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おせち

少し気が早いかもしれないが、おせちのことを考えている。

家事をロクに手伝わずに育った私だが、なぜか実家を出てからおせちを作るようになった。勤め先の仕事の性質上、季節を問わず、毎月「締め」に追われる生活を繰り返していたため、せめてもの“季節感“を味わいたかったのだと思う。

10年前に買ったムック本はとても素晴らしいもので、非常に役に立った。今でも愛用している。

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おせちを作るのは確かに大変だが、コンビニもスーパーもなかった昔の人たちにとっては、とても優れた風習だったのだと思う。自分で作ってみて、そう感じた。作り置きをすることで、三が日にいちいち手間のかかる料理をしなくても、パッと盛り付けただけで華やかで美味しい食事が用意できるのだ。

私は、人参でねじり梅を切るのと、黒豆を炊くのが好きだ。黒豆が上手く炊けると、噛んだ時に薄皮に気付かないくらい柔らかくなる。普段あまり料理をしないせいか、毎年出来が違うので、本当に成功したと思えるのは1回くらいしかないのだが……。

ラジオを聴きながら、大掃除と同時進行でおせちを仕込む年末。冷たく凛とした空気の中、今年が終わってゆく切なさと、新年を迎えるワクワクがないまぜになった気持ちで、黒豆の鍋の火加減を気にしている時間が愛おしい。

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