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ウィナー/エース時の両プレーヤーのポジションとショットコースの関係

こんにちは、トモヒトです。

今回は、エース、ウィナー時の相手のポジションと自分のポジション、ショットのコースから見ていきます。
ここでは、2023USオープン決勝「N. ジョコビッチ vs D. メドベージェフ」の試合を分析対象とします。


コートのポジションの定義

まずは、コートのポジションについて定義しておきます。

コートのポジション

横方向に関しては、シングルスコートを横に4分割し、デュースサイドの外側から順にA, B, C, Dとします。
さらに、AとDの外側をそれぞれA-, D-とします。

縦方向に関しては、ネットからベースラインまでを3分割(ネット側から1, 2, 3)、さらにベースライン後方に4, 5と数字を振ります。
4と5の差は明確に定義づけしていませんが、ベースライン付近を4、ベースラインから離れていると5と考えます。

このアルファベットと数字を組み合わせて、5行×6列の30ポジションを表します。

ウィナー/エース時のポジションとショットコース

先ほどのコートポジションを使って、ウィナー/エース時のポジショニングとショットコースについてみていきます。

今回は、3ショット以上のラリー、かつアンフォーストエラーではないと判断したポイントを対象とします。
ここでは、ウィナー/エースを打つ直前の相手のポジション、自分のポジション、ショットのバウンド地点の3点の関係を見ていきます。
結果に関しては、両プレーヤーのものをまとめて表示します(見やすくするために、一部を表示)。

フォアハンドでのポジションとショットコース

まずは、フォアハンドから見ていきます。

フォアハンドウィナー/エース時のポジションとショットコース

まず、相手のポジションについては、4B, 5Bや4C, 5Cが多数を占めています。
これに関しては、相手のショットに対するポジショニングをとると、自然とこの近辺になります。

次に自分のポジションですが、縦方向については4よりも前になっています。
これは、ベースラインから離れた5からでは、ウィナー/エースになるショットとはなりにくいためと考えられます。
横方向に関しては、回り込みフォアを打つことからA~D全体に広がっています。

ショットのコースについては、2Aと2D, 3Dに集まっていることがわかります。
2Aや2Dに集まっているのは、角度をつけることで相手とボールとの距離をできるだけ離して、ポイントが決まりやすくしていると考えられます。
BやCのセンター付近からも、2Aや2Dへ浅めのショットで角度をつけています。
3DはAからのダウンザラインやDからの深いクロスを表しています。

この結果から、フォアハンドではコート全体のどこからでもウィナー/エースを狙えることは要求されると考えられます。
センター付近から2Aや2Dへの角度のついたショットや、回り込みフォアで2Dへの角度のついたショットとA方向へのダウンザラインの打ち分けなど、あらゆるポジションからポイントを決めるショットが求められます。

バックハンドでのポジションとショットコース

次は、バックハンドを見ていきます。

バックハンドウィナー/エース時のポジションとショットコース

まず、相手のポジションについてですが、4C, 5Cに集まっていますが、A-, A, Bにも多少みられます。
フォアハンドと比較すると、バックハンドではショットの威力が劣る傾向にあるため、ある程度相手のポジションを崩す必要性が高まると考えられます。

次に、自分のポジションですが、3C, 4Cと3D, 4Dに集まっています。
Dからに加えて、状況によってはCからもウィナーを狙えるショットは必要になる可能性はあります。
(3Cや4Cであれば、フォアハンドで回り込めるなら、回り込みフォアで打つほうが効果的であると考えるので、Cからウィナーを狙うバックハンドが必須とはいえないかもしれません)

ショットに関しては、2A, 3Aや2D, 3Dに加えて、1Aへのドロップショットも見られました。
3Aへのダウンザラインと2D, 3Dへの深さの異なるクロスに加えて、1Aへのドロップショットが加われば、選択肢が増えてより相手を迷わせることができます。
また、フォアハンド同様、Cからの2A, 2Dへの角度のついたショットで攻撃しています。
フィジカル向上によって、コートカバーリング能力が上がったことから、角度のついたショットでよりコートを広く使うことが求められていると考えられます。

ボレーでのポジションとショットコース

最後に、ボレーを見ていきます。

ボレーウィナー/エースでのポジションとショットコース

まず、相手のポジションですが、A-, AやD-, Dとオープンコートを作り出すことができていることがわかります。
これに関しては、ワイドへのサーブやアプローチショットでオープンコートを作ったうえで、ネットに出ている分相手がポジショニングする時間が奪われているのが要因と考えられます。

自分のポジションについては、2のエリアに集まっています。

ショットのコースに関して、興味深いのは1や2といった、比較的浅めのボレーが多くみられる点です。
これは、ベースライン後方にポジショニングするメドベージェフに対抗した結果ともいえますが、浅めのボレーでコートを対角に使い、より相手とボールの距離が取ることができます。

4Aポジションの相手に対して2Dへの浅いボレー

ボレーに関してこの試合で印象的なのは、ジョコビッチ選手がワイドへのサーブからのサーブ&ボレーを多用していた点です。
リターンのポジションがベースライン後方のメドベージェフ選手に対して、ワイドへのサーブでA-やD-へ追い出し、ボレーで浅めに狙うというパターンを使って、多くのポイントを獲得しています。

まとめ

今回は、2023USオープン決勝の試合から、ウィナー/エース時のポジションとショットコースについてみてきました。

角度のつきにくいセンター付近(BやC)から、2Aや2Dへ角度のついたショットを狙うというのは難易度が高いですが、コートを広く使う上ではカギとなるショットと考えられます。
また、浅いボレーでコートを対角に走らせることができると、ネットプレーでよりポイントが取りやすくなるとも考えられます。

今回は1試合分のデータのみでしたが、より多くの試合を見ていくことで、多くのプレーヤーでの共通点が見つかると面白いと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ご意見ご感想あれば、コメントにお願いします。

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