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【必見】結帯動作について-運動学と制限因子-

こんにちわ!

先日知ってる人は知っている「できセラ」の
イベントにzoomで参加させていただきました!

臨床10年以上の方々のキャリアや勉強、悩みなど
普段は聞くことのできない貴重な時間を過ごせました。

なかなか自分の職場の先輩が臨床の悩みなどを
いうことってほぼないので、私にとっては
すごく新鮮でした。
かつ、10年以上やってる方で悩みがあるのだから
自分がないのはおかしいと改めて感じました。

もし悩んでないとしたら、それは考えてないに等しいと思いますし…

めちゃくちゃ有意義な時間をありがとうございました。


さて本題ですが

今回は「結帯動作」について!

再度、肩関節周囲炎の概要や病期分類についてはここに掲載しておきますので、まだ見ていない方はご参照ください


結帯動作とは

結帯動作とは字の通り、「帯を結ぶ」と動作であり、
着物の帯を後ろで結ぶ動作を意味します。
日常生活で着物を着ることは多くの人は少ないと思いますが、日常生活でいえば、

  • ズボンをシャツに入れる動作

  • エプロンの紐を後ろでつける動作

  • 女性でいえば下着をつける動作

  • トイレでおしりを拭く動作

などになります。


運動学・動作パターン

結帯動作は主に肩甲上腕関節と肩甲骨での動きになりますが

肩甲上腕関節では
「伸展・内旋・①内転or②外転」

肩甲骨では
「前傾・下方回旋」

の動きが主になります。

ここで①・②に着目してほしいのですが結帯動作は2つ動作パターンがあります。

また、肩甲上腕関節と肩甲骨の動きによって成り立っていますが
本田らは

第12胸椎(以下Th12)から第7胸椎(以下Th7)の相では肩甲上腕関節の内旋と外転角度にはほとんど変化がなく、Th12より高位は肩甲骨運動によっておこなわれる
(本田俊介・他:結帯動作について-Motion Captureを用いた3次元的解析.理学療法学 31:513,2004)

と報告しております。

そのため
・仙骨レベル-第12胸椎まで ⇒ 肩甲上腕関節
・第12胸椎より高位     ⇒    肩甲骨

の運動が主ということがわかります。

肩甲上腕関節での制限因子

結帯動作時の肩甲上腕関節の運動学考慮すると制限因子となりやすいのは

  • 棘下筋(伸展・内旋にて伸張)

  • 烏口腕筋(伸展・2nd内旋にて伸張)

  • 小円筋(内旋にて伸張)

  • 後方関節包(内旋)

  • 烏口上腕靭帯(伸展)

などが主になりやすいです。

多くの研究論文でも特に制限因子として考えられやすいのは
棘下筋・烏口腕筋が多いといわれている印象です。

しかし、ただストレッチなどをして可動域を出すだけでなく
後下方組織には表面には三角筋後部・上腕三頭筋
深層には棘下筋・小円筋など
それぞれの癒着をはがすように・滑走性を出すように介入する必要があります。


肩甲胸郭関節の結帯への関与

肩甲胸郭関節(肩甲骨)では結帯動作時に前傾・下方回旋が必要になってきます。

健常男性を対象とした結帯動作における肩甲骨周囲筋群の筋活動についてという論文の結果からは

僧帽筋上部線維は肩甲帯を挙上する目的で活動し、僧帽筋中部線維は肩甲骨を内転位に保持する目的で活動したと考えられた。僧帽筋下部線維と前鋸筋はTh12より高位で肩甲骨の前傾を制動する目的で活動したと考えられた。
(高見武志ら:結帯動作における肩甲骨周囲筋群の筋活動について.関西理学 11:65-70,2011)

という報告がありました。

この論文からは可動域も大事にはなってきますが、僧帽筋の各線維や前鋸筋などの選択的な筋活動が重要ということがこの論文から理解できます。

まとめ

今回は結帯動作について書きました。

私の臨床上の経験でも肩関節周囲炎でも屈曲・外転などの挙上動作が先に楽にできるようになってくることが多いですが、回復期などの後半で課題となりやすい動作が結帯動作だと思います。

肩甲上腕関節でいえば伸展・内旋・内転or外転とそれぞれの運動方向が複合された運動になりますので、間違っても炎症期に結帯動作のような複合した動作獲得を目指すなどはしない方がいいと思います。

もちろん肩甲上腕関節・肩甲骨よりは運動の割合は低いものの鎖骨や胸郭、前腕などの動きもかかわっているので全体的に見ていく必要性はあります。

結帯動作の改善はなかなか難しいですが、制限因子をそれぞれ確認していき治療介入を進めていきましょう

それでは!


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