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子どものころ好きだったアニメに、自分を知るヒントが隠されている

縁あって、キン肉マンを読んでいる。

小学生の頃、アニメではみたことがあったけれど、興味を持ったことはない。同級生の男子たちが、やたらめったらキン消しで遊んでいたり、3つ上の兄にはやたらとアイアン・クローという技をかけられ、憎しみがわいた記憶以外に、いい思い出はない。

「人生における大切なことは全て、キン肉マンから学んだ」という、大阪で福祉事業を手がける河内崇典さんとの出会いをきっかけに

「え? キン肉マンに、そんな人生哲学ってありましたっけ??」

と、素朴どころが疑惑がわいたことで、全36巻を読ませていただくことになった。貴重な機会をありがとうございます。
(河内さんのコメントには、キン肉マン語風味が必ず入る↓)

まだ途中なので、感想をまとめるのは全て終えてからにしようと思うけれど、実際に読んでみると

た、確かに・・!

と、この漫画のある種の凄みを感じている。

だからと言って、当時の私がキン肉マンに嵌まったかどうかはわからないけれど、男子が夢中になる理由はわかる気がした。

ギャグ漫画としての面白さに加えて、プロレスという舞台。
主人公が全然かっこ良くもなければ、どっちかっていうと運を見方につけて勝ち進んでいく姿は、同級生のあの子やこの子に、重ならなかったはずはない。

加えて、この人(超人)のダメさがまた素晴らしい仲間を呼び、その結束がまた、がんばれキン肉マン!ロビンマスク!ウォーズマン!と声援を送りたくなる気持ちを後押しする。

いつの間にか、試合を見守っているんだよな〜私も。まだ中盤なので、あれこれ述べるのはこのへんにして、キン肉マンエッセンスが、我々70年代後半生まれ、80年代に小学生時代を送った世代にどのような影響を与えているのか、ちょっと引いてもう少し考えてみたいなと思っている。


ところで、「自分のことを知るには、子どもの頃自分がどのような漫画やアニメにハマっていたか振り返ってみるといい」とおっしゃっていたのは、文筆家・編集者の服部みれいさん。

これを知った時、私も早速振り返ってみた。

漫画本にはほとんど触れず、どちらかというとテレビアニメはあたりさわりなく触れてきたような、普通の昭和後期の小学生だった。

が、たった一つ、うっとりするほどハマったアニメがある。

ときめきトゥナイト!、うる星やつら、ひばりくん、いろんなアニメ(どちらかというとちょっと性的描写が子どもには際どいやつw)に確かに目を通してきたけれど、

「一番好きだったアニメは?」と聞かれたから、後にも先にもこれしか浮かばない。私の青春は、小1がピーク。アニメに心酔したのも、これが最後。


今でも胸のおくがキュンとする、紫色の髪、ブルーのアイシャドウ、ピンクのリップ。ゆうちゃんの元気で明るい原色系のお洋服。

アイドルという世界も、ゆうちゃんのおてんばっぷりも、マミの色気も、本当に何もかもが好きだった。

やっと買ってもらえた魔法のコンパクトとかステッキ持っても変身できない自分が情けなかったし、最終回を迎えた時は、自分の一部が消えてしまうみたいで、本当に悲しかった。



さて、みれいさんの助言に従い、とりあえずもう一回見てみようと、とある動画サイトで第一話を視聴。

結果、「小1だから、アイドル願望とか、魔法使いとか、その程度のことなんじゃ?」と安直に決めつけていた自分にハッとした。鳥肌ものだった。

第1話の内容は、記憶の片隅にも残っていなかった分、自分がマミに引かれていた理由が今までと少し違う角度で見えてきたのだ。

第一話に描かれていたのは、10歳のゆうちゃんが魔法を手に入れるきっかけである。

ゆうちゃんがフェザースターという箱舟に乗った妖精と出会うところから、マミという物語が始まるのだ。つまり、出会いは宇宙船。そこで、期限つきの魔法を貸与されるのだ。

ユニコーンの背中に乗って、宇宙船のなかをめぐるゆうちゃんを見て、ゾゾゾ、とした。


全盛期の中森明菜ちゃんや石川秀美ちゃんに憧れるように、マミちゃんが好きで憧れていたのだと思い込んでいたけれど、それだけじゃなかったのだ、多分。

当の、今の私はといえば。

目に見えないものの影響や存在について考えたりするのがきらいじゃない。

むしろ、そちらの世界からこちらの世界を眺めてみたいとも思っている。それらが、目に見える世界に与えている影響、つまり、言葉が降りてくるその源泉となっている、心の世界。

別の言い方をすると、私が作文教室などで子どもとやたら関わりを持ちたがっているのも、この感覚とつながっている。

子どもが持っている感性や能力って、私からすると、魔法に近いのだ。それは、見えないものとのつながりが、深いとも言う。

彼らがみている世界を知りたい、それは彼らの使っている感性や感覚を失って欲しくない、という意味でもある。だから作文教室をやっているともいう。

その地点から、改めてクリーミーマミを眺めてみた時、自分の子どもの頃の叫びが聞こえてくるような気がした。

魔法を失いたくない。
子どものままでいたい。
これ以上、大人になりたくない!

泣きそうになるような心細さと一緒に、小さな私の、何かにすがるような想いが湧いてきて、びっくりした。

大人の社会の汚いところを、この頃にはすでに知り始めていたこととも、もちろん関係しているんだけれども。汗。

「魔法」アニメなんて他にもたくさんあったろうに、6、7歳の私にとってはとにかくあのピンクと紫の世界、そして「期限つきの魔法」という設定がトリガーだったんだろうなあ。

鬼滅も好きだし、エヴァも傑作だと思うけれど、私にとってクリーミーマミは、永遠のアイドル。そして、あのとき味わった「うっとり♡」がこれ以上上書きされることは今後もないのだろうなと思うのである。


というわけで、自分の一番好きだったアニメを振り返ったら、自分への理解と今やっていることへの納得感がものすごい深まったので、皆さんにもぜひお勧めしたいと思います。



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