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日常の中に「作品」を取り入れる

こだわる理由もない、何でもない日用品を買うのにあれこれ迷いたくない。
さくっとポチって、1分で買い物したい。
そんな気持ちに反して、検索結果に出てくる選択肢は一体幾つあるのか。ため息が出る。

何ページにもわたり表示される選択肢を、チラリとも見ないで買う勇気は私にはない。
オンラインショッピングで億劫なのは、大きさを数字でイメージし、質感を予想して買うことだ。画像は直感を鈍らせる。

「あー、迷う。」
先送りにしたいという気持ちを何とか抑え、たかがボウルにあれこれ悩む。
今回はお菓子作りにも使用できる大きめのボウル。
100円ショップでも十分かもしれない。
微妙な曲線の違い、素材の違い、重さはイメージするのも面倒、そして価格とのバランス。
結局、私が選んだのは、柳宗理のボウル。
柳宗理といえば、「高い美意識と洗練された線」というのが私のイメージだ。
職人のこだわりとか、気質とか、モノのうしろに人の姿が目に浮かぶような作品だなといつも思っていた。
表示された中で一番いい価格をクリックする。何よりちょっと気になるのは、「これは使いやすいのか?」と思ってしまう丸っこいフォルム。
画像を大きくしたり小さくしたり、ページを行ったり来たり。
高すぎるものではないものの、普通の値段の普通のボウルが沢山並ぶ中、個性派を選ぶのは少し勇気がいる。

これが当たりだった。

好きなものに囲まれる、とか、こだわりの道具とか、今までもそこそこやってた。
でも、正直、ボウルは盲点だった。
毎日...いや、毎食…。
いやいや、台所に一度立てば、洗っては使うを繰り返す、使用度ナンバーワンのヘビー級の道具だったのだ。

ある作品を目にした時、それを「出会い」と表現するが、今回はまさに新鮮な出会いだった。
洗うときは撫でるように洗っている。

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