〈to'morrow music〉 NEW ARTISTS OF THE MONTH (March 2021)
アメリカの友達と日本語の友達が一緒に出てくる夢を見るときがある。交流なんて全くない友達同士が片方は英語でもう片方は日本語で喋っているのを思い出すと、夢は本当に都合の良いものだなあと感じる。
さて、今月もプレイリスト〈TO'MORROW MONTHLY〉から国籍 / ジャンルを問わずに特にお気に入りのニューカマーを厳選し紹介していこうと思います!
april june (Helsinki / Finland)
ヘルシンキを拠点に活動中のVictoria Zolotukhinaによるプロジェクト、april june。昨年4曲入りのEP『feelings on the internet』をリリースし、今年に入っても既に2曲の新曲をリリースするなど、ここ最近積極的に活動をスタートさせたアーティストだ。Clairo辺りを彷彿させるR&Bテイストのインディー・ベッドルーム・ポップっぽさもあるが彼女の場合はより80sのシンセポップであったり、ドリームポップ色が強く、Lou Rebecca辺りともリンクする。そのドリーミーなサウンドスケールを使った浮遊感もあるし、基本的にはクワイエットで切なさを醸し出しているムードも素敵だ。
Greentea Peng (London / UK)
BBCによる〈Sound Of 2021〉で4位にも選出した世界的にも注目されているサウスロンドンのアーティスト、Greentea Peng。Erykah BaduやLauryn Hillから影響を受けたR&Bシンガーであり、NonameやLittle Simzなどを彷彿させるようなラップもクールにキメる。これまでにサイケ、ダブ、レゲエ、ジャズ、ソウル、エレクトロニック、ボサノヴァなどを感じさせる楽曲を発表しており、どれもとても自由で柔軟な感じが最高だし、90sとかからの影響がチラチラと覗いているのもクールだ。ネオソウルよりも新しく、枠に当てはまらないスタイルは今後のニュースタンダートにはならない。何故なら誰も真似できないから。
KALI (Los Angeles / USA)
LAの16歳、Kali Flanaganによるプロジェクト、KALI。5月にデビューEP『CIRCLES』のリリースを控える彼女が公開した新曲「I Just Wanna」はClairoとTame ImpalaとMen I Trustの良いところをミックスさせたかのような素晴らしい曲に仕上がっている。昨今のベッドルームの流れではあるんだけど、ダンサンブルなシンセが使われていたり、少しジャジーなベースライン、そして時には深く潜る感じ素晴らしいし、1月にリリースした「Lucy」という曲も80sの感じがあってノスタルジックだ。しかも彼女は4歳でピアノを初めてから様々な楽器を会得しており、現在ではギター、ベース、ドラム、ヴァイオリンも演奏するそう。
Lil Mariko (New York / USA)
日本と中国にルーツを持ち、NYCで生まれた新世代ラッパー、Lil Mariko。"Hi, I'm a slut" というリリックからスタートするデビューEP『Lil Mariko』をリリースしたばかりの彼女はプロデューサー、Full Tacと付き合っていて、ほとんどのトラックは彼が作っているのですが、とにかくアプローチの仕方が新しくて面白い。昨今のハイパーポップやLGBTQシーンとかにも通じるようなヴォーカル / ラップを軸にしながらスクリーモやメタルに影響を受けたというシャウトが響き渡る。もしかするとBABYMETALのファンの方々でもハマってしまうかもしれないし、更には90sのレイヴやThe Prodigyから影響を受けたというのも理解できる爆発力も持ち合わせている。リリックも攻撃的であり、基本的に自分で自分のことをビッチと呼んでいるアーティストが最高じゃないわけがないのだ。
MILLY (Los Angeles / USA)
LAを拠点に活動中の4人組オルタナロック・バンド、Milly。元々はコネチカットでFurnsssというバンドを組んでいたBrendan DyerがLAに引っ越して結成されたバンドだ。ギターの音一つで、唄メロ一つで、人をグッとされられるオルタナティブ・ロック・バンドが今世界に何組生き残ってるのか知らないけど、彼らは数少ないそんなバンドだし、個人的には自分がロックバンドが好きだということを改めて再確認させてくれる貴重なバンドだ。The Smashing Pumpkinsとか好きな人には絶対に今すぐ聴いてほしい。難しい言葉はいらない。泣けてくるはず。
POLICE CAR COLLECTIVE (Liverpool / UK)
リヴァプールを拠点に活動中のTyler PlazioとSimon Quigleyによる2人組、POLICE CAR COLLECTIVE。まずはバンド名がカッコいいなと思って気になったのがキッカケだったが、最新曲「I Think I Think Too Much」はサウンドの作り方は違うけど、アイルランドからThe Academicsが出てきたときに感じたシンプルだけど成功しそうなロック・アーティストの香りがすごくしたし、The Strokesとかにも近さを感じるポップなメロディーが最高だ。サウンドはガレージやロックンロール・リバイバルではなく、80sのダンサンブルな感じから90年代のUK、The Smiths辺りのサウンドにの影響を感じる。現在リリースされている3曲はどれも全然違うけど、全部キャッチーで何でもできそう。これから名前を見る機会が増えそうなデュオ。
Regressive Left (London / UK)
3人の幼馴染によって結成されたロンドンを拠点に活動中のバンド、Regressive Left。とにかく次々と面白いバンドが出てくるUKのシーンだけど、彼らはちょっと特別な気がしている。New Orderからの影響を感じ、PVAやWorking Men's Club辺りのダンス〜エレクトロシーンにも通じるポストパンクに更にジャズやアートポップ色を強めに表現しているのだが、メンバーは3人ともDJとしても活動していたそうで、その辺りの知識も確実に彼らの音楽にプラスに表現されている。まだ2曲しかリリースされていないが、音楽的な変態さも抜群に表現しつつも、今現在流行っているポストパンク・シーンの中心にもなれそうなキャッチーさを持っているし、”Regressive Left” = "退行的左翼"というバンド名含め、これから楽しみすぎるバンドだ。
Sukie (Falmouth / UK)
マンチェスター生まれ、現在はファルマスを拠点に活動中のアーティスト、Sukie。ロックダウンの中に書かれた最新曲「Pink」は親友のことを好きになってしまい自身のセクシャリティーについて不安があったりしたという10代の出来事について歌っている。ベッドルーム・ポップではあるのだが、Clairoとかと比べると、よりノスタルジックなメロディーやヴォーカルで表現されているのが良いし、R&BやSoulからの影響も表現しつつも音数は最低限で60年代の映画にトリップさせられるようなムードが全体を包む。日々の出来事を盛ることもなく単純に歌っている彼女の唄はすぐに生活に溶け込む。
xiexie (Tokyo / Japan)
2020年に結成された東京を拠点に活動中の4人組インディーバンド、xiexie。Vo/Gtを担当しているMeariが中国や台湾と親しみがあり、響きも良いということで付けられたバンド名、謝謝 = xiexie = シェイシェイがまず素敵なネームセンス。肝心な音楽性はもっと素敵で ”アシッド・フォーク・バンド” と名乗る彼らは、たしかにノスタルジックなフォーク的な要素もあるのだが、個人的にはMen I Trust辺りのベッドルームよりのインディーポップ・ファンやYONLAPAやThe Fur.といったポップセンス抜群のアジアのインディーポップ・バンドが好きな人にはたまらないのではないだろうか?と思う。しかもヴォーカルは日本語だし、少しサイケっぽさもあるのでTempalay辺りのファンにもオススメできる。このシリーズでも毎月のようにこのxiexieに通じるようなアメリカのバンドを紹介しているけど、ようやく日本から出てきた!!from JAPANだよ!!って感じです。
young friend (Vancouver / Canada)
ヴァンクーバーを拠点に活動中の21歳のSSW、Drew Tarvesによるプロジェクト、young friend。インディーとベッドルーム、そしてR&B、HIP-HOPなどをミックスしたアーティストの流れはBrockhamptonやRex Orange County以降本当に止まらぬ勢いで出てきていて、今年だけでもThomas Headon、Slush Puppyなど目が離せないアーティストが多すぎるけど、このyoung friendも彼のシンプルさだけで勝負できる感じは、放っておくのには勿体無さすぎる。特に最新曲である「Pinch Me」はライブでは盛り上がりそうなアップテンポなビートでありながらも、少しストロークスとかも匂わせているギターのフレーズは良い感じに切なさを醸し出しているし、サビのメロディーとかも頭に残るし、かなり完璧に近い曲だと思いますね!
上記で紹介したアーティストを含めたマンスリープレイリスト〈TO'MORROW MONTHLY〉も公開してます!
僕が運営している洋楽専門のオンラインレコードショップ〈to'morrow records〉もチェックしてみてください!
各種SNSでも音楽を紹介しているのでよろしくお願いします!
Twitter / Instagram
5月1日に渋谷でイベントやります!!
Charlotte is Mine
Lucie, Too
No Buses
She Her Her Hers
チケットはこちらから購入できます!
ライブハウスでの飲み代になります! Cheers!!!