人生を変えた名盤シリーズvol.8 『OK COMPUTER』
「陰の底力を見せた90年代の傑作」
第8回目は、レディオヘッドより3作目の「OK COMPUTER」です。
メンバーはトム・ヨーク(vocal)、ジョニー・グリーンウッド(guiter)、コリン・グリーンウッド(bass)、エド・オブライエン(guiter)、フィル・セイウェイ(drums)の5人です。
レディオヘッドは1992年にメジャーデビューし、ポストパンクやオルタナティヴ・ロックを背景とするポストロック、電子音楽、ジャズ、クラシックなどといった多彩な音楽性を持ち合わせた90年代英国を代表するグループです。
1作目の「パブロ・ハニー」の「クリープ」という名曲で話題になった後、2作目「ザ・ベンズ」で彼らの持ち味であるギターロックをさらに押し進め、人気を確立しました。
次作への期待が高まるその最中、前作の焼き直しにならないよう数々の実験的な試みを経て発表されたのが、今作の「OK COMPUTER」です。
本作はいわゆる”捨て曲”が無く、全体を通しで聴けるトータルアルバムとなっています。
また、彼らの持ち味であるエレクトリックギターの多重録音や変拍子・不協和音をふんだんに盛り込みながらも、ピアノやシンセサイザーを効果的に導入した、より多彩で深みのあるサウンドに仕上がっています。
アルバムは冒頭の「Airbag」の唸るようなギターサウンドで始まり、激しいドラムで幕を明けます。
トム・ヨークのどこか不安を感じさせながらも、優しく、時には鋭い声が印象的です。
特に6曲目の「Karma Police」は、その陰鬱なサウンドと印象的なPVが相まって、同バンドの象徴的な曲です。かのオアシスのノエル・ギャラガーも、同曲をバンドのベストソングに選んでいるとのことです。
曲の最後の方で、トムが「I lost myself」とリフレインする箇所は頭から離れません。
その後も静と動を繰り返しながらアルバムは展開し、彼らの内に秘めるメッセージ性がひしひしと聴き手に伝わってきます。
続いて印象的な曲は、10曲目の「No Surprises」です。
まるでゆりかごの赤ん坊の子守唄のような曲調は、彼らの楽曲の中でも珍しいものであり、本当に彼らの音楽の幅が広がったことが伺えます。(ちなみにトム・ヨークが水責めに合うPVも必見です笑)
そして最後は私の一番好きな曲である「The Tourist」で幕を閉じます。
この曲は全体的に気怠い雰囲気で、トム自身が認めているほど「ピンク・フロイド」っぽい曲調です。
アルバム全体で1時間ほどの長さがあるのですが、聴き始めるとあっという間に1時間が過ぎてしまいます。
それだけ曲全体のクオリティとバランスが優れており、これだけ複雑なサウンドがめまぐるしく展開するにもかかわらず、曲との繋ぎ目に全く違和感がありません。
このアルバムは是非自宅でヘッドホンをしながら深夜3時くらいに聴くのをぜひおすすめします。
アルバムがクライマックスを迎えるくらいに、外が薄っすら明るみがかってくる瞬間が最高です。
ちなみに私のいとこもレディオヘッドが好きで、このような複雑で暗めのサウンドを奏でるバンドを敬愛しています。
彼はどちらかというと内向的な性格ですが、現在も自分の確固たる目標に向かってその才能を磨き、情熱を燃やし続けています。
そんな彼にとって、レディオヘッドのような内に秘める静かな情熱を表現するバンドはヒーローのようなものでしょう。
いつか彼の作品が多くの人の目に触れ、内向的な人に勇気と感動を与えられる存在になれるよう、陰ながら応援しています。
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