![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120555730/rectangle_large_type_2_d33ee93df12afe7f619501699c00550f.png?width=800)
世界最速プレーヤー相手にエースを取る方法を考える⑨~センター寄り・ベースライン内1m~
こんにちは、トモヒトです。
今回も、相手の想定としてジョコビッチ選手を取り上げます。
前提条件
ここで、いくつかの前提条件を定義しておきます。
ジョコビッチ選手のフットワーク所要時間
ジョコビッチ選手がヒッティングポジションへ移動する時間を、次の式で定義します。
$$ t= 0.25 + (sprint length / 10) $$
この式は、以下を想定したものです。
反応時間=0.25秒
スプリント時間=スプリント距離 / 10〔m/s〕
ショットの条件
ショットの落下点=想定よりも0.5m以上短い位置でバウンドした場合はカウントしない
ネットの上0.5m以上を通過したものをカウントする
エースの条件
エースの条件は、相手がベースライン後方2mにポジショニングしていると仮定し、ベースライン後方2mのショットの到達時間がフットワークの時間を下回った場合とします。
結果
それでは、結果についてみていきます。
このあと出てくるshot widthは、以下のように値を定義しています。
ストレート:ネットを挟んで反対側のバウンド地点を0とし、シングルスサイドライン方向をマイナス、センター方向をプラス
クロス:シングルスサイドラインからの距離
![](https://assets.st-note.com/img/1698875838526-EpOlMkIDU3.png)
今回は、シングルスサイドラインから4m内側・かつベースライン内1mからのショットを考えてみます。
これは、センター付近で、ベースラインの1m内側に当たります。
【ストレート方向】
![](https://assets.st-note.com/img/1698875629796-xZrmMkVpjb.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1698876265100-AXruDah2zC.png?width=800)
このケースでの合理的待機位置を、センターマークからクロス側へ0.050mずれた位置とします。
これをもとに、ジョコビッチ選手のフットワーク所要時間を算出します。
shot width=-4.0: 0.7016s (0.25 + (4.516 / 10))
shot width=-3.5: 0.6472s (0.25 + (3.972 / 10))
shot width=-3.0: 0.5928s (0.25 + (3.428 / 10))
shot width=-2.5: 0.5384s (0.25 + (2.884 / 10))
shot width=-2.0: 0.4840s (0.25 + (2.340 / 10))
これらの結果から、エースになる最低速度は次のようになります。
shot width=-4.0 => 打点=0.6m: 160km/h / 打点=1.5m: 160km/h
また、-4.0middleはサービスラインとベースラインの中間、-4.0shortはサービスライン付近と、やや角度のついたショットとなっています。
これらについてshot width=-4.0のときのフットワーク所要時間を当てはめると、-4.0middleでは140km/h、-4.0shortでは125km/hでエースが奪える計算となります。
反対に、shot width=-3.5以下(シングルスサイドラインから0.5m内側のエリア)のショットでエースを取るためには、相手が何m以上離れた位置にいればいいのかを見ていきます。
センターマークを0mとすると、ショットスピード別に次のようになります。
100km/h => 打点=0.6m: 5.385m / 打点=1.5m: 5.255m
110km/h => 打点=0.6m: 4.225m / 打点=1.5m: 4.135m
120km/h => 打点=0.6m: 3.295m / 打点=1.5m: 3.195m
130km/h => 打点=0.6m: 2.505m / 打点=1.5m: 2.445m
140km/h => 打点=0.6m: 1.825m / 打点=1.5m: 1.795m
150km/h => 打点=0.6m: 1.255m / 打点=1.5m: 1.285m
160km/h => 打点=0.6m: 0.795m / 打点=1.5m: 0.775m
170km/h => 打点=0.6m: 0.345m / 打点=1.5m: 0.375m
この結果をみると、140km/h以下のストロークでエースを取るには、ヒッティング時の相手のポジションをB・Cよりも外側に追い出す必要があると考えることができます(下図黒丸)。
一方、150km/h以上であれば、B,C内であっても、センターマークとの距離とショットスピードの兼ね合いによっては、エースを取ることができます(下図青丸)。
![](https://assets.st-note.com/img/1698876782156-YWUKsConSN.png)
150km/hのショットであっても、B,Cラインの半分よりも外側に相手がいる必要があります。
【クロス方向】
次は、クロス方向へのショットを深さ別でみてみます。
ショートクロス
![](https://assets.st-note.com/img/1698878945788-9Pr6CUvGWC.png)
仮に、センターマークから0.050m横にずれた合理的待機位置から、ボールの軌道に対して最短距離(直角)に動くと仮定します。
この条件の場合の、エースとなるボールスピードは以下のようになります。
shot width=0.0: 95km/h
(移動距離=5.813m/フットワーク所要時間=0.8313s)shot width=0.5: 105km/h
(移動距離=5.139m/フットワーク所要時間=0.7639s)
ミドルクロス
![](https://assets.st-note.com/img/1698877171546-vsyQKhSxCh.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1698878804040-JbkctB8kFG.png)
合理的待機位置を、センターマークからクロス側へ0.050mずれた位置とします。
これをもとに、ジョコビッチ選手のフットワーク所要時間を算出します。
shot width=0.0: 0.6796s (0.25 + 4.296 / 10)
shot width=0.5: 0.6177s (0.25 + 3.677 / 10)
shot width=1.0: 0.5559s (0.25 + 3.059 / 10)
shot width=1.5: 0.4940s (0.25 + 2.440 / 10)
以上から、各バウンド地点でエースになる最低速度は、次のようになります。
shot width=0.0: 打点=0.6m: 135km/h / 打点=1.5m: 135km/h
shot width=0.5: 打点=0.6m: 150km/h / 打点=1.5m: 150km/h
反対に、このポジションからミドルクロスでエースを取ろうすれば、センターマークからどのくらい離れていればいいのでしょうか?
センターマークを0mとし、サイドラインから0.5m内側のエリアのショットで考えると、下のようになります。
100km/h => 打点=0.6m: 2.232m / 打点=1.5m: 2.122m
110km/h => 打点=0.6m: 1.322m / 打点=1.5m: 1.252m
120km/h => 打点=0.6m: 0.592m / 打点=1.5m: 0.502m
130km/h => 打点=0.6m: -0.078m / 打点=1.5m: -0.058m
140km/h => 打点=0.6m: -0.528m / 打点=1.5m: -0.558m
150km/h => 打点=0.6m: -0.908m / 打点=1.5m: -1.008m
160km/h => 打点=0.6m: -1.088m / 打点=1.5m: -1.398m
170km/h => 打点=0.6m: -m / 打点=1.5m: -1.738m
この結果をみると、エースになる条件を次のように考えることができます。
ショットスピードが100km/h以下
=>自分がストロークを打つ時点でB,Cより外側にいる必要がある(下図黒丸)ショットスピードが110km/h以上120km/h以下
=>B,Cにいてもセンターマークを越えずにストレート側の半面にいれば、エースになる可能性がある(下図青丸)ショットスピードが130km/h以上
=>センターマークを越えていても、ショットのコースがよければエースになる可能性がある(下図赤丸)
![](https://assets.st-note.com/img/1698877625745-4UdIlQ1JN3.png)
深いクロス
![](https://assets.st-note.com/img/1698877238169-PhtoQNyoTH.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1698878863132-sHh3xaOONn.png)
深いクロスの場合、一番相手との距離の遠いshot width=0のときでも4.065m(フットワーク所要時間=0.6565s)となります。
よって、相手に合理的待機位置に構えられると、深いクロスでエースを奪うには165km/h以上のショットスピードが必要になります。
もし、深いクロスでエースを取ろうすれば、センターマークからどのくらい離れていればいいのでしょうか?
サイドラインから0.5m内側のエリアのショットで考えると、下のようになります。
100km/h => 打点=0.6m: 4.437m / 打点=1.5m: 4.357m
110km/h => 打点=0.6m: 3.347m / 打点=1.5m: 3.257m
120km/h => 打点=0.6m: 2.447m / 打点=1.5m: 2.457m
130km/h => 打点=0.6m: 1.677m / 打点=1.5m: 1.707m
140km/h => 打点=0.6m: 1.117m / 打点=1.5m: 1.097m
150km/h => 打点=0.6m: 0.587m / 打点=1.5m: 0.577m
160km/h => 打点=0.6m: 0.127m / 打点=1.5m: 0.107m
170km/h => 打点=0.6m: -0.253m / 打点=1.5m: -0.283m
この結果をみると、次のように考えることができるかと思います。
ショットスピードが120km/h以下
=>エースを奪うには、B, Cの外側に相手が残っている必要がある(下図黒丸)ショットスピードが130km/h以上160km/h以下
=>B, Cにいても、ストレート側の半面に残っていれば、エースになる可能性がある(下図青丸)ショットスピードが170km/h以上
=>センターマークを越えていても、ショットのコースがよければエースになる可能性がある(下図赤丸)
![](https://assets.st-note.com/img/1698878441003-stY7YNSKir.png)
まとめ
今回は、センター寄りでベースライン内1mからのエースの取り方について考えてきました。
センター付近からの場合、ベースラインより後方ではエースを奪うのは難易度が高いですが、ベースライン内に入ることができれば難易度が下がります。
ベースライン内で打つことができるなら、センター付近からでもエースを狙いに行くのは、選択肢として有効と考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ご意見ご感想あれば、コメントにお願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?