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舞台・海辺のカフカ

映画監督のデビット・リンチが、「マルホランド・ドライブ」(2001年米・仏)について聞かれたインタビューで、「映画も音楽のように感覚で楽しむもの。自分が感じ取ったことを信用すること。自分なりに理解したという感触を他人に言葉で伝えるのは難しいが、理解に変わりはない」と話していた。

先週見てきた「舞台・海辺のカフカ」について書こうとしたら、このデビット・リンチの言葉を思い出した。蜷川幸雄演出による「カフカ」が、ロンドン、ニューヨークの次にさいたま芸術劇場であって、その後シンガポール、ソウルの5都市で上演されると知って、衝動的にチケットをとった。その甲斐があった。
舞台を見慣れていない私としては、決してわかりやすいストーリではない村上春樹作品にあまり期待はなかった。

大きな透明ケースに閉じた“場面”や“大道具”がステージを滑るように移動していく舞台転換。
異空間を演出するために考えつくされた仕掛けや俳優たちの演技に、静かにゆっくりと、その世界に引きこまれて行った。

※2015年10月 

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