〈to'morrow music〉 NEW ARTISTS OF THE MONTH (July 2021)
意見が違うのは当たり前のことだし、妥協をできないこともたくさんある。僕は考え方の分断は仕方ないと思っているし、そこで分かり合えるとも思っていない。それは去年のトランプのアレコレやBLMで学んだことだ。そして、本当であれば文句を言わせないような保証や対策を提示するのが政治の役目なのにね。
さて、今月もプレイリスト〈TO'MORROW MONTHLY〉から国籍 / ジャンルを問わずに特にお気に入りのニューカマーを厳選し紹介していこうと思います!
Deep Sea Diving Club (Fukuoka / Japan)
福岡を拠点に活動中の4人組、Deep Sea Diving Club。R&Bやソウルなどを取り込んだサウンドを軸にしつつもインディーポップやラップ、ファンクとかからも影響を感じるバンド。これまでにリリースされた楽曲を通しで聴いていると、日本詞〜英詞のリリックを使い分けつつ、メロウで心地良いゆったりとした楽曲からアメリカのインディーポップやネオアコまでを感じる楽曲までを披露しており、どの楽曲でも暖かみがあるのが特徴的。その中でもMichael Kanekoをゲストに迎えた最新曲「SUNSET CHEEKS」は彼らのディスコグラフィの中でもかなりレベルアップを感じる楽曲に仕上がっており、80sのシティポップからUSのソフトロック〜インディーロックまで幅広い層に届くのではないかなと思います!
First Beige (Brisbane / Australia)
オーストラリアはブリスベンを拠点に活動中の6人組、First Beige。ネオソウル、ファンク、ジャズなどを軸にエレクトロ〜サイケなシンセサウンドまでを取り入れているバンドでとにかく踊らせることに特化している。今回紹介する「Sudden Weight」という楽曲でも同じくオーストラリア出身のParcelsを彷彿させるファンク・ポップではあるのだけど、途中で登場するスペーシーなシンセサウンドをこの手の楽曲に織り交ぜてくるのがめちゃくちゃ良い!ゲストヴォーカルとして参加しているAllysha Joyがメインヴォーカルを努めているメルボルンのコレクティブ、30/70とかもそうだけど、Hiatus Kaiyote以降のオーストラリアはネオソウルやジャズ、ファンクから派生したアーティストが次々と出てきて面白いですね。
JUMADIBA (Tokyo / Japan)
東京杉並区を拠点に活動中のJUMADIBAというラッパーがリリースした『Kusabi』に収録されている「Spike!」という楽曲にはここ最近で一番衝撃を受けたかもしれない。フットボールのスタジアムでの声援をサンプリングした僅か1分の楽曲に詰まった強気な意気込み。とにかく濃い。本当にロンドンのベニューを満員にしてもおかしくない才能を感じるし、1曲のインパクトが強いのにも関わらず『Kusabi』という23分のミックステープを通して聴いたとときも1つの楽曲の印象に負けないくらいに作品としても素晴らしい。インディーとかエモ、オルタナ、ポップパンクからの影響を感じるようなバンド上がりの日本のラッパーで好きな人はいたけど、彼のように本格的にHIP-HOP一筋な感じのあるラッパーを好きになったのは本当に久しぶり!
Lexi Jayde (Los Angeles / USA)
女優やモデルとしても活躍するLAのSSW、Lexi Jayde。彼女が作る音楽は19歳らしい恋愛&日常のアレコレをテーマにした楽曲が多く、Taylor Swiftとかを聴いてきたんだろうなというのが伝わってくるアメリカンなポップスタイルを軸にしつつもフォーク、カントリー、インディーポップなどを感じるスタイルはどこか懐かしくなるし、なんかグッと来てしまう。そしてギターの音の使い方とかもセンスが抜群で最高。これからミュージシャンとして、アクターとして、そしてモデルとしてどう活躍していくのかが楽しみな存在です。
Lime Garden (Brighton / UK)
ブライトンを拠点に活動中の4人組、Lime Gardenが〈So Young Records〉からリリースした新曲「Pulp」は個人的には久々にヒットした4つ打ちのダンサンブルなパンクチューン言ってもいいだろう。これまでに少し気怠いポストパンクなどを中心に演奏してきた彼らだけど、ここに来て一気にジャンルを飛び越えまくった。Goat GirlやSorryを彷彿させる部分もまだあるけど、Working Men's Clubとか別の角度からダンサンブルにニューウェーブを攻めているロンドンのバンドっぽさもあるし、とにかくキャッチーで癖になる。これまでにリリースされた4曲がどれも全然違う毛色なのも面白いし、流石〈So Young〉。目をつけるところが完璧だぜ!って思いますね。ちなみにリリックで登場する ”Simon says…” というのは欧米?英語圏?で飲んでるときにやる遊びです。命令ゲームみたいな。
mazie (Los Angeles / USA)
メリーランド州はボルチモア出身、現在はLAを拠点に活動中の21歳のアーティスト、mazieがリリースしたデビュー作『the rainbow cassette』は本当にオモチャ箱から飛び出てきたような愉快なポップさを持ったインディーポップで、Superorganismが好きな人にはマストでチェックしてほしいし、ClaudやWalliceとかのファンにも刺さるはず。この「dumb dumb」という楽曲は昨年アメリカで起きた大規模な暴動について書いた楽曲らしいのだが、これに尽きずパンデミック中にLAに一人で引っ越したときにリリースした「no firends」など暗いテーマでも明るくポップで笑い飛ばしている感じが最高だし、気づいたら笑顔になれる音楽ですね!
Mila Degray (Miami / USA)
マイアミ出身のSSW、Mila Degray。まだ2曲しかリリースしていないし、コロナ禍がスタートしたときに自身のクローゼットで楽曲を録音しはじめたのがMila Degrayとしての始まりだと話している新人アーティスト。グランジやオルタナといった少しダウナーな90s系のサウンドに影響を受けた感じを出しつつ絶妙にドリーミーでローファイな音像を作り出し、メロディーでポップを作っている感じが最高。もう完全にbeabadoobeeのファンは虜になるだろうし、他にもLAのMommaとか好きな人にはチェックしてほしい。現時点ではまだリリースされていないが、この夏にデビューEPをリリースすると語っているのでめちゃくちゃ楽しみですね!そういえば、一番コラボレーションしたい人はだれ?という質問にAlex Gと答えていたよ!最高だね。
Mimikat (London / UK)
UKはシェフィールドで生まれ、その後シンガポール / 香港で育ち、現在はロンドンを拠点に活動中のR&Bアーティスト、Mimikat。ジャジーな要素などをミックスしつつも全体を通してとてもシンプルで彼女のエモーショナルな歌声が前面に出した作風が特徴的。同じくロンドンから出てきたJorja Smithとかの要素もありつつ、楽曲によってはパーカッションを積極的に取り入れているなど、まだ現在は公式的には2曲のリリースに留まるので全貌はつかめないけど、まだまだ引き出しの多そうな注目のR&Bアーティストです。
moa moa (London / UK)
2019年に結成されたロンドンの注目バンド、moa moa。最新曲「Coltan Candy」は〈Speedy Wunderground〉の7インチシリーズとしてもリリースが決まっている楽曲でパーカッションが効いたサイケデリックなエレクトロ・ファンク・アート・ポップと呼びたいサウンド。癖があるけど、ポップでアニメの世界観の中で鳴っているかのような愉快さが最高だ。Unknown Mortal Orchestraとかのファンにはオススメしたいし、過去にはArcitc Monkeysの『AM』 ばりのベースがブイブイなったサイケロック「Yellow Jacket」もリリースしている。まだ公式的には3曲しかリリースしていないけど、UKだけではなくTame Impala辺りのサイケバンドのファンにもオススメ出来るし、変化球だけどどこまでも届く可能性を秘めたバンドだと思う。
TRPP (Seoul / Korea)
韓国はソウルを拠点に活動中のインディーバンド、TRPPはNAVERが展開する新人アーティスト発掘プロジェクト『Musician League』で1位を獲得したヴォーカル、Yoon Jiyoungを中心に他のバンドでも活躍しているKang WonwooとGilaからなる3人組。ドリームポップ、オルタナティブ、シューゲイザー辺りのサウンドを中心にまるで最近の流れを読んでいたかのように90年代のマンチェスターを彷彿させるような楽曲までを収録したデビューアルバム『TRPP』をリリースしたバンドだ。Beach Houseを彷彿させるような美しいヴォーカルをもう少しインディー軸で表現している感じはたまらないし、アジア圏はもちろん、欧米でも全然受けるはずだし、Yoon Jiyoungのヴォーカルだけではなく、男女ヴォーカルのバンドとしてのバランスもとても良いですね。
上記で紹介したアーティストを含めたマンスリープレイリスト〈TO'MORROW MONTHLY〉も公開してます!
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