タイ文字を読む その⑨「ร」と特殊な読み方
これまでも特殊な読み方をやってきましたが、子音の「ร」はその中でも異彩を放ちます。
とにかく特殊。
文字の形としてはわかりやすくて、見るからに「r」の音っぽいなと私は思います。
しかし、見た目のわかりやすさとは裏腹に、まあ色んな音に変化する子音でもあるのです。
今回は、子音「ร」だけにフォーカスを当てて学習しましょう。
最初にこちら。
すでにコア単語には出てきた単語です。
ภรรยา phanrayaa「妻」
「รร」と2個続いた場合、母音"an"へと変化します。
ภรรยา phanrayaa
もともと子音「ร」は、「r」の音を持ちます。
しかし、「รร」は母音へと変化。
これは末子音字がない場合の変化となり、末子音字がある場合は”a”になるので注意が必要です。
ธรรมดา thammadaa「普通の」
ธรรมชาติ thammachâat「自然」
一時再読字と偽二重子音が隠れていますが、みなさんには見破る力があるはずです。
末子音字のない「รร」 ➡"an"
末子音字のある「รร」 ➡"a"
ちなみにภรรยา phanrayaa「妻」は、「phanyaa」という読み方も可能です。
次へと進む前に復習。
母音符号のない「子音+子音」では、”o”を加えます。
ตก「落ちる、降りる」
บน「~の上に」
このような単語ですね。
今回覚えてほしい新しいルールはそれとは違い、母音符号のない「子音+ร」は、”o”ではなく”ɔɔ”を加えるというもの。
ただ、日頃使うような単語はありません。
มรดก mɔɔradòk「遺産」
มรกต mɔɔrakòt「エメラルド」
จร cɔɔn「うろうろする、動き回る」
これも復習ですが、「ร」は末子音字だと”n”の音に変化します。したがって「จร」は「cɔɔn」となります。
最後はこちら。
จริง ciŋ「本当に、本物の」
タイ人がよく使う言葉ですが、この発音とても不思議だと思いませんか。
偽二重子音で「cariŋ」と読めそうな気がしますよね。
でも、発音は”ciŋ”です。
実は、子音字「ร」の前に【จ、ส、ศ、ซ】が付くと、「ร」の音が消えるという特殊なルールがあるのです。
あくまで「ร」の音だけが消えるので、母音符号や声調符号はそのまま頭子音字(จ、ส、ศ、ซ)に引き継がれます。
例えば、「จริง」の見方としては「จิง」。
เสร็จ sèt「終わる」
➡読み方のイメージは「เส็จ」
เศร้า sâw「悲しい」
➡読み方のイメージは「เศ้า」
ศรัทธา sàtthaa「信仰する」
➡読み方のイメージは「ศัทธา」
必ず子音字「ร」の前に【จ、ส、ศ、ซ】が付くと、「ร」の音が消えるかと言うと、これもまたそうではありません。
จราจร caraacɔɔn「交通」
จริต carìt「行動」
これらは偽二重子音です。
何度もお伝えしてきた通り、タイ文字は一定の読み方のルールはあるものの、例外も非常に多い言語です。
知らない単語は知らないで大丈夫。
そういう単語はひとつずつ覚えるしかありません。
【コア単語】
①末子音字のない「รร」➡”an”に変化
ภรรยา phanrayaa
กรรไกร kankray「はさみ」
②末子音字のある「รร」➡"a"に変化
ธรรมดา thammadaa「普通の」
ธรรมชาติ thammachâat「自然」
③母音符号のない「子音+ร」➡”ɔɔ”を加える
จร cɔɔn「うろうろする、動き回る」
มรดก mɔɔradɔ̀k「遺産」
④【จ、ส、ศ、ซ】+「ร」➡「ร」の音が消える
เสร็จ sèt「終わる」
เศร้า sâw「悲しい」
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