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夏霞

今回は、noteの企画「夏の連続投稿チャレンジ」の一つ、「夏の写真」をテーマにしたエントリです。今回は、写真がテーマということもあり、少しテイストを変えてお送りします。
読んで感じるままに楽しんでもらえたらうれしいです。

夏霞とは
ただ「霞」といえば春の季語だが、夏にも霞は発生する。基本的には「霧」や「靄」と同じ現象だが、「霧」よりははるかに淡い感覚である。夕立があった翌日など、大気に水分が多いときに良く見られる。

きごさい歳時記さんより


まとわりつくような空気が、薄い膜のように喉に張り付く夏の夜だった。十分に酸素を吸えていない。そんな錯覚を起こし、心拍数が上がるのを感じていると、場違いな景色に一瞬時が止まった。

「イルミネーション、キレイだね。クリスマスまではまだ少しあるけど。」
そう、正にそうなのだ。

いつか見た映画だったか、ゲームだったかがフラッシュバックする。場違いな華やかさは、いつだってホラーの定番だ。夜の遊園地や誰もいなくなったショッピングモールなど、ゾンビ映画に限らず、何度も見てきた。

かといって、実際に目の当たりにして、恐怖がじわじわと広がっていくわけでもなく、当然、ワクワクした気持ちが盛り上がってくるわけでもない。

「夏は夜」とはよく言ったもので、確かに、夕方の涼しい時間は風情があると思う。しかし、「勉強は涼しい朝と夕方にやりなさい」という大人たちには、ぜひ見本を見せてほしいと思う。一日の温度推移を見れば、そんな時間帯は殆ど存在しないのが、今の気候状況だ。

「『夏霞』っていう季語があるんだって。霧よりは淡い感じなんだけど、今みたいなことなんじゃない?」
これまたその通りだ。夏休みの宿題で俳句を作ることになっていたキミは、季語を調べていたっけ。

僕は思う。夏に恋愛が盛り上がるのは、気温が高く、頭が朦朧として判断力が鈍るからだ。その証拠に、夏休みが終われば関係が終わることが多いじゃないか。あとはあれだ、暑いから露出も多い。性別問わず、嫌でも意識することが多くなるからに違いない。

現に今も上手く酸素が吸えていない。いや、そもそも、それも勘違いでただ鼓動が早くなっているだけなのか。いや待てよ、こうして考えがまとまらないのも既に大分キテるじゃないか。そういえば、酔っぱらったときもこんな感じだと聞いてことがある。お酒に酔った勢いの過ちというのも多いと聞いた。

って、言ってるそばからそんなにくっついちゃダメじゃないか。さっきの話を聞いてなかったのか。いや、よく考えたら口には出していなかった。

「大丈夫、少しフラフラしてるよ?少し休んだほうがいいよ。」
いや、そんなことは…、あるのか。確かに、真っすぐ歩くのが少し難しい。しかし、とりあえず「休憩」なんて、誘い文句としては常套手段過ぎるじゃないか。待てよ、こんな意識が朦朧としながらも、そんなことばっかり考えてるなんて、結局どうしようもないな、僕は。

でも、きっと、そうした一連が夏、なのだろう。うだるような暑さも、やたらと生命力を主張する緑と気持ちなんてお構いなしの日差し、キラキラしたカンジと少し落ち着く夜。
僕は夏が嫌いだ。そんな浮ついた雰囲気に吞まれて、判断力が落ちて後悔はしたくない。
それでも、キミと一緒にいたいと思って、こうして一緒にいられるならそれでいいのかもしれない。

#夏の写真

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