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成功法則?たまたまです。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

故野村監督の言葉として知られていますが、元は江戸時代後期の平戸藩主、松浦静山の言葉だそうです。

今日はこの言葉について少し考えてみました。

本屋に行けば「成功法則」の類が巷に溢れていますが、それを実践して、果たしてどれくらいの人が「成功」するでしょうか?

恐らく、その手の本やセミナーを見て、実践してみるのは1割くらいでしょう。実際に行動する人は、大体それくらいか、それ以下の確率です。

そして、継続する人はその10分の1くらい。

では、その0.1%の人は実際に成功しているのかというと、そうはいかないところが、また何とも厳しいところです。理由は簡単で、世の中変数だらけだからです

真の成功要因は『偶々(たまたま)』

年齢も、家族構成も、育った環境も、持ってるスキルも、性格も、住んでる場所も、実践するタイミングも、何もかも人とは違うなかで、誰もに通じる普遍的な法則なんてありゃしないのです

つまり、世の成功法則は「偶々(たまたま)その人がその方法で成功した」ことを、体系的にまとめているだけの話です。参考になることは多いかもしれませんが、そのまま実践しても同じ結果になるわけがない。

偶々なので本人にもわからない。だから、時に不思議の勝ちが起こる。その不思議を、後付けで説明しているだけの話。本人にも、本当の要因はわかってない場合が多いはずです。

そんな推測で書いたものを、そのまま自分に落とし込もうとしたところで、上手くいくはずがありません。ああいうのは一種の読み物として、表現が悪いですが暇つぶしに読むくらいでいいでしょう。

その意味では『破天荒フェニックス』のような実話ベースの小説の方が、断然面白い。ジェットコースター的な小説として単純に面白いけど、もしこれが全部事実だったらすごいなと。どこまで事実なんだろう?いや、ほんとにこんな状況の会社買う人いる?などと思いながらどんどん読み進んでいく。

エンターテイメント要素がある分、下手な成功法則よりも価値が高いですよね。で、今の同社社長の話を聞いていると、ああ、これも本当のことだったのかと。そうやって答え合わせしていく方が面白いですよね。

成功法則を読むなら、恐らくこういう視点が必要です。

・これはたぶん本人も推測で書いている
・他の要因があるとすれば何か
・このケースが自分に当てはまるとしたらどんな状況か
・自分の場合は、どんなことが起きる可能性があるか
・その場合、同じ方法で対処できるか

などなど。完全に想像力ですね。他人の成功法則を読むなら、そうやって自分に当てはめる想像力が必要です

失敗要因こそ学びの宝庫

一方、『負け(失敗)』に不思議な負けはないとされます。

失敗の原因やプロセスも多種多様であることに変わりはありませんが、何か一定の法則がある気はします。

昔から『馬』(競馬の馬、馬主の馬、フェラーリの馬)とはよく言われます。浪費や怠惰、慢心、自己顕示欲などを表してるんでしょうけれど、まあ表現としては上手いなと思います。

私は歴史が大好きで、歴史こそ未来を知るための唯一の手段だと思っているのですが、過去にも書いたように、歴史は勝者が好き勝手に作ったストーリーでもあります。徳川も明治政府も、それぞれ好き勝手に変えています。徳川なんて、家康を神に仕立てるために、日光東照宮に続くレイライン上に有力な神社を移転させたとも言われます。どこまで遡って改変するんだ、という話で。

なので、勝者が語る勝利の法則は参考になりません。たぶん嘘です。その意味では、やはり昔から成功法則はあてにならんのです。

有難がるのは信者くらい

というのも、昔から変わらないのかもしれません。

ここでもやはり、参考になるのは負け戦です。

タレントの林修氏(タレントなの?)は、「歴史上、誰が勝ったかはどうでもよく、敗者にこそ共通点がある」として、その共通点を

・情報不足
・慢心
・思い込み

と整理しています。メンタル要因が多いところに真実味があります。

そう思うと、桶狭間での今川はそれだったかなと。でも本能寺の信長もそれかと。延々と繰り返して、バカですよね人間って。

冒頭にも書きましたが、世の中変数だらけです。時勢、気候、タイミングなどなど。そして最大にして最難関の変数は、人間です。一人ビジネスと何人も社員を雇うビジネスは、そこが圧倒的に違います。

圧倒的な力を誇った天下人も、もう上る場所がないところまで行き着くと、そこに慢心が生まれる。平安末期の平清盛なんて、典型的にそうだったのかもしれません。

ただし、『平家=奢れるもの』というイメージは、源氏(勝者)が鎌倉時代に入ってから書いたものがベースなので、真実はわかりませんが(笑)。

どこまで行ってもわからなくて、どこまでも同じことを繰り返す。人間なんて、所詮そんな愛すべきバカなんでしょう。それだけに、やはり負けの共通項には真実味があります。失敗からこそ学ぶべきです

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