自分と向き合う問い
先日、ドラッカー風エクササイズの"B面"に取り組む機会がありました。
自らの得意領域や貢献ポイントを可視化する、いわゆるドラッカー風エクササイズ (A面) はよく行いますが、"B面"と呼ばれる不得意領域や「かつてやらかしてしまったこと」については久しぶりに向き合いました。
ドラッカー風エクササイズについては、アジャイルサムライやカイゼン・ジャーニーといった書籍が詳しいです。
また、ドラッカー風エクササイズの"B面"を初めて聞く人は、書籍チーム・ジャーニーやこちらの記事をぜひあたってみてください。
"B面"は、A面同様4つの問いによって構成されています。
このうち「自分の地雷 (踏まえれると爆発すること) は何か?」は、A面に付け加えて取り扱う機会も多いのですが、4つすべてに向き合うことは数年ぶりでした。
「むかしチームメンバーの期待に応えられなかった事件とは?」
"B面"の問いのひとつに、「むかしチームメンバーの期待に応えられなかった事件とは?」といったものがあります。
誰しも、大なり小なり数々の失敗を積み重ね、乗り越え、現在に至っているかとは思いますが、私が記したのは、「オーバーコミット」でした。
かつて、とあるプロジェクトにおいて、自分がリード的ポジションで、プロジェクト初期の不確実性が高い段階であったことから、役割は比較的広範 (だと思っていた) であり、当時は経験も浅かったため、なんでも引き受けてしまっていました。
当然ながら、今思うと、「できること/やるべきこと」と「できないこと/やるべきではないこと」の境界をしっかり見極めるべきところを、見定められず、なんでも「わかりました」「やります」と応じていました。
気付いたときには、すでに自らの専門性があまりない領域に踏み込んでいましたが、「自分の経験のなさだ」と勝手に理解し、その領域に明るかったり経験が厚い諸先輩方の助言を仰いでプロジェクトと接していました。
ですが、次第に「借りてきた言葉」に埋め尽くされて、手遅れになってしまっていました。
そのプロジェクトは初期段階であったこともあり、検討を一時停止することとなり、静かにしぼんでしまいました。
ふりかえりを経て
ゆるやかに沈んでいっていたこの失敗は、プロジェクトのなかでは取り返すことができませんでしたが、先々で活かすためにふりかえりを実施しました。
(なお、このふりかえりは、ひとりでも行いましたし、何人もの同僚にも協力してもらいました。きっとひとりだけではうまく向き合えなかったと思います。)
このときの経験は教訓として、その後の自分が、「期待合わせ」というものに重心をかけるきっかけとなりました。
もちろん、この事件よりも前からドラッカー風エクササイズは知っていましたし、実践もしていました。
「期待合わせ」がうまくいかず、議論が平行線になったり、話がずれていく経験もしていました。
ですが、「期待合わせに大失敗するとどうなるか」の経験はあまりなかったため、「チームビルディングとしてやることだよね」という認識の域を脱していませんでした。
ドラッカー風エクササイズ "B面" の問いは、このように自分の心を見つめるようなものが並んでいます。
チームのメンバーと行わなくても、まずはひとりで
"B面" では苦手なことや失敗を表明することになるので、チームメンバーと共有する、シェアすることを前提に置くと、なかなかやりづらいところがあるかと思います。
少なくとも、A面のように「初回のチームビルディングとして」実施することは、逆効果になり得ます。
問いひとつひとつは、自分の経験をふりかえり、苦手なことを受け入れるきっかけとしては、大変効果的だと思います。
なので、まずはひとりで、自分と向き合ってみてください。
こちらの記事は、シン・アジャイルコミュニティの【ほぼ月刊】シンアジャマガジン Vol. 7のトピック「つまずき、そして、たちあがり」としてエントリーしています。