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週刊少年ジャンプの金字塔『ONE PIECE』の魅力を語る

『ONE PIECE(ワンピース)』は小学生の時に出会ってから今まで、バイブル=聖書のような存在です。当時の幼い自分にインストールされた理念や哲学のようなものは、確実にその後の人生に影響を与えています。

だからこそ、その魅力を端的に語りたいと思ったことが、この記事を書くきっかけでした。今回は、20代の私が考える『ONE PIECE』の魅力というものを伝えられたらと思います。

ルフィの眼のデザインは虚無的である

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集英社『ONE PIECE』尾田栄一郎

キャラクターにおいて、眼のデザインはそのキャラクターの属性を知る上で重要です。『ONE PIECE』の主人公であるルフィには瞳に光がなく、何を考えているのかわからないような印象を与えています。

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集英社『ドラゴンボール』鳥山明

この虚無的な眼は『ドラゴンボール』の主人公である悟空から引き継がれています。基本的には世の中を引きで見ている、あるいは大人や社会に対して呆れているというのが、ルフィの眼を見るだけでわかるようになっているのです。

酷い社会に嫌な大人という問題意識

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集英社『ONE PIECE』尾田栄一郎

悟空やルフィがあっけらかんと楽観的な印象を与える理由は「世の中の負の部分はお見通し、俺たちはそんなものに縛られず好きなようにやる」という意識の表れだと考えます。そして、このマインドこそが『ONE PIECE』の作品のテーマになっているのです。

「酷い社会には嫌な大人ばっかり」

この前提が、我々2000年代の若者の心を掴むだけでなく、この年代にいる全ての読者の人達がこのような感性、感覚を持っていたのかがわかります。これらの主人公造形が『ONE PIECE』の軸になる魅力です。

能力主義の否定

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集英社『ONE PIECE』尾田栄一郎

『ONE PIECE』では能力主義を否定しています。ルフィはいつも相手を「面白いかどうか、イイ奴かどうか」で判断します。つまり、能力ではなく、好きか嫌いかで相手を判断しているのです。

これに関しては社会的に危険であることは否めない一方で、私を含む多くの少年が生きてくうえで、能力主義とは違った指針を与えてくれます。この感覚が『ONE PIECE』に心を掴まれてしまう理由なのではないでしょうか。

社会の嫌な大人ではない年配キャラ

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集英社『ONE PIECE』尾田栄一郎

「酷い社会には嫌な大人問題」「能力主義の否定」に対する尾田栄一郎先生自身の回答は『ONE PIECE』に登場するカッコイイおじさんやおばさんに集約されています。

尾田先生の中のこういうおじさんになりたいという願望を、登場する年配キャラを見ることで感じることができる。つまり、尾田先生自身が見た「社会の嫌な大人」に属さないカッコイイ年配キャラがリアリティを持って登場してくるのです。この年配世代キャラクターの多彩さが『ONE PIECE』の魅力を押し上げていると思っています。

様々な幅広いジャンルからの引用

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『ONE PIECE』が幅広い層の人に読まれている理由の1つは、元ネタ、モチーフが様々な幅広いジャンルから引用されているからだと考えています。

作中には尾田先生自身が見てきた全てのカルチャーがミックスされており、ジブリを含む日本を代表するアニメ作品や、ドラゴンボールを中心とした少年漫画作品、70年代にブームであったオカルトや陰謀論世界史などなど引用をたどると数えきれないほどのオマージュがあります。つまり、サブカルチャーの知識や教養があるほど、作品の面白さに厚みが増していくようになっているのです。

少年漫画というパッケージに収まらない

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集英社『ONE PIECE』尾田栄一郎

大人の人は社会的な視点から、少年少女はワクワクするような子供的視点から『ONE PIECE』を読むことができます。特に私たちの世代は『ONE PIECE』が友達との共通言語になってくれました。

幅広いトークや議論を『ONE PIECE』を軸に話すことができる。少年漫画というパッケージに収まるようで収まらない、これが『ONE PIECE』の最大の魅力だと、私はそう思っています。

出典:集英社『ONE PIECE 尾田栄一郎』

出典:集英社『ドラゴンボール 鳥山明』

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