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終齢時に代用餌のみを与えたセアカオサムシの羽化に成功


セアカオサムシ蛹を管理する容器

帰宅すると、セアカオサムシ蛹の観察容器から微かに土を削る音がした。
どうやら、中にいる個体が成虫となったようだった。

我慢ならず、生体を取り出す事を決めた。

蛹化用に固く詰めた土をスプーンやピンセットで削った場合、地中の個体を傷つけてしまう可能性があったため、コルク栓を全て外した容器を丸ごと水没させて床材を泥状にする事で生体を取り出す方式を採用した。







水没させた容器から浮き上がってきた
セアカオサムシ繁殖個体第2号

これがセアカオサムシ繁殖個体第2号。野外採集個体を水に沈めた溺死体にも見えてしまうが、足元にある3齢幼虫の脱皮殻が飼育繁殖個体の証…とはならないか。分かりにくすぎる。


蛹観察容器

本来ならば、容器底面のコルク栓を取り外せば最下層にいる生体を確認できるが、今回は残念ながら床材の中層に蛹室を形成したようで、前蛹〜羽化の観察は叶わなかった。
しかし、幼虫自身が作った蛹室での羽化のためか、羽化不全は一切確認されなかった。
足掛かりになる天井が存在しない人工蛹室で羽化をして、体が柔らかいままに仰向け状態が長く続いた繁殖個体第1号は鞘翅が少し窪んでしまった事がある。

セアカオサムシ繁殖個体第1号


バナナを食べる
セアカオサムシ繁殖個体第2号

とりあえずバナナを与えてみたところ、よく食べた。オサムシは比較的ゼリーやフルーツを好む傾向がある。
この個体は終齢(3齢)時に代用餌Aのみを与える事で成長した個体。それが一切の不全も起こさずに羽化してくれた事に心から感動している。
代用餌を与えた際の成長速度は、本来の専食対象と思われる生物のみを捕食した幼虫(繁殖個体第1号)と比べてもほとんど遜色が無かった。
その餌は、セアカオサムシが野外で捕食している可能性が0%だと言い切っていいほどに生息環境が異なる生物だが、管理法によっては飼育下での大量養殖も可能であると思われるため、来年以降にセアカオサムシの繁殖が行えた場合は、代用餌単体で育てる実験も実施したい。

また、現在は3齢時に代用餌Bのみを与えて蛹化準備に入った個体も管理している。この個体も中層に蛹室を形成してしまったため、無事に蛹化〜羽化が行えているかどうかは不明だが、前蛹となる前の挙動はすでに羽化した個体2匹と共通していた。

両代用餌は一長一短の特徴を持ち、代用餌Bは代用餌Aに比べて入手難易度が遥かに低い。手間を考えるとこちらが本命となって欲しいところ。

残された最後の1個体、代用餌B捕食個体が入っている蛹容器内には、引き裂いたビニールを詰めて地上に現れた事が音で分かりやすいようにセッティングをした。無事に羽化を終えている事を祈る。


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また、蛹観察容器の使用法や詳細は以下記事を参照にされたい。

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