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クロナガオサムシ幼虫採集&飼育メモ


数年前に飼育を行ったクロナガオサムシ幼虫の画像等を発掘したので、備忘録を兼ねてメモ。

倒木裏で越冬していた
クロナガオサムシ幼虫

冬季に裏庭でキセルガイを探していた時に、倒木下で越冬しているクロナガオサムシ幼虫を発見。
春になって越冬を終えた頃に給餌を開始した。
餌はシャクトリムシ等の鱗翅目幼虫を何度か使用して捕食を確認したが、採集の時間が取れなくなってからは自家養殖をしたハエ幼虫を与えた。
ハエ幼虫のみを与えても成虫になる可能性があると思われる。

シャクガ類の幼虫を捕食する
クロナガオサムシ幼虫


クロナガオサムシ類は秋繁殖の幼虫越冬生態が知られており、オサ掘り等でも幼虫が採集される。(成虫越冬を行う種類も存在する)

クロナガオサムシ成虫
クロナガオサムシ成虫


2019年11月5日には成熟した卵を持ったクロナガオサムシの轢死体が確認された。

クロナガオサムシ轢死体


本種幼虫は同時期に集団で発生するケバエ幼虫を主食としており、ケバエ幼虫の集団内からクロナガオサムシ幼虫が発見された観察例がいくつか存在する。自分は長らくこの情報を知らなかった。
当初は完全に鱗翅目幼虫を専食するものだと勘違いして飼育を行っていたが、その代用食として与えたハエ幼虫が偶然にも本来の主食であるケバエ幼虫と同じ双翅目だったために、共通した必須栄養素を持っていたのかもしれない。
主に釣具屋で白サシとして販売もされているハエ幼虫を主食として与える事で、羽化まで成長させる事ができた。
ゴキブリやコオロギ等、他の昆虫類を与えても捕食を行うが、栄養素が足りないのか加齢には結びつきにくい。
あくまでも生存に必要な最低限の栄養や水分を摂取しているものと思われる。
湿らせた黒土を床材として用いて飼育を行ったが、経験上、オサムシ類幼虫には湿らせたピートモスを使用する事が好ましい。
幼虫を蛹化〜羽化させる際の床材も同じく、湿らせたピートモスが崩れにくいためお勧めできる。

クロナガオサムシ蛹
クロナガオサムシ蛹
羽化直前のクロナガオサムシ蛹
毛虫を捕食する
クロナガオサムシ幼虫


クロナガオサムシはまだ昆虫が少ない春先でも比較的容易に林床で採集することができ、5月頃には羽化したばかりで翅が柔らかい成虫も多数確認できる。
幼虫はオオヒラタシデムシの幼虫に似ているが、オオヒラタシデムシには尾端の突起が無い事や、発生時期の違い等で判断できる。オオヒラタシデムシは初夏頃に幼虫が多く発生するが、クロナガオサムシはその頃にはほとんどが成虫になっている。

採集の際は雑木林で探す事が好ましい。ケバエ幼虫が多く潜む傾向がある倒木裏を確認すると、同所的に生息して捕食を行っているクロナガオサムシ幼虫、または越冬する幼虫に出会う事ができる。
ケバエは春に多く飛び交う昆虫であるため、それを見かけたポイント付近の雑木林を重点的に探せば遭遇しやすいだろう。
ただし、ケバエは毛虫然とした外見の幼虫であり、それが非常に夥しい数が集まって蠢いている事が基本だ。
そうしたものに耐性が無い場合は、本当に観察をお勧めできない。

そうでない方は、まだ昆虫が少ない冬季から春先にかけてクロナガオサムシの採集と飼育をしてみる事も一興かもしれない。

今回は多忙のため、成虫に関する記述は別の機会に。



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