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ビートルズが教えてくれた

親や学校よりも、深夜ラジオに教わり影響を受けて思春期を過ごした。傍らには吉田拓郎やビートルズ。

拓郎は、「女王陛下はいい女だからつきあってみたい/それも自由だとビートルズは教えてくれた」と唄った。
ビートルズは同時代ではないし、両方ともオレより上の世代の象徴だけど、拓郎もかっこよかったし、1曲3分に満たないメロディーに手放しで酔った。そう、手放しで酔った。

アーティストとして表現者としてジョン・レノンが素晴らしいなどと思うようになったのは、もう少し後のこと。

今年21歳の長女が小学校卒業式の前日、オレが「明日は泣きそう?」と聞くと、彼女はいつものポーカーフェイスで「別に。そういえば入場のBGMは、父さんの好きなビートルズだよ」と言った。

このあいだ、リバプールで留学中の長男が、娘とオレを“ビートルズ発祥の地The Cavern Clubに案内してくれた。らせん階段を地下に降りて入口をくぐると、古い映像で記憶がある空間があらわれた。

「お兄ちゃんが地元イケメン若者が集まる場所に連れてってくれる」ぐらいに思っていた妹のほうは、平均年齢高めで混雑しているホールに、ちょっとしらけ顔。

狭いステージで馴染みのナンバーが次から次へと演奏される。まあ冷静になれば観光客が多いのだろうけど、レンガ洞窟は、伝説にふさわしい雰囲気を作っていた。
実は前の店で飲み過ぎて、かなり酔っぱらっていたのだが、思い返すと、もう一度はないであろう貴重な時間を過ごせたと思う。

※2015年5月


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