うたスト小説〜曲A

「機種変更」

とある通信会社の店に1人の女性が来店した。
店員の男性がゆっくりとお辞儀をする。

「いらっしゃいませ。何かありましたら、お尋ねください」
店員は穏やかな口調で言った。

女性は少し店内を見回した。

「あの、機種変更をしていただけますか?」
女性は店員に尋ねた。

「はい、可能ですよ。
ご希望を仰ってください」
店員は微笑みを浮かべ、穏やかに言った。

「最近、思い出の動画が削除できなくて容量が増えてしまいました。
動きも時折遅くなったり」
女性は心配そうだ。

「そうですか。
それなら、機種変更した方が良さそうですね。
少々お待ち下さい」
そう言うと店員は店の奥から書類とパンフレットを持ってきた。

「どうぞ、こちらへおかけになってください」
店員は女性をカウンターの席に案内した。
女性は、そっと椅子に腰掛けた。

「では、ご案内させていただきます。
まず容量ですが、こちらの3種類になります。
1000エクサ、2000エクサ、3000エクサとなりますが、
どれになさいますか?」
店員はパンフレットを見せながら言った。

「2000エクサで」
女性は少し迷った表情だったが、
パンフレットを指さした。

「では、こちらの容量に切り替えます。
動画を保存するという面でかなり適していると思われます。
次にデザインをお選びください」
店員は女性にパンフレットを見せた。

「こちらの淡いネイビーで」
女性は少し微笑みながらパンフレットを指した。

「わかりました。
機種名はUDSQ-NV2500となります。
それでは、ご契約に当たって、お値段の説明をさせていただきます。
端末代が1555000円、月々の通信料が1万円となっております」
店員は穏やかな口調で丁寧に説明した。

「はい、お願いします」
女性も納得したような表情だった。

「今ですと、キャンペーン中ですので、端末代は1480000円、
通信料は9200円となっております」
店員は説明した。

「結構安くなりましたね」
女性は嬉しそうだ。

「それでは、機種変更をさせていただきますので、
あちらの部屋へお入りください」
店員は立ち上がり、女性を部屋へと案内した。

しばらくして女性が部屋から出てきた。
女性の身体は新しいデザインに変更されている。

「とてもお似合いですよ。
こちらのアダプターはサービスさせていただきます。
セットしておくと自動で充電されます」
店員はアダプターを袋にしまった。

「ありがとうございます。
思ったよりも軽くて、ランニングしながらでも大丈夫そうです」
女性は満足げに微笑んだ。

「そうですか。それは何よりです。
また、何かありましたらお越しください。
いつでもサポートさせていただきます」
店員は満面の笑みで頭を下げた。
女性は軽い足取りで店を出た。

店内では二人の店員が雑談をしていた。
「人間がアンドロイドになる時代ですね。
データはいつでも引き出せますし」
1人の店員がwebサイトを見ながら言った。

「そうだね、人間時代の病気や怪我に悩まされなくて済むというもの大きいよ」
先程の店員が言った。

「私も機種変更してから5年程経ちますし、
そろそろ変えようかな」
店員がwebサイトのレビューを見ながら言った。

「社員割引もあるし、やってみたら?
僕もそろそろかな」
先程の店員もwebサイトを見ながら言った。