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二重閾値トレーニングまとめ

💡超要約: 二重閾値トレーニングは、スイートスポットで行われ、筋肉を消耗させずに無酸素性閾値を高くするための取り組みである。無酸素性閾値手前付近の強度で週2回行い坂ダッシュなどプラスして行う。また、トライアスロンの(エイジ)選手にとって、可能な限り高い無酸素性閾値を持つことは、エイジグループの選手にとっても最優先事項であるべき。有酸素性閾値やアイアンマンレースのペースを中心にトレーニングを行うことが推奨される。実施方法は単一種目ではなく複数種目で二重閾値を行ってもよいが、中距離の実施例と同じく2~3.0mmolで行う。

二重閾値トレーニングとは

The Norwegian model of lactate threshold training and lactate controlled approach to training.より

二重閾値トレーニングとはスイートスポットで行うもの。スイートスポットは、4mmolから多くの場合3mmol/Lのゾーンに当たるケースが多い。
二重閾値トレーニングは、筋肉をできるだけ消耗させず(オーバートレーニングを避け)に閾値を高くするための取り組みである。
レースペースのトレーニングでは無酸素性閾値(LT2)にしかアプローチできないが、無酸素性閾値(LT2)は有酸素性閾値(LT1)に影響されるため、LT2よりやや低めのスイートスポットで行う
中距離選手の代表的な取り組みとしては、週2回、朝夕2回両方閾値トレーニング、ヒルトレーニング1回を行い、週総負荷180kmほど(ブロッキング)
閾値トレーニングの種類は朝晩で異なり、1回はやや短めのインターバル、2回目はやや長めのインターバルで、無酸素性閾値付近で強度を変化させる
(朝6分インターバール、夕方は1分インターバル(R30”) or 45秒インターバル(R15”))
夏・冬は乳酸を測定を集中的に行う

ポイント

  • できるだけ早い時期からスイートスポットでスタートする

  • レベルが上がるほど差が生まれる

  • 短時間の閾値トレーニングでは閾値に近い値を維持するのが理想

  • 45秒や1分インターバルではわずかにオーバーするぐらいが理想

  • トップランナーほど正確な値を出す

  • 高地トレーニングを活用して筋負荷をさらに軽減させる

  • 夏は暑さの影響を抑えるためトレッドミルを活用する

  • 夏と冬に体系的なコーチトレーニングを行う

  • 無酸素性作業閾値(LT2,AT)まで触れる低域での閾値トレーニング

効果的なアプローチ

  1. 乳酸値が2.0から3.0まで徐々に上昇するプログレッシブ・セッション

  2. 3.0を下回り、3.0まで上がるセッション

  3. 閾値より0.4~0.8低いところにとどまるフローティング・セッション。

例として、高地トレーニング後は、より慎重に、閾値より0.4~0.8低いフローティング・モードにとどまり、一方、10~18日の高地トレーニング後の最高の時期には、3.0前後の、よりアグレッシブなトレーニングを行った

具体的なメニュー

Bjørnar Kristensen 3000m SC EU.championship 2010 8th
月曜日:イージー/距離15キロ+イージー/距離12キロ
火曜日:閾値+閾値(+ストレングス)
水曜日:イージー/距離16キロ+イージー/距離10キロ
木曜日:閾値+閾値
金曜日:イージー/距離15キロ+イージー/距離9キロ(+ストレングス)
土曜日:強度の高いヒルトレーニング+イージー/距離10キロ
日曜日:イージー/ディスタンス21キロ

Kalle Berglund 1500m 3:33
月曜日:イージー/10km+イージー/10km 技術,スピード
火曜日:閾値 2,5mm 5×6分(R=1’)+閾値 3,5mm 10×1000m (R=1’)
水曜日:イージー/10キロ,ストレングス,コア,足怪我予防
木曜日:閾値 2,5mm 5×2km (R=1’) + 閾値 3,5mm 25×400m (R=30”)
金曜日:イージー/距離10キロ
土曜日:ヒルトレーニング8,0mm 20×219m 70sjR /距離10キロ
日曜日:ディスタンス/20キロ + ストレングス、ウェイト、Dジャンプ、コア、バランス
(mm = mmol/l = lactate value)

ノルウェーのトライアスロン選手の場合

Arild Tveiten – coach of Kristian Blummenfelt, Gustav Iden and Casper Stornes on triathlon training the Norwegian way | EP#223より

2-3mmol/lの強度に置く低LTゾーン(スイートスポット)に厳しくフォーカスしている。
ゾーン3は通常2.0から3.0のLTゾーンである。このセッションでは約0.3~0.5低くなる。
Arild Tveiten(コーチ)による説明
私たちはダブルスレッショルドを多く行っていますが、3つの種目があるので、常にそれぞれの種目のセッションを1回ずつ行います。午前中に閾値スイム、午後にバイクでロング・トランジション・ワークアウト、そして閾値インターバル走というように、1日にすべてのセッションを行うこともある。あまり頻繁にはやらないが、早くても20~25日くらいだ。

高地における4日間の標準的なピリオダイゼーション
1日目:閾値セッション2回/閾値ランニング2回、イージーセッション1回。
2日目:ロングイージー(5~8時間のトレーニング)
3日目:閾値セッション2回、イージーセッション1回。
4日目:2時間程度の簡単なトレーニング。
そして一般的に、閾値の周辺ではトレーニングの種類に多くのバリエーションがある

強度管理について

  • イージーセッションは1mmol/l以下

  • インターバルは3つのゾーンを大事にしている

    • FatMax Zone 130~150bpm cf)omni clac

    • 無酸素性閾値 (LT2)

    • VO2max

  • レースが近くなるとVO2maxや特定のレースペーストレーニングなどより強度の高いトレーニングを行う

  • 可能な限り高い無酸素作業閾値を持つことは、ほとんどのトライアスロンのレースシーンにおいて非常に有益

  • 高い無酸素性閾値を持つことは、最大強度以下のすべてのレベルにおいて脂肪を燃料として利用するために非常に重要であり、これは長時間の競技において非常に有益

  • 無酸素性閾値トレーニングを行う時は2.5~3.0mmol/Lの間を目指す

  • 乳酸閾値を推定するために8×6分ランプテストを行う

    • 乳酸閾値(有酸素性閾値/LT1)より下からスタートし、無酸素性閾値(LT2)より上に少なくとも2段階あることを確認する

    • バイクであれば5%、ランであれば1㎞/時出力を上げ、その作業を最低でも2プロセス行う

    • スイムでは8×500m

    • これらのプロトコールに従って閾値を推定すると、通常、無酸素性閾値(LT2)の基準乳酸値としてよく使われる4mmol/lではなく、2.5~3.0mmol/lの乳酸値に収まります。

  • VO2max測定は別の方法で行う

    • VlaMax = Volume Lactate Maximum → 無酸素キャパシティ

    • VO2maxは最大酸素摂取量。これはあなたの有酸素パワーの指標です。

    • VLamaxは、グリコーゲンを燃焼させてパワーを低下させ、乳酸を生成して有酸素系に供給する細胞の能力です。cf)What is VLamax

エイジグルーパーのためのトレーニング

多くのエイジグループのアスリートは、強度の低いセッションを軽視し、強度を求めてトレーニングする傾向があるように見受けられます。
しかし、無酸素性閾値を向上させること(閾値インターバルを行うこと)は、エイジグループの選手にとっても最優先事項であるべきだ。
多くの年齢層の選手にとって、極端に楽なトレーニングをすることは、おそらく時間の投資としてはベストではないでしょう。
それならむしろ、有酸素性閾値やアイアンマンレースのペース(アイアンマンディスタンスが主な目標である場合)を中心に、たくさんのトレーニングを行うことをお勧めする
ただし、重要なインターバルトレーニングのためにフレッシュな状態にしておくことは重要だ。 多くのアマチュアは、決められたトレーニングをやらずに、ただ外に出て自分が楽しいと思えるトレーニングをやった方がよいときもあると私は思う。
ほとんどのアマチュアは細かいことに気を配りすぎて、最も重要で大きなパズルのピースを忘れてしまう。 エイジのトライスリートはプロのトライアスリートよりもストレスの多い生活をしているのだから、リラックスし、楽しむことを優先することがトライスロンをやる上で重要だと思っている。だから、時には心拍計やパワー・メーターなどの器具を持たずに、ただリラックスしてトレーニングを楽しむべきだ。


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