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オーナー

堤オーナー参り給ひて、「宮内こそいみじき酒は得て侍れ。我、それを求め侍るなり。」と申し給ふ。「いかやうにかある。」と問ひきこえさせ給へば、 「すべていみじう侍り、さらにまだ見ぬ酒なりとなむ人々申す。まことにかばかりのは見えざりつ。」と、言高くのたまへば、 「さては、仰木監督の焼酎なり。」と聞こゆれば、 「然り、膝に塗るべし。」とて、血の涙を流し給ふ。

『清氏文草』

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