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最強AIプロダクトマネージャーを作ろうとしたらAI検索エンジンができた。

ChatGPTを触って、自分でもAIを使ったものを作ってみたくなった。
何ができるのかを知るために色々調べてみた。
2022年1月現在の大規模言語モデルを使ったAIは得意なことと不得意なことに大きな差がある。
創造的なふるまいは得意で詩や作文は上手いが、客観的事実という観念がない。
「手垢のついた愛は金曜日の夜に捨てよう」と詠うのと同じ口で、九州の真の支配者はみかんだと様々な歴史とともに語ってきたり、日本を代表する武闘派であるMISIAの武勇伝を教えてきたりする。
何を聞いても美しいでたらめを教えてくれるので、一緒に遊ぶには楽しい。頼りにはならない。
ろくでなしの放蕩者と同じだ。放蕩者と同様に、文学や音楽について一家言を持ってもいる。全てでまかせだが。
けれども、事前に資料を与えそれについて尋ねると、あやふやな尋ね方でも高い精度で資料に記載された事実を教えてくれる。
質問の解釈にその高い創造性を発揮しているのだ。こちらの曖昧な言葉を深く読み、明快な答えを返してくれる。
検索エンジンとして働くことも、言語モデルは得意なわけだ。
Perplexity等のAIを使った検索エンジンはその利点を活かし、Googleとはまた違う世界の切り取り方を見せてくれる。最も、ネット上にある間違った情報を返してくる場合も多い。
なら、特定の分野の正しい資料のみを厳選し十分に与えれば、創造的で、事実に忠実で、あやふやな質問でも何らかの答えを返してくれる、素晴らしいAI専門家ができあがるはずだ。
しかもAIは性格も決めれるので、優しく穏やかで、こちらのあらゆる質問に永遠に付き合ってくれて決して怒らない、知識量世界一の最強の専門家ができあがるに違いない。
この特性を生かし、プログラマである筆者をサポートする最強プロダクトマネージャーを作りたい。


という理屈で作り始めたのだが、作り始めてすぐ壁に当たった。
資料を大量に与えるとAIの使用料も大量になる。
ChatGPTを開発しているopenAIのGPT3を使うと、与える資料が増えれば増えるほど金額が増えていく。
「最強プロダクトマネージャー」を名乗るのなら最低でも専門書を100冊は読んでいてほしいと考えたが、一回その資料を読み取らせるのに二十万円くらいはかかりそうだった。
また、資料が多ければ多いほど質問の際に検索するコストがかかるようで、100冊も与えると1つの質問で1万円くらいしてもおかしくはなさそうだった。(厳密に計算したわけではなく肌感覚的に。)
質問するごとに1万円も金取られるくらいならメンターを雇ったほうがいい。
なので資料を大量に与えて最強のAIプロダクトマネージャーを作るという方向はすぐに頓挫してしまった。
甲斐性のないプログラマで済まない。

ということで方向性を変え、質問に対してインターネットを検索して返してくれるAIプロダクトマネージャーを作成することにした。
これならかなりコストを抑えられる。
問題はAI検索エンジンでかなりの部分を代替可能なんじゃないかってことと、AI検索エンジンと同様に、ネットを検索してくるだけなので情報の信頼性にかけるという部分だ。
独自性としてはプロダクトマネージャーとしての振る舞いをさせることぐらいしかない。
けれどもとりあえず作ってみることにした。
作ってから考えればいい。

できあがったのがこれだ。

https://stark-bastion-23276.herokuapp.com/

探るという意味の古語である「あなぐる」という名前を付けた。
けれども、プロダクトマネージャーとしてはあまり役に立たなかった。
考えてみれば当たり前で、ネットを検索してわかることしか言わないし、プロジェクトの仕様も知らないので、プロダクトマネージャーとして使いようがなかった。なぜ作る前に気づかないのか。

だが検索エンジンとして優秀だった。

例えば今度福岡に行きたいと思っているので、福岡の観光スポットを聞いた。


途中で途切れてしまっているが、かなりいい答えが出ている。福岡市内として糸島や大宰府等を出しているのは間違っているが、とりあえず全観光地が人気スポットだし、すべて存在する。


ChatGPTの返答はこれだ。

観光地として少し弱いし、福岡に草野神社は存在しない。やはりこの辺の質問は苦手だ。

perplexity aiはこれだ。

こちらには存在しない場所は出てこなかった。けれども回答としてはANAGURUのほうが上な気がする。福岡の観光地ではやはり糸島と大宰府がかなり有名だが、こちらでは出てこない。


というわけで、日本語AI検索エンジンとして「ANAGURU」は普通に優秀だ。


最強AIプロダクトマネージャーを作ろうとしたのになんか普通に使える日本語AI検索エンジンができた。

OpenAIのAPIで月三千円までしか検索できないんで、すぐダメになるかもしれませんが使ってみてください。

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