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庭の断捨離、「庭じまい」って案外大変だよ!という話 #0078

昨年度、庭の仕事で多かったもののひとつに「庭じまい」に関するものが多くありました。

そもそも「庭じまい」ってなんぞや?ですが、要するに終活の一つとして、庭の整理をしたい、というものです。断捨離の一環ですな。
断捨離と聞けば聞こえはいいですが、実際は高齢の親を抱えていて、あるいは自分が高齢化して、庭などにかまけてられないと泣きついてくるようなケースがほとんどです。

特に昨年度は、高齢のお客さんを抱えている樹木医の先生と一緒に、今まで関わってこなかったいくつか現場を回らせてもらって、地方の高齢化を庭から見て考える機会が数多くあったのです。
特に親が高齢化してるけど、実家の庭をどうしようか?と言う方は参考になることがあるのではないでしょうか。

この辺にもちょっくら書いてます↓


*一軒家には庭がついている(当たり前だけど)

これは、都市部でも田舎でも共通したことですが、当然一軒家には建蔽率というものがあるので、宅地はざっくり「建築」と「外構」に分けられます。
つまり、家を建てれば「それ以外」が当たり前に発生するわけで、「それ以外」を考えることは家そのもののプランに入ってくるわけです。このプランは、自分の敷地の景観はもちろん、周辺の景観や防災の観点からも、街全体を考える上においても非常に重要な要素になってくる。しかし、このことを考えている人はほとんどいないんですよ、マジで。
後述しますが、新築を建てる際はこのランドスケープを、長期プランとして全体計画に盛り込むことが大切だと考えています。

*子供は親の家の庭など面倒見きれない

田舎の一軒家は、広い土地を確保していることが多いので、庭面積も広く確保
しているケースを多く見かけます。
多くの場合、今の8〜90代が所有している物件で、その子供はほとんどが都会に出ていたり、近隣にいてもその家には住んでいないパターンが多いです(集落の場合は三世代で住んでいるようなケースが結構あるので、また違うけどね)

さすがに80代になった親世代は体力的に庭いじりなどできるはずもなく、子供は子供で、庭仕事などしたことがなかったり、自分の家のメンテナンスで手一杯なので、とても回りきらないのです。
そこで、ちょっと造園屋さんにお願いだ!→え?そんなに高いの?じゃあ切ってしまえ!→自分の家はこうなるのイヤだから、コンクリートで固めてしまおう、、と言う流れ。

特に30年ほど前には「植木ブーム」があったらしく、市場で買ってきた木をテキトーに植えておいたら木が育ちすぎたり増えすぎたりしてジャングル!ワオ!!
みたいなことにっています、、。

つまり、「親が買って建てた家に庭がついてるけど、そこまで面倒見きれんがな」と言うところが多いです。

*こまめなメンテナンス、または伐採

ということで。言わずもがなですが、家同様に庭もメンテナンスが必要なわけです。
が!庭になんてお金かけられないよ!ということになります。ましてや、今自分が住んでいない親の家ともなると、もはや何のための出費なんだ、、ということになります。

ですが、このメンテナンスを放置すると、大々的な伐採作業が必要になって、イニシャルで途方もないコストがかかってしまうのです。
前述した30年前のブームに乗った家の庭などは、木が成長しまくってしまい、何十本も一気に伐採、となると目も当てられません。

秋に伐採したジャングル庭は、総計1トン以上の廃棄が出た、、

それを避けるために毎年同じ規模に切り揃えておくと、結果的にコストは大幅に減らせるので、この辺のプラニングを考えておく必要があると思っています。
この辺は、家のメンテナンスと同じだろうと考える次第です。

あとは、庭のランニングコストを振り向ける工夫が必要です。例えば冬場の雪囲いが必要な地域などは、毎年かかってしまう雪囲いの予算をそっくりそのまま剪定予算に振り向けても良いと思います。
正直、雪囲いは多くの場合あまり意味をなさないことが多いのが実情です。常緑の木、かつ超豪雪地域でなければ雪囲いは過剰ではないでしょうか。

で、ここまではまだ何とかなる場合。
もうすでにジャングルになっている庭は、早めに伐採することをオススメします。とは言っても、すべて切る必要はなく、間引くだけでだいぶ光の入り方が変わっていい感じになります。この辺は、造園の専門家と話をしてみると良いと思います。

廃棄だけでも結構な値段になるので、切った木は廃棄をしない方向で考えると良いと思います。例えば、焼却できるような土地の場合は焼却、あるいは薪として売ってしまう、などです。特に今は薪も値段が高騰しているので、針葉樹でなければ薪として売ってしまっても良いでしょう。

*新築を建てる時に考えること

また、これから家を建てる人は、はじめの設計が超重要です。
できれば、設計の段階からランドスケープの専門家を入れて、外構や緑も含めたプランにすると良いと思います。
どうしても後から外構を考えると、「取ってつけた」ような外構になりがちで、建物や周囲の環境との「連続」がなくなってしまうのです。ファサードだけでなく、排水などの観点からも、早めに相談をした方が良いです。

が!新築の場合、結局家以外に予算を割けなくなるパターンが非常に多い。
その場合は、下手に初めから外構には手を出さず、プランだけは練っておいて、住みながら毎年少しずつ改変していくのがベターソリューションです。住みながらの方が、使い勝手もよく分かるしね。
ただこの場合、新築時にテキトーに土を入れられてしまうので、どっかの現場の残土(ほとんどガレキ)になってしまうので、せめて木を植える予定の土だけでもちゃんと入れておいたほうが良いっすね、、。

土入れは、植栽部分だけで良い

既存の庭に関してもゾーニングをうまく使うことで、メンテナンスの範囲を絞ってしまう方法などがあります。(この辺は別に詳しく書きたいと思います)

まあこんな感じで、とにかく庭じまいって案外大変。例えば売る場合などもある程度庭の整理が必要だと思うので、メンテナンスはこまめに(できれば毎年)入れたほうがいいっすよーというお話でした。

ではでは〜

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