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『#Eぐみに会いに行く。』vol.5 〜初夏の芽室より〜【前編】

高校時代の同級生へのインタビュー企画 #Eぐみに会いに行く 。今回は、東京から直線距離で約850km、北海道・十勝地方の芽室町めむろちょうまでやってきました。お話を伺ったのは、約6年前にここに移り住んだYさん。輝く田園風景を眺めながら、移住の経緯や芽室町の魅力について伺います。

『#Eぐみに会いに行く。』
vol.5

インタビュアー・神田朋子

今回のインタビュイー:Y(仮名)
大学卒業後、半導体設計エンジニアとして就職。約11年間の在職期間を経て、2017年4月、北海道芽室町に家族とともに移住。現在は地元の農業を支える団体に所属している。


芽室めむろって、どんなところ?

神田:今回で5回目を迎えるインタビュー企画『#Eぐみに会いに行く。』ですが、ついに本州を飛び出して北海道の芽室町めむろちょうまでやってきました!

Y   :よく来たね(笑)。

神田:うん。すごく楽しみにしてたよ! 「7月の北海道」……もう響きだけで最高じゃん!!

Y   :うん。本当に最高だから、しっかり満喫して行ってね!

まるでパッチワークのような田園風景
放牧されている牛たち
緑色がみずみずしい
小麦畑も輝いています!

神田:「黄金色こがねいろの小麦畑」って聞いたことがあるけど、単なる例えだと思ってた。本当に黄金色なんだね! 空気も清々しくて爽やかで、畑も空もキラキラしてて、芽室ってとっても素敵なところ!

Y   :そうでしょ? 実は冬でも雪の日が少なくて、晴れてることが多いんだよ。

神田:へぇー! それは過ごしやすそうだね。でもYくんごめんね、私、今回ここに来るまで、芽室町めむろちょうって聞いたことがなかったんだ……。

Y   :芽室町産の野菜は東京でも見かけることがあると思うよ。農業が盛んで、例えばじゃがいもだと、一般的に知られてる「メークイン」の他に、ポテトチップスに使われる「トヨシロ」も栽培してる。「マチルダ」っていう品種は、種芋の生産から一般量販店向けの出荷販売まで一貫して芽室町でやっているんだ。

神田:へぇ〜。

Y   :他にもスイートコーンにアスパラガス、玉ねぎ、ごぼう、キャベツ……色々栽培してるんだよ。

じゃがいも畑。白くて可愛らしい花が咲いています。


「あり得ない」を覆さなきゃ。——芽室への移住

神田:私、Yくんが北海道に移住したっていうのを最近になって知って、びっくりしちゃった。ずっと東京にいると思ってたから。そもそも、どうして北海道に来たの?

Y   :ここに移住したのは6年ぐらい前なんだけど、社会人になって初めての赴任先が札幌だったから、北海道に住むの自体は今回が初めてじゃないんだよ。

神田:え! そうだったんだ。

Y   :最初は自分でも関東圏に勤務するんだと思ってたから、まさか入社してすぐ北海道に配属されるとは思ってなくてさぁ。

神田:え。転勤の可否って、だいたい最初に意思確認されるよね?

Y   :されたんだろうね、ぜんぜん覚えてないんだけど(笑)。自分で書類に「北海道でもOK」って書いてたみたい。

神田:……そうか(笑)。

Y   :でもいざ札幌に住み始めたら、すごく楽しかったんだよね食べ物は美味しいし、ゴルフとかスキーとかもしてね。当時、学生時代の友達も何人か遊びに来てくれたんだよ。

神田:へぇー! じゃあ、その時からずっと北海道に?

Y   :いや。そのあと異動があって、こんどは配属先が横浜になったの。

神田:結局関東に戻ってきたんだ。

Y   :うん。札幌にいる時に結婚して、妻と一緒に横浜に引っ越した後、子供を2人授かったの。でも平日は家族との時間がなかなかとれなくて。入社してからずっと半導体設計エンジニアの仕事をしてたんだけど、寝る時間以外はほぼ職場にいるか、通勤電車の中みたいな生活でね。

神田:そうかぁ。

Y   :まだ子供たちも幼稚園に入る前だったんだけど、このままだと自分も妻も潰れちゃうし、子供たちのためにもならない。家族を大事にしたいっていう思いがずっと一番強かったから、やっぱり環境を変えなきゃと思って。芽室なら妻の実家があるから子育てしやすそうだし、妻も芽室にすごく愛着を持ってて、地元のために何かやりたいと思ってたから、その気持ちも大事にしてあげたかった。それで移住を決めたんだ。

神田:そうなんだぁ。

Y   :いちど決断してからは速くて、2016年の12月には転職サイトに登録して、年が明けてすぐに芽室で面接を受けたの。それで農業関係の仕事に就くことになってね。今考えるとものすごいスピードだよね。それまでは「仕事を途中で変えるなんてあり得ない」と思ってたけど、やっぱり家族のことを考えた時に、その「あり得ない」を覆さなきゃって思ったんだよね。


移住後のくらし

神田:Yくんは、30代の半ばで新しい土地で生きる決断をしたんだね。不安はなかったの? 仕事だって前職とずいぶん違うでしょ?

Y   :不思議と不安はなかったかな。どうしてだか分からないけど、当時、何でも出来ちゃうような気がしてたんだ。それまでの人生で身に付けてきたことは確実にあるから、アプローチさえ間違えなければ、絶対にどこでも生きていけると思ったんだよね。

神田:へぇー。

Y   :それに、前の会社で学んだことは、今でも活かせてると思うよ。

神田:例えばどんなこと?

Y   :前向きな気持ち、かな。チャレンジして、例え失敗しても前に進む、諦めない姿勢。それって、仕事以外でも全てに応用できることで、たぶん生きるベースなんだと思うんだけど。それを学ばせてもらえる会社にいられたことは、本当に良かったと思う。

神田:これまでの全ての経験が、今のYくんをつくってるんだね。実際のところ、転職の前と後で、どっちの仕事の方が大変?

Y   :結局、大変なのはどの仕事も変わらないと思うんだよね。判断とか、求められるスピードとかは一緒だし。だけどやっぱりここに来て圧倒的に違いを感じるのは、食べるものとか、通勤時間とか、人口密度とか。

神田:生活をとりまく環境がぜんぜん違う。

Y   :うん。毎朝、車で仕事に行く時にね、目の前に朝日を浴びた日高山脈が見えるの。それがもう、綺麗でね。晴れてる時なんかは、ほんとに透き通っているみたいに見えるんだよ。冬場の、雪が降った後の景色も綺麗だしさ。

神田:いいねぇ。

Y   :仕事帰りにはね、習い事を終えた子供たちを車で迎えに行って。それでも家に着くのはだいたい夜の7時前。

神田:移住する前に比べたら、時間の流れ方が違うよね。

Y   :まあ、雑草抜いたり、家のストーブの薪を割ったり、やらなきゃいけないことはたくさんあるから、忙しいんだけどね(笑)。

後編に続く

(取材日:2023年7月5日)

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