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「共想」を観てきた道のりとこれから。

篠崎誠監督作品「共想」を観てきた
感想とエピソードの数々です。

一般上映ごとに観れたので、やはり長文になってしまいました。
すみません...。

※作中のネタバレはしてません。
未見の皆様ご安心ください。

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【あの日のわたし】

「2011年の3月11日あのとき、どこでなにをしていましたか?」

この作品にはそんな質問があります。

わたしはその頃、四国の愛媛県に住んでいました。
ネットで上のみで交流していた、関東住みのAさんの安否が気になって
スカイプから「無事ですか?」と、話しかけてみたら... 
「電車に2時間、閉じ込められてた...」と、返事がきました。
どうにか降りてからも長時間、歩いて帰宅したそうで、多くの人達が
同じように歩いていて...Aさんは、ひとりひとりに声をかけたそうです。
「すっごい優しい!」
後日に話したときに、Aさんに心から言ったのですが

「いや、はやさん、それは、はやさんが見てないから言えるんだよ...。
 みんなね、お通夜の帰りみたいに歩いてたんだよ。すごい光景だったよ」

そう言われました。
改めて四国にいる自分と現地である地域との...確かな距離を実感しました。

その後、あらゆる運命の歯車が動き回り、とあるミュージシャンを通じて 関東に仲間が増えていき、そして...
2015年10月に、四国から東京へと引っ越してきました。
それでもわたしは、3.11を体験した相手との距離観を抱いたままです。

この出来事は正に「共想」における
近いようで遠い...遠いようで近いのに届かない...その構造と重なり
あのときのことを思い出しながら観たのが、初見だったのです。

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【 2019年10月3日(木)】

始まりは2019年9月26日の夜からでした。
東京にきてから、ボランティアを通じて舞台役者さんと知り合い
彼女が出演する舞台を、大塚の劇場で観てきました。
そして帰宅したら「共想」の初の、一般上映の告知がツイッターで 
出ていたのです。 
なので、このときのことは尚更に印象に残っています。

それで観に行けたのが10月3日。※諸事情により上映場所は内緒。
そのときの感想ツイートが、こちらになります。↓↓↓

『 篠崎誠監督作品「共想」を鑑賞できました。 予定を変更してでも
 予約に飛びついたのは、ひとつの作品に渾身の歳月をこめて 
 編集し続ける...監督のツイートをずっと追ってきたからです。 
 ようやく自分自身で本編が体感できる日がきて感無量でした。
 手作りのチケットにも胸がいっぱいです。』

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『 今朝みた夢のせいで絶望感にとらわれて、 
 自分のこれまでの人生すべてが空しくなって、上映場所に向かうときも
 道に迷って間に合わなくなりそうで走って、さらにへこんだのですが、
 本編がもうね...映画を観るために必死になれることが 
 いかに平穏であるかを思いしらされました。』

『 わたしは東京にきて来月で4年目ですから、3.11のあの日の東京を
 知人づてにしか知りません。 
 それでも当時のことを振り返りながら「共想」をみつめました。
 地面がすれ違うと心までもがすれ違う...。
 だけど生きているのなら「果たさなければならない約束がある」
 そんな気にさせられる作品でした。』

『 ニュー八王子シネマは「SHARING」を観に行った一度きりでしたが、       
 大切な想い出の場所なので、スクリーンのなかで永遠の命を得たような
 気がして嬉しいシーンでした。 
 壁の紙がぺろんとめくれてた箇所、監督にいただいた貴重な過去作品の
 チラシと手作りのペーパーも含めて。』

※ニュー八王子シネマは2017年に閉館してしまいました。

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キャプチャhtyu


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【 2020年01月11日 (日) 】

「あれから」「共想」「SHARING」3.11関連...三作品の上映イベント開催。

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アテネフランセ文化センターは、以前に看護助手をしていた
御茶ノ水の病院の近くでした。ちょっとトラウマが蘇ったり(笑)
 ※めっちゃ重労働だったのです。なのですぐ辞めました(笑)

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このとき「共想」の上映のあとで質疑応答があって、おもわずそっと 
手を上げてしまい (((´・ω・`))) 緊張しました...。

実は上記の「知り合った舞台役者の女性」と、つながるのですが
その彼女が出演した舞台で、ステージ一面に20段くらいの階段をセットして
昇り降りをする構成で、序盤に男性役者が階段を横飛びしたんです。
顔を正面に向けたままで...。それで気づいたわけですよ、誰ひとりとして 足元を見ずに演ってる!すんげえと!
終わってから知人女性に挨拶して、それを話したら「あれは怖いんですよ」
と、おっしゃってました。ですよねぇ...かなり鍛錬しないとできないです。

それでおもわず「共想」で、階段と廊下ですれ違うシーンについて
聞いてみたくなったのです。
主に柗下仁美さんが答えてくださって、わたしの顔をしっかり見ながら
話してくださったので、顔に穴が空くかとおもいましたっ(笑) (・▽・;)

上映後も柗下さんが質問へと、お礼をくださって、お話しができて
「階段のシーンはダーッと走って、自分で前髪を直したりしたんです」 
と、更に聞かせてくださいました。
あの隙のない緊縛したシーンの裏にそんな労力が...!

そして「サクリファイスでは撮影を担当しましたので」とも、お聞きして
「ぜひ観たいです!」と、お伝えしたので、後日に無事に観ることができて
約束が果たせたような気持ちでした。

さて。この日の感想ツイートがこちらになります。↓↓↓

『2016年のテアトル新宿の上映のときに観損ねた「あれから」を観ること 
昨年の10月に観た「共想」を再び観ること、そして...
ニュー八王子シネマで「SHARING」を観たとき、篠崎監督に
サインをいただいたパンフレットで時をつなぐこと。すべて叶いました。』

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『 無くなってしまったニュー八王子シネマ...だけど「共想」のなかでは
 そっと息づいてる。その映画が完成した現在とを、篠崎監督に
 再びサインをいただくことでつなげたかったのです。          
 そして白のマジックを貸してくださった方、パンフにサインをくださった
 木村知貴さん、皆様ありがとうございました!』

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『光は眠気をしらない』
「共想」に出てくる詩のような...月明かりの下を帰りました。
 この詩の『祭り』に、わたしはなぜか「銀河鉄道の夜」の星祭りを
 連想します。
 旅立って逝った魂を想いながら生きる人たちの
 心から心へと続く長い道のり...
 この三作品の共通点はそこにあるのだと気づきました。

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『 昨年の上映から2回目の観賞。 
   灯るような赤、近づく気配、すれ違う背中、行き交う心、
   どこからか聞こえてくる唄、届きそうで届かない声、不安と戸惑い、
   いたわりとぬくもり、そして...果たしたい約束。
   すべてが洗練されていて、美しくて切ないです。』

『 昨年の春のわたしは、桜の生命エネルギーをみるのもキツイくらいに 
 ストレスで身体を壊して一ヶ月、入院していましたが、今回の三作品を
 観ていたら「桜がみれるって、木々に生命があふれるって、
 それをみれるって、どれだけ幸せなことだろう...」と、
 おもうことができました。今年は桜がみたいです。』

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【 2020年07月04日 (土) 】

コロナと世界との闘いが始まった2020年.....。
それもあって4月に開催予定が延期になり、この日となりました。

上映作品は「殺しのはらわた+ACTION!」「ハメルンの笛吹き」
「おかえり」「共想」
場所は再びアテネフランセ文化センター。めっさ長丁場を全通!
休憩時間に外に出てみたら、夕日が綺麗でした。

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ここから、このときのことを書いた 
noteの本文を出させていただきます。↓↓↓

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6月29日...

わたしは突発的に死のうとしました。

最寄り駅まで出かけ、商店街を抜けたら踏切があって
カンカンカン...と、音が鳴って、遮断機が下りました。
わたしは、その下りたバーを片手で持ち上げて、くぐって踏切に
入ろうとしました。
そしたら...そばに、自転車に乗って踏み切り待ちをしていた
見知らぬ男性がいて「危ないよ」と、言ってきました。

「電車くるよ、危ないよ」と。

その声で、わたしはやめました。
やめたと同時くらいに電車がきました。

遮断機が上がって踏み切りへと入り、そして今度は
線路の真ん中にしゃがみこみました。

そしたら...
自転車で踏切りを通ってきた、見知らぬおばさんが自転車を止めて 
「大丈夫?」と、声をかけてきました。 
返事をしなかったので、再び「大丈夫?」と、聞かれて
フラリと立ち上がって頭をちょっと下げて、踏み切りを渡りました。

帰宅してから

「いやいやいや、ダメでしょ、なにやってんの?
だって、もうすぐだよ?篠崎監督の映画が観れるんだよ!?
4月に開催される筈が中止になった企画が、ついに実現だよ!
あんなに楽しみにしてたじゃない、死んでる場合じゃないでしょっ!」

自分で自分に、そんなツッコミをいれてました。

死にたくなった理由は 
『シリアスな小説を書いたら、読み手に笑われたから』でした。
ただ、それだけでした。

そんなちっぽけなことでも、人は死ねるものです。
※いや、わたしはメンタルが弱すぎるほうですが。

1年ほど前から、素人でも出せる小説サイトで執筆しています。
そして6月は、そのサイトで月に2回ある小さなコンテストで
短編が「入賞」に選ばれました。

それでも...6月末には死にたくなったのです。
そういうものです。

ですが、生き残れました。

そうして生き延びて、篠崎誠監督の作品上映会に参加できました。

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こんなことがあったので、上映後に篠崎誠監督にチケットに
サインをおねがいして

「生きててよかったです...」

それだけを告げて帰りました。

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3回目の鑑賞の「共想」は
ようやく落ち着いて観ることができて
ラストで泣けました。

世界が突如として変わり果て、あらゆるエンターテイメントが
打撃をうけていくなかで...
「共想」における詩の『光は眠気をしらない』『あの綺麗な宝石』
それは、夜の街の娯楽の明かりのように感じられました。
どうかその灯を消さないでと...あのときも、これからも
ずっと願わずにいられません。

わたしはこの時期、3月末に引っ越したばかりでした。
乗り換えがまだよくわからなくて、間違えて遠回りになって
半泣きになっていたら...曇り空から一瞬、月が顔を出しました。
てできて、もう一度でてきて...! と、必死に願ったら写真が撮れました。

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【 2020年10月03日 (土) 】
※奇遇にも「共想」の初上映から1年後!
そしてついに4回目の鑑賞!色々とすごい!

篠崎誠監督特集@アテネフランセ文化センター
①おかえり
②共想
③SHARINGアナザーバージョン
④忘れられぬ刑事たち+霊感のない刑事+トーク
⑤「ACTION!」

更なる長丁場!! 全通してヘロヘロでしたが...._(:3 」∠)_

いままで以上に強く感じられたり
初めて観て笑えたり。

得たもの多き大きかったです!

『 昨日、失ったもの
  今日、得たもの
  明日、失うか得るかするもの

  どれに対しても想いがあふれて
 「共想」して「競争」して「狂想」するような気持ちで
  疲れきってるのに眠れないけど
 「強壮」するために寝よう。 』

↑ こんな言葉をツイートして眠った夜でした。

[余談]
前回の記事のほうにも書きましたが
このとき「共想」を観たときに、小説を思いついて
そこから更に広がり、4作品を書くことができました。
そしてその1作はコンテストで「優秀作品」に選ばれました。

素晴らしい刺激をくださったことに感謝しています!

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【 2020年12月15日 (火) 】

ついに5回目の鑑賞!
「過去の半券チケットを持ってる方はリピーター割引できます」
と、言われたのですが...どれを出せばいいの(笑笑笑)
という見事さ!∑(*゚ェ゚*) ↓↓↓

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結局、最も新しいのを出して安くしていただけました。w((´ω`))w

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ほんとは行くかどうかはギリギリまで迷ってました。
前のnoteの記事に書いたように、精神面が疲れきっていたり、
コロナが加速していくなかで誰かと席を空けず座るには恐かったり。
そして、席がネット予約でどんどん埋まっていくので、むしろ初見の
誰かに、自分の席を譲るべきではないかと思えたり。

ですが、やはり行くべきだと決意して出かけました。
もしも行って満席になっていたら満足して帰れるという気持ちでした。

ところが、早めのバスに乗れて早過ぎてしまったほどです(笑)

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風が強くて、入り口の貼り紙が揺らいでました。↓↓↓

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このときのツイートのまとめです ↓↓↓

どこまでも息苦しいことばかりで
もうなにもかも嫌になって
必死に息をしようとするのなんて、もうやめようか?
もう一歩も動きたくない...。そう思い始めてました。 

でも、篠崎誠監督はこの荒波を泳ぎきろうと
懸命に息継ぎをしておられました。
何度も何度も「共想」の上映宣伝をしてて... 
「行かなきゃ!」って、どうにか行くことができました。
映画は目で観るものではなく
「いまの自分にはどう映るのか」なのだとわかりました。
「共想」における善美と先生との会話に今回は気持ちが
重点的になり、こんなにたくさん話しを聞いてくれる
相手がいかに大切か実感できたりしてました。 

そうしていつも解釈が様変わりする作品なのですが
池袋新文芸坐のスクリーンでは、ラストシーンの
善美のスカートの鮮やかな青さの光沢と、珠子が髪に
つけてるベレッタが花柄なことまで見えて
そこにも感動しつつ、とても素直に「よかったね...」
と、涙することができました。

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柗下仁美さんはツイッター上で、とても気さくにリプライをくださってて
わたしもネット上では臆せずにお話しできるのですが......
じっさいにお会いすると、めっさ緊張して「はわわわっ!ひえーっ!」
と、なってしまいます。やっぱり女優さんてオーラがすごい!(><)
今回も「あ、はやさーん」と、両手をパタパタさせて手を振ってくださって
どへーっ!どへーっ!と、あたふたしました(笑) (;´@▽@`)
矢崎初音さんは、上映後に対面してお話しできたのは初めてで、尚更に
緊張してしまって「サクリファイス観ました」は、言えたのですが
もっと感想をしっかり伝えるべきだったぁ~....と。
帰り道でメチャクチャ悔やんだっす...。_(:3 」∠)_

そんな美女お二人、マスクをしてても隠し切れない美しさ!↓↓↓

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とにかくこの回、なんだかんで行って良かったと強く思えたのは...
上映後の篠崎誠監督と黒沢清監督とのトークショーの素晴らしさでした!
黒沢監督は今回が初見だったとのことですが、一回で理解しきってる!
すごーい!わたしなんて5回観れたのにまだ掴み切れてないというか
更に深みに捕らわれて感情が彷徨っていくほどです。
やはり巨匠は一味も二味も違いますね!
黒沢監督が篠崎監督にインタビューしていくような進行だったので
すごく貴重なことが、こちらも聞くことができました。
そして前のほうの左側の席だったので、位置的に黒沢監督の精悍な
お顔を拝見できてドキドキしちゃいました!
なにしろ何年も何年も前からずっと、黒沢監督の様々作品を拝見しながら
年齢を重ねてきた身なのです。
初めてご本人を拝見できたことに感動と感激に心が包まれていました。

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さて。長々と書いてきましたが
ここで描いたものを置いて 
この長い長い道のりの締めとさせていただきます。↓↓↓

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誰もが
わかりあえても
わかりあえなくても
共に想えますようにと

祈りをこめて。


2021年3月4日...はや(トモリ)