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目に届かないことをいいことに書くラブレター

前略

あなたと出会ったとき、あなたは誰かの彼女でした。赤い眼鏡がトレードマークで長い髪をなびかせて、楽しそうに笑っていたのを覚えています。ちょうど桜がきれいな季節でしたね。

話すきっかけは何だったか、いつからかいろんなことを話すようになりましたね。気が合う私達は何でも話すようになりましたね、当時付き合っていた彼女についての相談、勉強のこと、部活のこと、音楽のこと、いつからか彼女より気になる存在になっていました。

優しすぎて奥手の彼氏と別れ傷ついていたあなた、高校一年生で経験することのないような経験をして別れた私、だんだんと惹かれ合って、私達は付き合いましたね。

付き合ったあなたは可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。小さな身長、笑う顔、私を呼ぶ声、抱き返すとき背中をぎゅっと握る手、すべてが愛おしかった。

幸せなときは長く続きませんでしたね。子供だった私は、好きが先行して、あなたの気持ちを汲み取ることができず、すれ違い別れることになりましたね。

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会ってもしばらく話すことはなく、同じ部活で顔を合わせるのも辛かったです。それでも優しいあなたはいつからかまた普通に接してくれて、いつしか誰よりも信頼できる友人となりました。高校を卒業しても、連絡の回数が減っても、合う回数が減っても、関係は変わらなかったですね。

魅力的なあなたは、人の魅力を見つけるのが得意で、献身的で、厳しくて、誰よりも優しかった。そしていつもパートナーがいた。友達から先に進むことのなかった私は、めくるめく変わる素敵なパートナーたち、尻軽ではなく、全員に対して真剣で、本気で、毎回しっかり傷ついて、しっかり立ち直る。どんどん強くなってキレイになるあなたでした。

後ろは振り向かないと、一回付き合った人とはもう付き合わないと、私は何度か振られましたね。事実誰とも戻ることはありませんでしたものね。未練がましい私の気持ちはバレバレで、それでも優しいあなたは私と会って、沢山たくさん話しをしましたね。本当に楽しかった。

結婚の話は、知りませんでした。
誰にも言ってませんでしたね。
高校時代の周りのみんなびっくりしてました。
変なところだけ秘密主義なのがあなたの悪いところです。
腹立ちました。
水臭いったらありゃしないんだから。

でも、嬉しかったです、すごく嬉しかったです。あなたが幸せそうなことが文面から伝わってきました、あなたが選んだ人に間違いがあるはずないのだからそりゃそうですよ。ウエディングドレス姿、すごく素敵でした、少し目が潤みました。

この感情は悔しさとか、悲しさだけじゃない気がしています。実らなかった恋が、、、なんてものではない。
心からあなたの幸せを喜べました。

君の運命の人は僕じゃないだなんて、歌で聞くとどこか他人事のように聞こえるけれど、文章を読み返すと少し笑えます。あなたはとてもキレイです。軽薄な私の軽薄な言葉、どこまで本気で聞いてもらえるでしょうか。

大好きで大好きで仕方がないあなたが、これからも幸せでありますようにと祈りを込めて、この文を締めます。

お幸せに

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草々不一

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