【将棋】後手番の積極的な戦法!鬼殺し向かい飛車ー基本の戦い方と実践例について 前編ー
概要
今回は角道を開けたまま、いきなり向かい飛車にする「鬼殺し向かい飛車」という作戦を、私の将棋ウォーズ実戦譜をもとに解説します!
普通の向かい飛車はやや受け身的な作戦なのに対し、鬼殺し向かい飛車は角道を開けているため、激しい展開になりやすい作戦です。
作戦が成立する条件は、
・先手が居飛車
・先手が▲2六歩~▲2五歩~▲7六歩という順できたとき(初手▲7六歩だと成立しづらい)
です。
※長いので前編・後編の2回に分けます。
鬼殺し向かい飛車の基本図
図1までの手順は下記の通り
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 2五歩(26)
4 3三角(22)
5 7六歩(77)
6 2二飛(82)
ノーマル振り飛車にする場合は△4四歩で角道を止めてから、どこに飛車を振るかを考えると思います。
それはそれで一局ですが、今回は先手が飛車先の歩を2五まで伸ばしていることを最大限逆用できる△2二飛とします。
一見、▲3三角成~▲6五角で馬作りが防げないようですが、△4五桂(参考図1)~△5五角(参考図2)と切り返してほぼ互角の展開です。
参考図2以降は▲9八香△9九角成▲7八銀などが一例で、お互い馬を作って力戦になります。
力戦になってしまえば、先手番のメリットが生かしづらいため、後手としては十分な展開でしょう。
角交換から陣形整備
図1~図2までの手順は下記の通り
7 3三角成(88)
8 3三桂(21)
9 7八銀(79)
10 4二銀(31)
11 7七銀(78)
12 6二玉(51)
13 3八銀(39)
14 7二玉(62)
15 7八金(69)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 8二玉(72)
19 6八玉(59)
20 7二銀(71)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 7五歩(76)
角がぶつかったままの状態だと居飛車としても駒組がしづらいので、▲3三角成~▲7八銀で囲いを作る準備を始めます。
図2までやや長い手順ですが、そこまで違和感のある手はなく、一例として示せるレベルのものだと思います。
23手目▲7五歩は、将来的に▲7四歩から後手玉の斜めのラインを攻める手順を作ったものだと思いますが、歩が伸びすぎているような印象もあります。
鬼殺し向かい飛車の攻めの方針
図2~図3までの手順は下記の通り
24 4四歩(43)
25 4六歩(47)
26 4三銀(42)
27 4七銀(38)
28 3五歩(34)
向かい飛車側は囲いもある程度完成したため、仕掛けを狙うフェーズに入っている。
基本的な狙いは2パターンあり、
1.居飛車が▲3六歩をついていない場合は、△3五歩~3四銀を目指す。
2.居飛車が▲3六歩をついている場合は、△5四銀と腰掛けて、4筋からの仕掛けを狙う。
今回は1.を狙っていきます。
△3四銀(参考図3)は鬼殺し向かい飛車の理想形なので、それを防ぐために、居飛車は図2から▲3六歩と反発してきました。
3筋付近の攻防
図3~図4までの手順は下記の通り
29 3六歩(37)
30 3六歩(35)
31 3六銀(47)
32 3四銀(43)
33 3五歩打
34 4三銀(34)
35 3七桂(29)
36 5四角打
37 2六飛(28)
▲3五歩で桂頭を抑えられたのはマイナスに見えますが、あえて歩を打たせることで居飛車の持ち歩をなくしています。
また、▲3六銀が浮いているのに目をつけて△5四角を据え、▲2六飛と銀を守って図4となりました。
居飛車・向かい飛車それぞれに下記のような主張があります。
・居飛車:攻め銀が前進しており、▲3五歩と▲3六銀の好形になっている+持ち角
・向かい飛車:5四角のポジションが良い+持ち歩
現状は3筋の制空権を居飛車が握っており、これが長く続くと徐々に圧迫されてしまうため、向かい飛車は動いていきます。
※後編に続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?