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セアカオサムシの産卵を再度確認


セアカオサムシの卵

2023/06/13
セアカオサムシの産卵を確認する。
発見の直前、交尾後の単頭飼育を行っていた容器にて、床材に深さ1センチほどの坑道を掘った跡が残されていた。
さらには常時鞘翅に収まりきらないほどに膨張していたメス成虫の腹部が縮んでいた。
それらに違和感を覚え、新品の使い捨てプラスチックスプーンを用いて床材を軽く掘ると、そこには当日〜前日に産卵されたであろう卵が2つ確認できた。

当日は家に居られる時間が1時間と無かったため、親個体を隔離する事で観察と管理を終了した。
回収した卵2つは洗浄済みの小型タッパー内に産卵場所の床材を敷いて、霧吹きはせずに蓋をした。


2023/06/14
その日も自宅滞在に割ける時間は1時間未満であったため、前日と同じようにプラスチックスプーンによる早急な回収を試みた。
最終的に3個の卵を回収。最低でも合計で5個の卵を一度に産んだ事を確認したが、1つは傷つけてしまった恐れがある。
回収した卵は新品のシャーレを軽く水洗し、その中に床材を敷いた上に置いた。

シャーレ内に安置したセアカオサムシの卵

今回は産卵数の確認のために掘り起こしたが、確実な孵化を目的とする場合は「容器及び湿度の安定」「卵の安静」を最優先に行うため、「成虫の隔離」と「定期的な軽い霧吹き」に留めるべきと思われる。
今回回収した卵も無事は保証できない。

尚、卵は各個単独で産み付けられており、それぞれの卵は1つ産む毎に1〜2センチほどの距離をおいて産卵が行われたものと思われる。

親個体は4月に最低でも4つの産卵を行なっており、産卵後に2ヶ月を経て体内の卵が再度成熟したものとなる。





『日本産オサムシ図説』には5月頃に越冬成虫が出現、6月頃から産卵を始め、新成虫は8月中旬から10月頃にかけて見られるとの記述がある。
前述の親個体は4月上旬という早期に活動の開始と産卵を行いながらも、上記のスケジュールで再度産卵を行ったのだろう。4月の産卵は気温が高い今年だけではないようで、Twitter等で例年、複数回の観察例が報告されている。
今年飼育繁殖を行った個体は1ヶ月半で羽化に至り、野外でも同時期に孵化〜羽化まで成長したと思われる新成虫を確認した。
4月上旬から繁殖を始める個体は前年から体内の未成熟卵がある程度育っているのかもしれない。

親個体が今回のように今後複数回に渡って産卵を繰り返すのであれば、10月頃に現れる新成虫というのも辻褄が合わない事もない。
また、専食対象に出会う機会が少なく、加齢が遅れた個体等も10月の羽化にずれ込む事があるだろう。



以前に投稿した以下の観察例では産卵の8日後に孵化をしたと記録されていた。これにより今後の観察の目安となる。
観察記録を日時と共にメモしておく事がどれだけ自分を助けてくれるかという事を、身に染みて実感した。





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