「学校に行かない。」

息子が初めて「学校に行かない」といったとき、

「『行きたくない』ではなく、『行かない』というあたりが、この子らしいなあ。」

と思った。もう自分で「行かない」と決めている。私が何か言ったところで、彼はもう、決心してしまっているだから、私があれこれ心配しても仕方がない。

「そうかあ、じゃあ、先生になんて言って休もうねえ。『行かない』って言ってますよって言ってもいい?」

と尋ねると

「それはやだ。また怒られる。」と、息子。

ああ、この子は、今きっとどんな注意も攻撃されていると感じてしまっているんだな、「そんなつもりじゃなかった」「わざとじゃなかった」という気持ちが残ったままで、注意を冷静に受け取る余裕がないのだな、と感じた。

先生とも対話する場を設けてもらった。いろんな話をした。

同じ教室ですごしながら、起きた事象について、受け止め方が先生と生徒でこうも違うものなのだなあ、と思った。息子にも改善しなくてはいけないところがたくさんある。それは当然として、先生も息子の気持ちに寄り添う余裕はないのだな、とも感じた。

帰宅してから、息子が「何の話、先生としたの?」と不安そうに尋ねてきた。「あなたが心配するような大した話じゃないよ。」と答えた。

そして、出来る限り言葉を選んで、私が思っていること、感じたことを話した。

やるべきこと、してはいけないことは、自分の感情に惑わされずに、きちんと見極めなさい。

自分の感情の波にさらわれて、人に対して礼儀のない振る舞いはやめなさい。


もっと血相を変えて怒ってくるだろうと思ったが、思い当たるふしがあるのか、黙って聞いている息子。顔にマスクの日焼のあとがついている。運動会の練習のせいだろうか。


風呂に入っていると息子が脱衣場にやってきて、扉越しにこう言った。

「やっぱり学校もうちょっとがんばってみる。」

うんうん。今でも十分頑張ってる。応援してるよ。

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