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【将棋】ノーガード戦法?「鳥刺し」ー3二銀型四間飛車攻略のコツー



概要

「鳥刺し」は将棋の四間飛車・三間飛車などの対振り飛車戦法の一つで、プロ・アマ問わず刺されることの少ないマイナー戦法です。
マイナーであるがゆえに、振り飛車側の対策が進んでおらず、作戦勝ちしやすい側面もあります。
どんな作戦かというと、
・本来守りに使う左銀を前線に繰り出す
・角道を開けない
というかなり異質な作戦です。

今回はそんな鳥刺し対3二銀型四間飛車の序盤戦と鳥刺しの指し方のコツを、私のネット将棋の棋譜をもとに解説します。

鳥刺し対3二銀型四間飛車の基本図

図1 基本図

図1は鳥刺し対3二銀型四間飛車の基本図です。基本図までの棋譜は下記の通り。
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 2五歩(26)
4 3三角(22)
5 4八銀(39)
6 4二飛(82)
7 5六歩(57)
8 6二玉(51)
9 6八銀(79)
10 7二銀(71)
11 5七銀(68)
12 7一玉(62)
13 6八玉(59)
14 5二金(41)
15 7八玉(68)
16 3二銀(31)
17 7九角(88)
18 9四歩(93)
19 3六歩(37)
20 4四歩(43)

現局面を簡単に解説すると、
鳥刺し:囲いが明らかに薄いが、左銀が攻めに活用できる位置にいる
四間飛車:囲いの手(9四歩など)を優先したため、攻めに使用する左銀がやや遅れ気味
という状況で、すでに鳥刺し側が作戦勝ちしており、次の手からいきなり仕掛けていきます。

鳥刺しの仕掛け

図2 左銀で仕掛ける

図1から図2までの手順は下記の通り
21 3五歩(36)
22 4三銀(32)
23 3四歩(35)
24 同 銀(43)
25 4六銀(57)
26 4五歩(44)
27 3五銀(46)

鳥刺しは、5七銀左~4六銀~3五銀の「斜め棒銀」と呼ばれる攻め方を主軸に考えます。そのため、仕掛けの第一歩として、3五歩が必要になります。
四間飛車側は、鳥刺しの斜め棒銀をすんなり成立させてはいけないため、4三銀と歩を取り返せる形にします。図1の基本図に至る過程で、9四歩の一手を省略して飛車側の手(4四歩~4三銀)を優先していれば、▲3五歩に△3二飛(参考図1)としておく展開もあり、こちらのほうが振り飛車らしくカウンターを狙う展開になりやすいでしょう。


参考図1  四間飛車らしい受け方

▲3四歩~▲3五銀の銀交換まで進めば、鳥刺し成功といっても過言ではありません。このまま何もしなければ▲3四歩(参考図2)がとても厳しい手になるため、四間飛車側は何かしら受けの手を指さなければなりません。

参考図2 △8二玉などの余裕がない

いったん冷静に

図3 冷静な角引き

図2から図3までの手順は下記の通り
28 同 銀(34)
29 同 角(79)
30 3四銀打
31 6八角(35)

銀交換までは必然の流れで、▲3四歩を打たせないために△3四銀としてきました。ここは△3四歩のほうが自然でしょうが、どちらであっても鳥刺しの指す手に変わりはありません。△3四銀の局面では▲2四歩などもちらつくとは思いますが、△3五銀▲2三歩成△1五角(参考図3)とされ、鳥刺しの囲いの薄さが響く展開になります。

参考図3 と金は作れたが、駒損&囲いの薄さが気になる

ここで、鳥刺しを指すうえでの最大のポイントをお伝えします。
ズバリ、「銀交換後は冷静に」です。

図3の局面の状況をまとめると、
鳥刺し:あと一歩で四間飛車の捌きを封じることができる
四間飛車:美濃囲いがしっかりしており、鳥刺しの囲いよりも耐久性がある
となっており、それぞれに主張がある局面です。
囲いの耐久性についてはもうどうしようもないので、四間飛車の捌きを封じて、鳥刺し側の明確な主張を作りに行く必要があります。
その際に、激しい駒交換の展開になってしまうと、四間飛車がいわゆる捌け型になってしまうため、鳥刺しの主張がなくなってしまい、勝ちづらくなります。
そのため、「銀交換後は冷静に」対処しなければなりません。

抑え込む

図4 四間飛車の左銀を抑え込む

図3から図4までの手順は下記の通り
32 8二玉(71)
33 3五歩打

私の実戦では四間飛車側に8二玉という悪手が出たため、この後は一方的に攻めることができました。図3では△3五歩(参考図4)と辛抱するよりなかったようです。

参考図4 辛抱して反撃の機会をうかがう

参考図4の場合は、▲3七銀~▲3六歩と合わせて銀2枚を持ち駒にできそうな先手の調子が良いが、それでも本譜よりはましな変化です。
▲3五歩が厳しい手で、四間飛車側は銀を引くよりないですが、そこで▲3四銀(図5)がわかりやすく厳しい継続手です。


図5 角頭から覆いかぶさる。鳥刺し作戦勝ち

図5では△同銀以外の対応が難しいが、そうすると手順に3四まで鳥刺し側の歩が伸びてきて、2筋の飛車先交換ができるようになります。図4以降の具体的な手順は下記のとおりです。
34 4三銀(34)
35 3四銀打(図5)
36 同 銀(43)
37 同 歩(35)
38 4四角(33)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 同 飛(28)
42 2二歩打
43 3五銀打(結果図)

結果図 鳥刺しの駒得がほぼ確定し、鳥刺し有利

まとめ

今回は3二銀型の四間飛車を相手にした場合の鳥刺しをご紹介しました。
鳥刺し側のポイントとしては、
・5七銀左~4六銀~3五銀の「斜め棒銀」
・「銀交換後は冷静に」
です。
上記2点を意識して指せば、あなたも今日から鳥刺しマスター!?
対振り作戦の変化球として、おすすめの作戦です。
※局面図は 共有将棋盤 (shogi-extend.com) の機能で出力しています。


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