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イケダトモミ
2021年2月4日 23:08
タイトルである「アタラクシア」は、ギリシアの哲学者エピクロスが説いた、欲望から解放された「心の平穏な状態」である。金原ひとみはこの小説で、「平穏」を求めながらも欲望にまみれ、もがきながら生きる人々を巧みに描いている。 その中心にいるのは、フランス帰りの元モデルである由依だ。現在は翻訳家として働く彼女は、ブランド品に身を包み、同性からも憧れられる、周囲に流されない洗練された女性として描かれる。彼女