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100%をぶつけ合ってこそ「共創」

ビジネスでは名刺は不可欠なアイテムだが、私にとって名刺は不可欠なだけに当たり前の存在である。当たり前過ぎて、自分の連絡先を伝えるためのメモ程度の認識でしかない。

名前を名乗って、さっと差し出し、相手の名刺を受け取って席に着く。マナーだから交換しているに過ぎない。そこには想いも、感動もない。

でも、実は名刺はもう一枚持っている。副業用の名刺だ。
こっちの名刺はちょっと違う。
使うたびに大切にしていることを思い出し、自分が整う名刺。

この名刺には、最近、副業用に作成したロゴが描かれているので、差し出す都度ロゴに込めた想いを伝えます。想いを伝えることで自分の目指すあり方を再確認することになるので、自然と相手に向き合う姿勢が整うのです。

私は「ToMoRu」という半分造語のワードを屋号として使っています。「ToMoRu」は、「灯る」という意味がありますが、他にも「共にやる」「共にする」「友になる」を略した言葉としての意味もあります。共にやることを通じて灯るものを大切にしながら、より良いものを一緒に作っていくという想いを表しています。

だから、ロゴの説明をすると、この想いが自分の中に湧き起こり、目の前の人と「共にやろう」「灯るものを大切にしよう」と自然に思えるのです。

でも、こんな風になれるのは、ロゴがあるからだけではありません。ロゴが完成するまでのプロセスにその秘密があります。

ロゴの作成にあたっては、知り合いに紹介してもらった二人組みのクリエイターに発注をしました。「共創」を大事にしている二人で、私の大事にしている感覚とマッチしたのでお願いしてみました。

一人はヒアリングやコンセプトメイキングを担当し、もう一人がデザインを担当した。ヒアリング担当は、私と同じコーチングのプロ資格を持っていて、私の想いや考えを丁寧に確認し、掘り下げることを手伝ってくれた。

打ち合わせは、三人が一緒に考え、お互いの意見を尊重し合って、毎回楽しい時間だった。

私が、こんな想いで、こんなイメージにしたいと伝えると、二人が「だったら、こんな言葉にしたらどうか」「こんなイメージを加えても良いかもね」と、私の言葉にアイデアを乗っけてくれる。

それに対して私が「あ、確かに、良いねー!」とか、「いや、そういう感じじゃなくて、もっとこんな感じで」とリアクションしていく。そして、そのリアクションに、また二人のリアクションが重なっていく。

楽しかったし、どんどん内容がアップデートされていくので、「これが俺のやりたかった感覚だ。共創だ」と思って、その進め方に満足していた。

でも、この打ち合わせは、終盤で振り出しに戻ってしまった。
デザインがほぼ固まり細部の調整をするだけの段階まできて、私が「イチからやり直したい」と申し出たから。

なぜそんなことになったのか。

私は妻や子どもの反応も確認した上で、最終決定しようと思ったのだが、妻のフィードバックが私の薄々感じていた違和感をズバリ言い抜いていた。この違和感を残したまま、出来上がったロゴを使うことは出来ないと思ったからだった。

すべて私のせいだった。

実は、私は二人に自分がその時その時に感じたことを100%伝えていなかった。
ちょっとした違和感やちょっとした不満足を、「共創だから」と脇に置いて、その時その時に場で話された内容を優先して、そこから作っていた。

二人に対する遠慮もあったかもしれないけれど、プロである二人の知見も活かしてこそ共創だと思っていた。だから、1〜2割くらい自分の意見を抑えて、その隙間に二人の意見を入れていた。

でも、このやり方は間違っていた。

ロゴは私のロゴであり、すべてが私の意見で決まる状況にも関わらず、私が意見を抑えれば、ズレたまま話が進むことになる。1〜2割のズレも、回数を重ねれば大きなズレとなる。

恐らく二人は100%で応じてくれていた。私が100%のことを言っていると信じて。

だから、私が「なんか違う」と言えば、何が違うのかを捉えてくれて、正した上で先に進めてくれたはずだ。

二人には無駄な時間を使わせてしまった。やり直したいと言った時、二人の中には少なからず落胆があったと思う。
でも、そんな雰囲気は一切出さずに、「じゃあ、ここから作りましょうか」と言ってくれた。

そこからの打ち合わせは、スムーズだった。
私は、自分でラフなデザインを描いて共有したり、イメージ写真を提供したりして、自分の思うことを全部伝えた。もらう提案にも率直に答えて、自分とのズレを無くしていった。

普段はしないという打ち合わせ中のデザイン修正もしてもらい、色や形、角度、フォントデザインに至るまで、その場でお互いが100%の意見を出して創っていった。

ロゴは満足したものに仕上がり、先日それを名刺に印刷したものが手元に届いた。名刺を手に取ると、自然と「いよいよだな」という気持ちが湧いてきた。そして、使ってみると自分が整うのでした。

こんな風になれたのも、自分が100%を出して、それに100%で応えてくれるプロセスがあったから。共創として成立していて、納得度が高くなったからだと思います。

「共創」は、100%のぶつかり合いでないと成立しないのかもしれません。お互いが遠慮なく出し合った末に何かが灯り、それを燃え上がらせていくことが共創なのかなと思います。

100%でぶつかり合って共創する様は、火打石で火を起こすようなもの。火打石は、勢いよくぶつけ合わさなければ火花が出ない。初めから狙った場所に火花が飛ぶこともなく、何度もぶつけ合わせることでようやく着火する。そんな感じ。

最近、世の中に「共創」という言葉が踊っている気がするけれど、そんなふうに共創をしている人がどれだけいるだろうか。私のように、本音をぶつけ合わず、妥協の産物を作ってやしないかと思ってしまう。

今回のロゴ作成を経験していなかったら、そのことにも気づけなかったと思う。

だから、そんな気づきのきっかけとなってくれた二人には感謝をしている。
なにより、共創初心者の私に最後まで快く付き合ってくれたこと自体が感謝なのだが。

共創を通じて二人とは何でも遠慮なく言える仲になったと思う。それはもう発注者と受注者の関係ではなく、友と言える存在かも知れない。

彼らの屋号は「Be Space」。
ロゴやHPを作る際には、ぜひ問い合わせをしてみて頂きたい。
https://bespace2017.jp

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