~序章~ カウンセリングの前にやるべきこと
自分の歯並びに悩んでいる人。
歯列矯正をやると決めた人。
歯列矯正に興味がある人。
そんな皆さんが一番はじめにすることと言えば、一体何でしょうか。
多くの方が「まずは歯医者さんに行って相談する」と答えるかと思います。
それは正しいです。
しかし、歯医者さんに行ってカウンセリングを受ける前にやるべき大事なことがあるんです。
一番はじめにやるべきこと
それは、自分自身が今の歯並び(噛み合わせ)について、何に悩んでいるのか、どれくらい悩んでいるのか、何をどうしたいのか、どのような歯並びを目指しているのか、ということを可能な限り明確にしておくことです。
様々な方の歯列矯正に関する体験談を拝見すると、”良い矯正専門医院の見つけ方”や”費用と期間”、”ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違い”などのテーマで綴られていることがほとんど。
もちろんこのような情報を事前に知っておくことで、今後の自分の矯正治療に役立てることができます。
ただ、それらの情報を知ることよりも先に、もっと大事なことがあるというのをお伝えしたいです。
【明確にすること】
・何に悩んでいるのか
・どれくらい悩んでいるのか
・何をどうしたいのか
・どのような歯並びを目指しているのか
では、なぜこれらの点を明確にしておく必要があるのでしょうか。
それはカウンセリングをする際に自分の希望を的確に先生へ伝えるためです。
なぜ、自分の希望を的確に伝える必要があるのでしょうか。
歯列矯正治療を満足いくものにするためです。
【自分の希望をしっかりと伝えるべき理由】
・自分に合う歯医者さんを選別できる
・トラブルを避けることができる
・歯並びを自分の理想に近づけることができる
どこの矯正歯科に行ってもそうですが、先生は患者さんの要望を聞いたうえで今後の計画を立てます。
【全体の流れ】
①初回カウンセリング(無料 or 有料:約3,000円)
②精密検査(22,000円〜55,000円が相場)
③治療計画作成(精密検査から2週間〜1ヶ月後)
④合意契約(現金、クレジット、デンタルローン、etc.)
⑤治療開始(インビザライン発注から届くまで約1ヶ月)
⑥経過観察(1.5ヶ月〜3ヶ月ごと定期的に通院)
⑦治療終了(保定期間1.5年〜3年)
※歯周病・虫歯治療、抜歯が必要な場合は、それらの治療が終わってから矯正治療を開始する
※治療終了後、保定(リテーナー使用)の期間に入る
一番最初のカウンセリングをする段階で、自分と先生それぞれの考えに相違やギャップがあればあるほど、最終的な結果に悪い影響を及ぼす可能性が高くなります。
自分が何をどうしたいのかということをしっかりと先生に伝えることができなければ、双方が満足できない形で治療が終了してしまうことになりかねません。
だからこそ、自分の考えを先生に明確に説明できるようにならなければいけないのです。
それでは、明確にすべきことをひとつずつ解説していきます。
・何に悩んでいるのか
そもそも自分の歯並びの何を悩んでいるのか。
まずはここから考えてみましょう。
歯並びに対する悩みは様々です。
・前歯がガタガタ
・出っ歯が気になる
・八重歯をどうにかしたい
・噛み合わせに違和感がある
・口元がこんもりと前に出ている
・前歯の中心が顔の中心に合っていない
歯列矯正をしたいのであれば、何らかの理由が必ずあるはずです。
誰が見てもわかる悩みもあれば、本人でしか気が付かない感じない悩みもあります。
自分の悩みを言葉にしましょう。
”自分の悩みを伝える”というのは、簡単そうにも思いますが意外と難しい。
「矯正相談ということですが、今の歯並びとご要望を教えてください」
先生の質問に淡々と答えられるようにしましょう。
・どれくらい悩んでいるのか
”どれくらい”というのは、「期間」ではなく「精神的な悩みの度合い」です。
「精神的なことって関係ある?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、これによって治療方法が変わってくることもあるのです。
例えば、歯並びの悪さが小さい頃からのコンプレックスで、常に口元を手で隠してきた人の場合、精神的な悩みは大きいでしょうし、症状も重度である可能性も十分考えられます。
そういった場合には、見た目を少し良くするだけではなく、噛み合わせや顎の状態なども考慮して、根本的な改善を目指す「全体矯正」を提案されることが多くなるでしょう。
また、矯正中に周りの目が気になるという人には、目立ちにくい矯正器具も紹介してくれます。
ワイヤー矯正であれば、一般的なメタルワイヤー、クリア素材のプラスチックブラケット、ワイヤー自体が白いものなど。
インビザラインの場合は、マウスピース自体が透明なのでワイヤー矯正よりも目立ちにくいのが特徴です。
※歯並びによってはインビザライン(マウスピース型矯正)を行えない場合もあります
コンプレックスという程ではなく、前歯の見た目だけを低コスト・短期間で良くしたいという希望であれば「部分矯正」を勧められることが多くなるかと思います。
事実、多くの人がマスクをしているこのタイミングで、前歯の部分矯正をはじめる人は多いそうです。
【深刻に悩んでいる方】
症状が重度→全体矯正→ワイヤー or マウスピース
・ワイヤーは3種類(メタル、クリア、白ワイヤー)
・裏側矯正もある
・マウスピースは目立ちにくい
※歯並びによってはインビザライン使用不可
【気軽に矯正を考えている方】
症状が軽度→部分矯正(or 全体矯正)→ワイヤー or マウスピース
・予算によってワイヤーかインビザラインか選択するケースが多い
※ワイヤーとインビザラインの両方を行う場合もあり
・見た目を気にしないならメタルワイヤーが一番安い
判断に悩むのは後者に当てはまる方が多いと個人的には思います。
というのも、歯並びに重度の問題を抱えている場合は、治療の選択肢としては基本的に全体矯正一択です。
”歯並びが悪い”というのは、奥歯の位置(噛み合わせ)が正しくないことにより、結果的に前歯の位置もズレていくことが原因とのこと。
つまり、歯並びのひどい人が前歯数本の見栄えを良くしたとしても、奥歯の状態が改善されなければ根本的な解決には至らないということです。
対して、前歯の部分矯正を希望しているけれど、検査の結果、噛み合わせに問題があると診断された人。
このパターンの人は、部分矯正にするのか、全体矯正にするのかという判断に迫られます。
「別に噛み合わせに困ったことないから部分矯正でいいや」と考える人もいれば、「せっかく矯正するなら中途半端にやるよりも、しっかりやろうかな」と考える人もいるはずです。
ここで”どれくらい悩んでいるのか”が関わってきます。
実際、私が行ったカウンセリングでは「自分ではどれくらい悩んでいますか」という抽象的な質問をストレートにしてくる先生もいましたね。
”悩みの大きさ”をぜひ自分に相談してみてください。
・何をどうしたいのか
ここからは具体的な内容に入っていきます。
”何をどうしたいのか”
すでに”何に悩んでいるのか”は明らかになったかと思います。
では、それを踏まえて今の歯をどうしたいのか。
・凸凹の前歯を揃えてキレイなアーチ状にしたい
・口元を引っ込めてEラインを作りたい
・歯を食いしばる癖があり噛み合わせを改善したい
・すきっ歯を目立たなくしたい
・ガミースマイルを治したい
先生は患者さんの悩みと要望を聞き、それを実現させるための方法を考えます。
ここでは違う視点で考えることも大切。
“何をしたくないか”
歯列矯正を希望する人でも「絶対にやりたくないこと」もあるかと思います。
・健康な歯を抜きたくない、削りたくない
・親知らずを抜きたくない
・表側矯正はやりたくない
・時間やお金をかけたくない
・何度も通院したくない
カウンセリングの時点で「健康な歯の抜歯はしたくない」「歯を削るのは避けたい」というように明言しておくことが大切です。
「治療を進める前は歯の抜歯について先生は言っていなかったのに、治療を始めた後、突然抜歯を要求された」
実際に起こるトラブルです。
歯列矯正を行う中では、歯を抜いたり削ったりすることは意外と多い。
例えば、元々顎が小さい人は歯が生えるスペースが無いため、そのスペースを確保するために抜歯をするのが一般的です。
抜歯まではいかなくても、歯を削ることはよくあるでしょう。
この点も必ず確認をしてください。
”やりたくないこと”も患者さんにとっての大切な要望です。
“やりたいこと”
”やりたくないこと”
これら全てを踏まえて最善の方法を先生が考えてくれます。
本音を言えずに先生の言われるがままになるのではなく、はっきりと自分の考えを伝えましょう。
・どのような歯並びを目指しているのか
最後に、自分がイメージする治療後の歯並びについて考えます。
今の歯並びが、矯正治療終了後にどうなっていたら嬉しいですか。
・目立っていた前歯がすべて揃ったら嬉しい
・噛み合わせが正しい位置になれば嬉しい
・口元が綺麗になったら嬉しい
・出っ歯が治れば嬉しい
はっきりとイメージできないにしても、上記のようなざっくりとしたイメージなら持てるのではないでしょうか。
少し話が逸れますが、「綺麗な歯」が具体的にどのようなものを指すのか、なかなか一概には言えない難しさがあります。
例えば、芸能人のような完璧な歯並びを想像してみてください。
普通の人の歯と比べると、歯の形状そのものが違いますよね。
なんかこう、キシリトールガムが綺麗に並べられているような感じ。
芸能人全員がそうではありませんが、「セラミック」と呼ばれる”かぶせ物”をすることで、美しい歯の形や白さをキープしている人もいます。
もし、そういった芸能人のような歯を目指すとなると、自分の歯(天然の歯)で実現するのは現実的に厳しいかもしれません。
やるとしても最初に歯列矯正をして、その後セラミックに移行するという流れが歯のトータルの寿命を考慮すると良いとのこと。
健康な歯を削ることで、歯の寿命を縮めてしまうリスクが高くなります。
歯を削る範囲を可能な限り小さくするために、あらかじめ歯列矯正をして整えておくと良いのです。
「芸能人の歯は例外的な部分もある」ということを頭に入れておいてください。
歯列矯正をすれば誰でも簡単に手に入るわけではありません。
そういったことを踏まえつつ、自分が目指す歯並びのゴールをイメージしてください。
インビザライン矯正の場合、スタートからゴールまでの歯の動きを事前にシュミレーションで見ることができます。
全体矯正では、まず最初に奥歯から少しずつ動かしていき、最後に前歯が動くという流れで進みます。
歯の動きを見ていると「え、すごっ!」っと誰もが驚くはずです。
「技術って凄いなぁ」と感心するばかり。
カウンセリングに向けて
いかがでしたでしょうか。
今回は、歯医者さんに行く前にやるべきことを説明いたしました。
自分で考えておくべきことは多いですが、先生とのカウンセリングの中で新たに知ることもあります。
例えば、歯の噛み合わせ。
普段生活していて噛み合わせが気になるようなことってあまりないので、自分では気づかないパターンが多いです。
口の中の写真を見て、先生に指摘され初めて知ったり。
こういうこともあるので、最初から完璧にすべてを考えようとしなくて大丈夫。
カウンセリングも複数の医院でやりますよね。
その中で「こうしたいな」「そういうやり方もあるのか」「これはやりたくないな」など、色々と考えることが増えていくかもしれません。
まずは、今考えられる範囲で考えをまとめておきましょう。
歯列矯正は費用と時間を必要とする医療行為です。
お金を頑張って貯金した方や、貯金を切り崩して費用を工面した方などもいらっしゃるかと思います。
お金と時間を無駄にしないためにも、しっかりと自分でやれる準備はしておきましょう。
自分と先生の双方が笑顔で終われるように。
以上、『~序章~ カウンセリングの前にやるべきこと』でした。
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