazon(GAFA)を「ヨハネの黙示録の四騎士」にたとえ、『the four GAFA』を記した、ニューヨーク大学スターン経営大学院のスコット・ギャロウェイ教授。ブランド戦略とデジタルマーケティングを教え、自身もシリアル・アントレプレナー(連続起業家)として9つの企業を立ち上げたギャロウェイ氏が、GAFAの功罪とパンデミック後のGAFAの動向について説き明かした。

▼ギャロウェイ氏の『the four GAFA』


社会を分断するアルゴリズム
「怒り」と「つながり」を求めるアルゴリズムとビジネスモデルが、フェイクニュースを生み出し、社会を分断している。
このアルゴリズムは、あなたの政治的な好みを見極め、その考えを支持する記事を勧めるだけでなく、反対陣営の印象を悪くするデータも提供し始める。たとえそれが虚偽の内容であってもおかまいなし。自分の政治的立場を補強してくれる記事を読むことは同族意識をくすぐり、ユーザーに満足感を与えるから。その結果、社会の二極化が進行する。

我々はメディアではない
Facebookは、“我々を”メディアと呼ばないでくれ。我々はプラットフォームだ“という態度を貫き、社会的責任を回避している。アメリカ人の44%がFacebookブックでニュースを見ているにも関わらず。
何度もギャロウェイ氏が指摘していることは、GAFAの唯一のミッションは金儲けだということ。我々はこのことを心に留めるべきだと警告している。
Facebookの使命は金儲けであり、彼らは自分たちの仕事をしているだけ。ミスをしたのは我々。このような企業に対して、他のメディアと同じ基準を守らせる政治家を選ばなかったから。
私たちがイノベーターを偶像崇拝し、そしてこれらの企業が政府をも動かす資金力を持っていることは、危険な組み合わせ。GAFAは何十億人もの生活の価値を高めていますが、彼らの目的は、がんの撲滅や貧困の根絶ではなく、つまるところ金儲け。

こちらの書籍『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』にもSNSが分断を拡大させることに言及している。
「「アイデンティティの分断」は、人々に政治的な特定集団に対して過度の帰属意識を促し、対立する集団を敵対勢力として認識させる社会状況を指す。実は、民主主義社会におけるアイデンティティの分断は、選挙のマーケティング技術の発展によってもたらされている。そして、選挙のマーケティング技術は、知識人・メディア・情報技術の組み合わせによって日々進化している。」
「一つの成熟した民主主義国で発見された「アイデンティティの分断」は、高度に発達したメディアやSNSの力を借り、国境を越えて地球上のあらゆる地域に拡大していく」


生き残るのはどこか?
GAFAの中で最も生き残る可能性があるのはどれか?難しい質問だがと前置きのもと、ギャロウェイ氏は「私はAmazonだと思います」と回答。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の存在感が圧倒的に増していること。この五年間で最も革新的なハードウェア商品はアマゾン・エコーではないかということ。GAFAは様々な分野で食い合っているが、Amazonと重なるときは、たいていの場合Amazonが勝つとの見解。

企業はいつか必ず死ぬ
歴史的に見ると企業の死亡率は100%と話した後に、大学の話に。
パンデミックでの最大の驚きは、二流大学の混乱、とのこと。アメリカは学費が高くても、可能であれば子供を大学に進学させるべきと考えられてきた。しかし、パンデミックで大学が閉鎖され、オンライン講義を受けるようになると、この程度の教育に年間58,000ドルを支払う価値はないと多くのアメリカ人が考えるようになった、とのこと。
入流のイエール大学であれば、ワールドクラスのブランド価値があるので、年間58,000ドルを払う意味があるが、二流大学のブランドとZoomの講義に同じ金額を支払う人はいません。全米に2,800の大学がありますが、今後5年で500~1000校は倒産する可能性があるとのこと。逆に一流大学にとってはチャンス。講義の半分をオンラインで行えば、教室を倍にしたのと同じこと。学生の登録数を大幅に増やすことができる。この40年で14倍にも値上がりした授業料を下げることが可能になる。

▼日本でも大学に変化が。。。


「都合の悪い事実」
GAFAはパンデミックでもパワフルになり、全体の70%~80%の企業は弱体化する。つまり、格差がさらに拡大する。危機を乗り越えた巨象は、競争相手がいなくなったので、ゆっくりたっぷりとエサの葉っぱを食べられる。

ここから先はNYダウが2020年11月に30,000ドルを超えたことにも繋がる内容。この本がは7月の初版。すでに兆候はあったのだろう。
実際の経済では何が起こるか?株式市場の好況に沸くでしょうとコメントしている。というのも、株価は実体経済全体を表しているのではなく、富裕層トップ10%の経済的繁栄を反映している。その10%の人々が株式の80%を保有しているから。NASDAQを見て、それが実体経済の指標だと勘違いするのは危険。

“NEXT GAFA“の名前
現在、GAFAのライバルは中国のBAT(検索エンジンの百度、IT企業の阿里巴巴、SNSの騰訊)。BATが世界で最も価値のある10の企業にはいることは間違いない。
「今や、インタネットは2つある」と言われている。西洋のインターネットと、中国のインターネット「Great Firewall」
中国の企業はアメリカに入ってくる様子はない。中国政権とアメリカが、非常に外国人嫌いで、愛国主義者だから。
BATとGAFAがぶつかり合う場所は、アメリカでなく、アフリカやインド。

もちろん日本企業も、“NEXT GAFA”のプレーヤーとなる可能性はある。ただ、もっとリスクテイキングを文化として認めるべき。

次の1000億ドル長者は
GAFAやBATに続く企業はどういったものになるでしょうか。AIを挙げる人が多いですが、AIをどう使うかが問題。私は1000億ドル長者は、テクノロジーとイノベーションをヘルスケアに投資し、応用する人だと思う。とのこと。
なぜならヘルスケアは時間の節約になるから。これまで病院で無駄にした待ち時間、治療にかかった時間を他の事に使えるから。今、大半の人がコスト削減に重点を置くが、Big winnerになるのは、時間を節約してくれる企業。

SNSを使用する10代の子供たちの間で鬱が増加している。ソーシャルメディアが、彼らに不安や劣等感をもたらすことが原因。スティーブ・ジョブズをはじめ、多くのテック企業の幹部は、自分の子供たちにiPadなどのデジタルデバイスを使わせなかった。テクノロジーに詳しいからこそ、それが与える害を認識していることを物語っている。GAFAの負の側面から、私たちは目を逸らしてはいけません。

落合陽一は「生まれた直後、最初のプレゼントとしてスマホをあげました。」とのこと。。。何が正解かは分からない。

私見
Twitterでフォローすると「おすすめ」が出てくる。その提示内容はフォローした人物と同じ思想や考えを持った方々だ。私はそのアルゴリズムに左右されないよう、おすすめをフォローせず、あえて逆の思想を持った方をフォローするようにしている。1人フォローするたびに、逆サイドの人を1人フォローする、といった感じに。新聞社もFOXとCNNの両方を、産経、読売新聞と朝日、毎日新聞をフォローする。

Amazonでも「この商品を買った人はこんな商品も買っています」からの売上が多いと聞く。自分で買っているのか、買わされているのか。。。

株価と実体経済とのギャップをひしひしを感じる。資本主義なのだから、そのルールのもとに行動すればよいのだろうが、私は中々そこに一歩進むことができない。お金=悪、とまでは思っていないが、何かしっくりこない。この感覚を言語化できるよう、そして、どのように社会を捉えて自分で行動していくか死ぬまでには明確にしたい。

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